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●100万分の1●
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ニーチェ不動産の賃貸部門の営業店に籍を置く静真は、やっと仕事の段取りも覚え始め、今は宅地建物取引士の資格を取る為に勉強も始めていた。
「昼休憩にも勉強とか、真面目じゃーん、石浜」
宅地建物取引士の問題集を解いている静真に真古登は声を掛ける。
真古登は昼食も食べずに、ずっとスマホを弄っていた。
「せっかくなので、早く宅建の資格取りたくて。そうすれば、仕事の幅も広がるかなって」
静真が真古登に照れながら話すと、真古登はニヤニヤと笑う。
「そうそう。資格は持っておいた方がいいよー。俺も大学時代に取れる資格は色々取ったしねー」
静真は意外だと思いながら真古登を見た。
正直チャラくて、仕事も適当な印象があったからだ。
金銭的にもルーズだと聞いていて、他の社員からは、真古登には絶対にお金を貸すなと忠告されていた。
「ま、分からないことはなんでも聞いてよ」
真古登はポンと静真の肩を叩くと、休憩室を出て店舗の方へ行ってしまった。
静真は1人になると両手を上げて背を伸ばす。
頭の中にあるのは、兄である健だった。
本当の父、弥之を殺し、母、雛絵を死に追いやった疑惑のある、糸坂の娘の祥子と出会い愛し合った事で、健が実の兄だと知った。
健が弥之の死の真相を暴いた事で、今は母親の籍に入って苗字の変わった祥子とは距離を置いている。
祥子のことはまだ愛しているが、自分の両親を奪った男の娘と、再び愛し合うことは正直辛い。
健は、父親と娘は別だと切り離し祥子の事は憎んではいないが、まだ許せない自分は未熟だと静真は己のジレンマに苦しまされる。
せめて仕事だけでも早く一人前になって、健に認められたいと思っていた。
「昼休憩にも勉強とか、真面目じゃーん、石浜」
宅地建物取引士の問題集を解いている静真に真古登は声を掛ける。
真古登は昼食も食べずに、ずっとスマホを弄っていた。
「せっかくなので、早く宅建の資格取りたくて。そうすれば、仕事の幅も広がるかなって」
静真が真古登に照れながら話すと、真古登はニヤニヤと笑う。
「そうそう。資格は持っておいた方がいいよー。俺も大学時代に取れる資格は色々取ったしねー」
静真は意外だと思いながら真古登を見た。
正直チャラくて、仕事も適当な印象があったからだ。
金銭的にもルーズだと聞いていて、他の社員からは、真古登には絶対にお金を貸すなと忠告されていた。
「ま、分からないことはなんでも聞いてよ」
真古登はポンと静真の肩を叩くと、休憩室を出て店舗の方へ行ってしまった。
静真は1人になると両手を上げて背を伸ばす。
頭の中にあるのは、兄である健だった。
本当の父、弥之を殺し、母、雛絵を死に追いやった疑惑のある、糸坂の娘の祥子と出会い愛し合った事で、健が実の兄だと知った。
健が弥之の死の真相を暴いた事で、今は母親の籍に入って苗字の変わった祥子とは距離を置いている。
祥子のことはまだ愛しているが、自分の両親を奪った男の娘と、再び愛し合うことは正直辛い。
健は、父親と娘は別だと切り離し祥子の事は憎んではいないが、まだ許せない自分は未熟だと静真は己のジレンマに苦しまされる。
せめて仕事だけでも早く一人前になって、健に認められたいと思っていた。
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