七夕考察──七夕の終わる日──

紫ノ宮風香

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七夕の終わる日1

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わたくしは織姫。



本来天帝となるはずでしたお母様は、婚約中のお父様と仲睦まじく次代の教育を受けていたそうですわ。
ある日お父様が事故にあい、亡くなられてしまったそうですの。

お母様の嘆きは深かったそうですわ。
その時にわたくしがお母様のお腹に宿っていた事で、お母様は前向きに生きようと思って下さったと聞きましたの。
ですが、深き嘆きで一度弱った体でわたくしを産む事は、命と引き換えになる程の大変な事だったのだと・・・



お母様のお気持ちを書き記したお手紙を受け取ったのは彦星様との婚約の日でしたの。
お祖父様から受け取った手紙を読んで泣いたわたくしの手を取り、懸命に慰めて下さった彦星様の優しさが心に染みた日でもありましたわ。

お祖父様は、その後間もなく儚くなられてしまいました。出産の時にわたくしの命も危うく、そのためにお祖父様はお持ちになってる力の殆どを使い果たしてしまわれたそうです。



今の天帝は遠縁の男。
わたくしが次代として即位する時までの、中継ぎで帝位を得ただけの「資格なし」の男。
中継ぎの立場を得る為にわたくしの養父になった男。
そしてこの男は帝位を得た途端に、わたくしや彦星様を平民に落としたのですわ。

わたくしと彦星様の婚約も婚姻も帝命でしたので、引き離される事はないと思っていましたのよ。
まさか新婚でたった3日仕事を休んだだけで、別居させられるとは思ってもいませんでしたけど。



お祖父様亡き後、お母様の元侍女の娘がわたくしの影として付きましたの。
お義父様はわたくしを孤立させ、見張りをつけましたの。ですから彼女は、見張りの目を掻い潜ってわたくしのために奔走してくれたのですわ。

仙術を習うことが出来たのも、手紙のやり取りすら禁じられていたところを、彦星様にメッセージが送れるようにしてくれたのも、逢瀬の覗き見の妨害方法を教えてくれたのも彼女のお陰ですの。



「資格なし」が帝位を簒奪すれば、その身に神の怒りの雷が落ちますのよ。あの男が無事でいるのは中継ぎを公言したからですの。
けれども、わたくしに帝位を返す気がない上に先帝の帝命を覆す命令をしてきたのですから、そろそろ天罰を下してもよろしいですわよね。

この2000年程、民はお祖父様の政を忘れてしまいましたもの。あの男が見せる、娯楽だらけの穴だらけの政ではそろそろ天界も崩壊致しますわね。
特定の者だけが虐げられ搾取され、徐々に疲弊しても見て見ぬふり。
今は下界から利益を吸い上げて保っているようですけど、こんな堕落した天界など最早未練などありませんわ。

わたくしが守りたいのは4人だけになってしまいましたわね。彦星様と元侍女夫妻とその娘だけ。



まずは彦星様のところに参りましょうか。
このような深夜に、先触れもない訪いで申し訳ありませんけれど・・・
緊急な要件ですもの。お許し下さいませ。
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