悪夢で視る人――それは俺だけが視ることのできる、酷く残酷で凄惨な個人的ホラー映画。【第二部・リテイク版】

されど電波おやぢは妄想を騙る

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第二部 上映中

Scene 25.

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「ぬぉぉっ! ――は?」

 素っ頓狂な叫び声を上げて、俺はおかしな状況下で目覚めることとなった。

 燦々さんさんと雨が降りしきる中、公園前のバス待合所に設置されているベンチにってんだからな。

 しかも鉄板定番の墓参りセットに花束、突き刺して血塗れになった筈の傘が、さり気な~く俺の足元に置いてあるときた。

 兎小屋にも等しい簡素な待合所だが、一応は屋根がある。


(ずぶ濡れにはならずに済んでいるのが幸いか)


 ――って、ちっがーうっ! 論点はそこではない、そこではないんだって、俺っ!


「今度はこっからかよっ⁉︎ なんでバス停のベンチに寝っ転がされてんだよっ⁉︎ 俺は経った今、乗り合いバスから降りたところだろーがっ! しかも公園前に戻ってることに驚いてただろうがっ! 巫山戯るなっつーのっ!」

 あまりにも納得がいかない摩訶不思議現象に、腹の底から怒り浸透の大声で叫んだ。

 しかもだ。今回は俺が死ぬ、或いは誰かが死ぬ、もしくは凄惨な光景を見せられて戻る、そんな感じですらない。
 叫んでいる通り、目的地の霊園に到着したから、単に降りただけだ。
 そして次の瞬間、待合所のベンチで寝転がされてるだと? この雨が燦々と降り頻る冷たい空気の中で? 


(風邪ひくじゃねーか)


 ――って、ちっがーうっ! 論点はそこでもない、そこでもないんだって、俺っ!


 混乱が混乱を呼び、最早、混沌を通り越して、意味不明どころか結構パニックだっつーのっ!
 俺自身、SAN値直葬正気度を失って狂人化状態に陥ってんじゃねーかと、まぢで疑心暗鬼に駆られるわっ!

「い、いかんっ⁉︎ 取り乱して深く混乱するのは愚の骨頂! ここは冷静に対処すべき場面だと俺は切実に思う! ならば現状確認が最優先事項だ! ちょいと落ち着け、俺」

 内心ではかなり苛ついてはいるんだが、良い歳の大人な俺はそれもグッと堪える。
 今現在、俺が置かれている現状が、現実なのか悪夢なのかを確かめるべく、例の如く自分の手を思いっきりつねってみた。


 ちゃんと痛い。めっさ痛い。
 抓りすぎて内出血したくらいに痛い。


 と言うことは、俺が今居るこの場所は現実。正しく公園前のバス待合所で合ってるってことだ。

「くっそ……意味が解らん、意味が」

 間髪入れずに腕時計も確認する。
 カレンダー表示は美杉の命日。現時刻も正しく指し示し、秒針もちゃんと動いている。
 ついでに気づいたが、俺が部屋を出てから僅かに30分も経っちゃいないときた。

「良し。とりあえずここは現実であるとだ。ならば再び悪夢の輪廻に囚われる前に、俺専用スコップを取りに行くのが最優先事項で最適解だよな」

 何ぞなアニメ 機動な戦士に登場する、赤い服の仮面男シャーな軍人が劇中で駆る、専用のモビルなスーツ 通常の三倍の機動力みたく香ばしく聞こえるけども。

 とどのつまり、単なる土木用スコップには違いない。なんの変哲もない至極ありふれた量産品のそれ。

 だがしかし。美杉が消えたあの日、唯一、手元に残された大切なスコップであり、俺と共に奇跡のスコップでもある。

 そんな名実ともに俺専用のスコップなわけだから、大枠で意味は合ってる。だから良いんだそんなで。

「現実に居るのか悪夢に囚われているのか。要所での現状確認は必須だな。もしかすると俺のSAN値 正気度チェックも……最悪は必要になるのか?」

 俺自身は正気を保っていると思ってはいる。
 だがしかし。そう思っているだけに過ぎず、既におかしくなっている可能性――否。そんなわけあるか。


 それこその思う壺だ。


「今は自分を信じて行動あるのみ」

 とりあえず、やるべきことのベクトル 方向性を決めたので、ちゃっちゃと行動に移す。
 雨が燦々と降り頻る中、自宅へと向かい勢い良く走りだす。


 だがしかし。そう簡単には思い通りにさせてはくれないようだ。


「――な、なんだとっ⁉︎」

 さっきから数分おきに、手を抓って現状の俺がどっちに置かれる状況かってやつを確認してたんだが。
 ここまではちゃんと痛かった。
 だがしかし。スコップを取りに自宅へと走り出した途端、突然、痛みが失せた。


 つまり現実と悪夢の境目が


 更に悪いことは重なるもので――。


「くっそ……お出ましかよ。しつこい男は嫌われるって言うけどもさ、しつこい女も同じだっつーの……全く」

 俺の目の前に唐突に現れやがった。
 雨が燦々と降り頻るのもお構いなく、天下の往来のど真ん中に優雅に佇んでいやがるときた。

 英国様式の真っ黒な喪服 ヴィクトリア朝・スタイルに身を包み、丸みを帯びた独特の形状をした同じく英国様式のフルトン傘を差して、優雅に佇む女性らしき人物が目に止まる。

 顔を覆っている黒い面紗ベールと、肩に乗せて差しているフルトン傘が相変わらず邪魔をして、俺の位置からでは表情までを窺い知ることはできない。


 そう。美杉の墓前で殺し合った喪服女が、再び俺の前に立ち塞がるのだった――。



 ――――――――――
 気になる続きはCM広告のあと直ぐっ!
 チャンネルはそのままっ!(笑)
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