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序章
ブタは魔王と名乗った
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お母さんへ。
わたしは今、異世界にいます。
正直なところ戸惑いが多く、わたしの体調はあまり優れません。
異世界では扉なんてないみたいです。
それと、ブタが喋るそうです。
しばらくの間、そちらには帰れそうにありません。
もしかしたらもう帰れないかもしれません。
ですが、わたしの秘蔵のコレクションだけは捨てないで残しておいてください。
僅かな可能性もわたしは捨てたくないのです。
心よりお願い申し上げます。
PS、この前シュークリームを勝手に食べてごめんね。
「ブタが喋って何が悪いんだ! ブタだって生きているんだぞ!」
わたしがブタに対して、喋ったとか大声を上げたものだから、なんかブタが怒っている。
別にブタが喋るのは良いけども、わたしの常識からすると意味が分からないけども、仮にもここが異世界なら、少し理解できた。
喋る動物なんて、異世界っぽい。
信じたくはないけれども、わたしは再度、ここが異世界であると認識する。
「えっと、その…………ごめんなさい。ブタが喋っても良いよね」
正直なところ、最初はブタの怒るポイントが理解できなかった。
でも、ふと考え至る。
わたしからするとブタは喋らないけども、この世界ではブタが喋るのは普通なのだろうか。もしもそうなると、喋ったことを驚いたのは失礼に当たるかもしれない。
わたしが喋ったことに対して周りが驚いたら、良い気はしない。
「それで、ブタさん。ここどこ?」
わたしは喋るブタに聞いた。
ここが本当に異世界なら、まずは情報が欲しい。ここがどういった世界なのか分からないのは怖い。ブタから有益な情報がもらえると思った。
我ながらどうしてここまで落ち着いているのか不思議だ。
「侵入者が何を言っているんだ! ここがどこかなんて分かっているだろう!」
するとブタは先ほどよりかは優しめに怒りを見せる。
「違う違う! わたしは侵入者じゃないよ」
手を横に振って、必死にわたしは自身の潔白を伝える。
真剣な目をブタに向ける。
ブタは何かを考えた後、ふむと小さく呟いた。
「確かに、意図して侵入して来た者なら、ここの主と会話なんてしないし、それに、侵入者に見えない」
「…………そうそう」
そう何度も頷いて、ふと不思議な言葉を聞いたような気がした。
ここの主がどうのこうのって。
「ブタさん、ここの主様なの?」
「一応そうなっているはずだよ」
ブタが頷く。
ブタが主の屋敷って、わたしは辺りを見渡す。だいぶ立派な屋敷だ。
この世界のブタは知能があって、高い地位に就いたりするのが普通なのだろうか。
もしかしたら人間はいないのだろうか。いや、ブタはわたしに対して人間と言っていたし驚いた様子もない。人間はいると思う。
一応という言葉にも引っ掛かるけども、それ以前に分からないことが多い。
「ブタさん。わたしはどうすれば良いと思う」
わたしはそんなことを聞いた。
話してみて、ブタは好戦的はでないように感じた。優しいと思う。だから少しばかり信用しても良いと思った。
わたしの言葉にブタは困ったように鼻息を鳴らす。
「そんなこと、元いた家に帰れば良いじゃないか」
「もといた家はないと思う」
「名前は?」
「名前は…………」
わたしはふと、日本にいたころの名前を思い出す。それを名乗るべきか迷った。何も知らない記憶喪失を装った方が良い気がして、すぐに首を横に振った。
「名前も知らない」
「変な人間だな。こんなところにいるだけで、変だけども。記憶喪失か何かか?」
「多分」
わたしは小さく頷く。
ブタはさらに困ったように瞬きをする。
「ちょっと待っていてくれたまえ。僕の部下を呼ぼう」
そう言って、ブタは良く分からない物を取り出す。
どこから取り出したのかは分からない。ただ気づいた時にはブタの手の中だった。ブタは爪で器用にそれを持っている。
その道具を説明すると、形は長方形で大きさは長いところで十センチほどだろうか。様々な模様が描かれている。
ブタはその道具を耳につけると、模様が光り輝いた。
「ハクガくん。今すぐ二階東南にある廊下まで来てくれないか。来れない? 主である僕の命令が聞けないのか? 聞かない? そう言わずに早く来てくれ。そこそこの一大事なんだ」
ブタが宙を向いて喋る。
まるでスマホで電話をしているような、そんな光景にわたしはその道具が携帯電話ではないだろうかと考えた。
知らない世界の携帯電話。形はわたしの知る携帯と似ていない。
でも、多分、そうだ。
「もうそろそろしたら、ハクガくんという名の優秀な部下が来てくれる。ハクガくんに君のことは任せようと思う。同じ女性だから、君も話しやすいだろう」
ブタは電話を終えると、わたしに今後のことを説明した。
先ほどはハクガさんという女性と電話をしていたらしい。そのハクガさんは同じ人間なのだろうか。
わたしは頷いた後、先ほどの質問についてまだ答えられていないことを思い出した。
「ねえ、ブタさん。さっきの質問もう一度しても良い?」
「なんだい?」
「ここってどこなの?」
今最も知りたいこと。それにブタは真剣なまなざしで、答えた。
「魔王城だ」
「魔王城?」
「そう。魔界にある魔王城。僕はこう見えて、魔王をしている」
ブタなのに?
とすごく言いたいけども、わたしは喉元でぐっとこらえた。
魔王がいて、わたしがいるのは魔界にある魔王城。まだ異世界だと思っていたから、すんなりと頭の中に入る。
でも魔王がブタという事実はすんなりと頭には入らない。
「そう、なんだ」
「なんだか複雑な表情をしているね」
「魔王様がブタでしたら、複雑な表情にもなりますよ」
ふいに綺麗な女性の声が聞こえた。
それと同時にコツコツと通路を歩く音が後ろから聞こえる。一人の女性が通路の壁を越えて現れた。
見た目は二十代前半ほどの女性だ。腰まで届きそうな長い茶髪と、赤い瞳。顔は怖いぐらい綺麗に整っている。簡単に言えば驚くほど綺麗な女性だった。
嫉妬を通り越しそうなほどに。
現実のように感じられない。
「初めまして。あなたが一大事の方ですね。私はハクガと申します。以後お見知りおきを」
ハクガさんはお辞儀とともにそう自己紹介をした。
私は釣られて頭を下げる。
「ハクガくん。その子は記憶がないそうだ。どうしてここにいるのかも理解していない。君にその子のことを任せたい。頼んだよ」
「パワハラですか? 訴えますよ?」
「パワハラじゃない! 仕事を振っただけでパワハラなら、世の中のすべてがパワハラになるじゃないか!」
「冗談です」
ハクガさんがそう言って笑った。笑う姿も綺麗だった。
「それでは、えっとなんて呼びましょうか。ひとまず人間さんで良いですか?」
「…………はい」
人間さんなんて初めて呼ばれた。ハクガさんは人間なのだろうか。
わたしはそんなことを思いながら、ふとここが魔界であることを思い出す。
「ハクガさん、は人間ではないのですか?」
人間が他の人間を人間さんなんて呼ぶわけがない。だからわたしは聞いた。するとハクガさんは首を横に振って、否定する。
「私はサキュバスですよ。尻尾と翼を隠しているので、同じ人間に見えるかもしれませんが、立派な魔族です」
ハクガさんはそう答えた。
サキュバス?
わたしは今、異世界にいます。
正直なところ戸惑いが多く、わたしの体調はあまり優れません。
異世界では扉なんてないみたいです。
それと、ブタが喋るそうです。
しばらくの間、そちらには帰れそうにありません。
もしかしたらもう帰れないかもしれません。
ですが、わたしの秘蔵のコレクションだけは捨てないで残しておいてください。
僅かな可能性もわたしは捨てたくないのです。
心よりお願い申し上げます。
PS、この前シュークリームを勝手に食べてごめんね。
「ブタが喋って何が悪いんだ! ブタだって生きているんだぞ!」
わたしがブタに対して、喋ったとか大声を上げたものだから、なんかブタが怒っている。
別にブタが喋るのは良いけども、わたしの常識からすると意味が分からないけども、仮にもここが異世界なら、少し理解できた。
喋る動物なんて、異世界っぽい。
信じたくはないけれども、わたしは再度、ここが異世界であると認識する。
「えっと、その…………ごめんなさい。ブタが喋っても良いよね」
正直なところ、最初はブタの怒るポイントが理解できなかった。
でも、ふと考え至る。
わたしからするとブタは喋らないけども、この世界ではブタが喋るのは普通なのだろうか。もしもそうなると、喋ったことを驚いたのは失礼に当たるかもしれない。
わたしが喋ったことに対して周りが驚いたら、良い気はしない。
「それで、ブタさん。ここどこ?」
わたしは喋るブタに聞いた。
ここが本当に異世界なら、まずは情報が欲しい。ここがどういった世界なのか分からないのは怖い。ブタから有益な情報がもらえると思った。
我ながらどうしてここまで落ち着いているのか不思議だ。
「侵入者が何を言っているんだ! ここがどこかなんて分かっているだろう!」
するとブタは先ほどよりかは優しめに怒りを見せる。
「違う違う! わたしは侵入者じゃないよ」
手を横に振って、必死にわたしは自身の潔白を伝える。
真剣な目をブタに向ける。
ブタは何かを考えた後、ふむと小さく呟いた。
「確かに、意図して侵入して来た者なら、ここの主と会話なんてしないし、それに、侵入者に見えない」
「…………そうそう」
そう何度も頷いて、ふと不思議な言葉を聞いたような気がした。
ここの主がどうのこうのって。
「ブタさん、ここの主様なの?」
「一応そうなっているはずだよ」
ブタが頷く。
ブタが主の屋敷って、わたしは辺りを見渡す。だいぶ立派な屋敷だ。
この世界のブタは知能があって、高い地位に就いたりするのが普通なのだろうか。
もしかしたら人間はいないのだろうか。いや、ブタはわたしに対して人間と言っていたし驚いた様子もない。人間はいると思う。
一応という言葉にも引っ掛かるけども、それ以前に分からないことが多い。
「ブタさん。わたしはどうすれば良いと思う」
わたしはそんなことを聞いた。
話してみて、ブタは好戦的はでないように感じた。優しいと思う。だから少しばかり信用しても良いと思った。
わたしの言葉にブタは困ったように鼻息を鳴らす。
「そんなこと、元いた家に帰れば良いじゃないか」
「もといた家はないと思う」
「名前は?」
「名前は…………」
わたしはふと、日本にいたころの名前を思い出す。それを名乗るべきか迷った。何も知らない記憶喪失を装った方が良い気がして、すぐに首を横に振った。
「名前も知らない」
「変な人間だな。こんなところにいるだけで、変だけども。記憶喪失か何かか?」
「多分」
わたしは小さく頷く。
ブタはさらに困ったように瞬きをする。
「ちょっと待っていてくれたまえ。僕の部下を呼ぼう」
そう言って、ブタは良く分からない物を取り出す。
どこから取り出したのかは分からない。ただ気づいた時にはブタの手の中だった。ブタは爪で器用にそれを持っている。
その道具を説明すると、形は長方形で大きさは長いところで十センチほどだろうか。様々な模様が描かれている。
ブタはその道具を耳につけると、模様が光り輝いた。
「ハクガくん。今すぐ二階東南にある廊下まで来てくれないか。来れない? 主である僕の命令が聞けないのか? 聞かない? そう言わずに早く来てくれ。そこそこの一大事なんだ」
ブタが宙を向いて喋る。
まるでスマホで電話をしているような、そんな光景にわたしはその道具が携帯電話ではないだろうかと考えた。
知らない世界の携帯電話。形はわたしの知る携帯と似ていない。
でも、多分、そうだ。
「もうそろそろしたら、ハクガくんという名の優秀な部下が来てくれる。ハクガくんに君のことは任せようと思う。同じ女性だから、君も話しやすいだろう」
ブタは電話を終えると、わたしに今後のことを説明した。
先ほどはハクガさんという女性と電話をしていたらしい。そのハクガさんは同じ人間なのだろうか。
わたしは頷いた後、先ほどの質問についてまだ答えられていないことを思い出した。
「ねえ、ブタさん。さっきの質問もう一度しても良い?」
「なんだい?」
「ここってどこなの?」
今最も知りたいこと。それにブタは真剣なまなざしで、答えた。
「魔王城だ」
「魔王城?」
「そう。魔界にある魔王城。僕はこう見えて、魔王をしている」
ブタなのに?
とすごく言いたいけども、わたしは喉元でぐっとこらえた。
魔王がいて、わたしがいるのは魔界にある魔王城。まだ異世界だと思っていたから、すんなりと頭の中に入る。
でも魔王がブタという事実はすんなりと頭には入らない。
「そう、なんだ」
「なんだか複雑な表情をしているね」
「魔王様がブタでしたら、複雑な表情にもなりますよ」
ふいに綺麗な女性の声が聞こえた。
それと同時にコツコツと通路を歩く音が後ろから聞こえる。一人の女性が通路の壁を越えて現れた。
見た目は二十代前半ほどの女性だ。腰まで届きそうな長い茶髪と、赤い瞳。顔は怖いぐらい綺麗に整っている。簡単に言えば驚くほど綺麗な女性だった。
嫉妬を通り越しそうなほどに。
現実のように感じられない。
「初めまして。あなたが一大事の方ですね。私はハクガと申します。以後お見知りおきを」
ハクガさんはお辞儀とともにそう自己紹介をした。
私は釣られて頭を下げる。
「ハクガくん。その子は記憶がないそうだ。どうしてここにいるのかも理解していない。君にその子のことを任せたい。頼んだよ」
「パワハラですか? 訴えますよ?」
「パワハラじゃない! 仕事を振っただけでパワハラなら、世の中のすべてがパワハラになるじゃないか!」
「冗談です」
ハクガさんがそう言って笑った。笑う姿も綺麗だった。
「それでは、えっとなんて呼びましょうか。ひとまず人間さんで良いですか?」
「…………はい」
人間さんなんて初めて呼ばれた。ハクガさんは人間なのだろうか。
わたしはそんなことを思いながら、ふとここが魔界であることを思い出す。
「ハクガさん、は人間ではないのですか?」
人間が他の人間を人間さんなんて呼ぶわけがない。だからわたしは聞いた。するとハクガさんは首を横に振って、否定する。
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