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第四夜。
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「――あ、悪魔……だと⁉︎」
前回の引き際、ホラーっぽい演出で悪魔とか吐かしやがった、なにか。
幼女姿だったクセに、異国の喪服が良く似合うボンッ、キュッ、ボンッな異様な出で立ちでな? 今さっき気付いたわ、俺。
『演出って失敬よね! あんまりメタなギャグで走らないでくれる? どっちも私の本当の姿よ? ある意味では。だけど』
ニィっと笑うとチラ見させる八重歯が、牙っぽく尖っていて鋭かった。
「アンタこそナレーションに対してしれっと答えんなや! ただのエキストラのクセに! ――人違うけど。前回の意味深な引きが、全部台無しだよ!」
悪魔と聴いても怯まずツッコむ俺!
『――だって、ほら、私、あくまでも悪魔Deathから。そんな事も出来ちゃうんだな』
そんな俺を意にも介さず、口端をニィっと更に吊り上げ、俺を嘲笑ってくる自称、悪魔ななにか。
そんな顔でも可愛いぢゃねーか、コンチクショー!
「くっ……。何処の真っ黒い執事さんの言い草だよ! 悪魔って言われて、はいそうですかって言えるか!」
『え~⁉︎ アークマでも悪魔な設定よ?』
「嫌、関係なく無い? PSOのアークマは、ある意味で悪魔な設定だけども!」
『煩いわね、漫才ぶっこいて無いで、物語早よ!』
口をタコさん唇にしてプンスカ怒る。
――え? 悪いの俺?
「停滞させてる原因はアンタだ!」
取り敢えず、自称、悪魔ななにか。については、今はそれで妥協しておく事にする。
気を取り直して三輪車に目を向ける俺と、背後から覆い被さるようにして、同じく三輪車を感心しつつ見ている。
なにかの抽選で当たったボロボロだった呪いの三輪車は、素敵過ぎるアイちゃんのお陰で、凄いマシンになって帰ってきた――。
特に足回りは完璧の一言。
車輪を軽く手で回すだけで、凄い長い時間、慣性だけで回り続けている。
車軸のベアリングをシーリングに変えたな、コレ。
ステムのキレもすっかり直ってる。
思い切りレース仕様ぢゃねーかよ!
近所の園児に――凄え良い三輪車に乗ってんぢゃねーかよ、僕ちんとどっちが早いか勝負だ! ――とか、バトル仕掛けられても間違い無く連戦連勝ぢゃねーかよ!
そんな園児はいない。いたらホラーだ。
更にそんな園児に対抗する大人は阿呆だ。
だが、妄想を実現化するには猛り狂うように走らねばならない……。
これが俺の背後に居る自称、悪魔ななにか。が言っていた不変の設定だ。
これで思う存分に猛走出来る筈……。
ただ、良い歳した大人が三輪車のちっちょいペダルを血相を変えて必死に漕ぐ姿は、想像するだけでもドン引きだっつーのが、色んな意味でハードルも高くホラーではあるが、な?
『猛走やろう、えー⁉︎ チート?』
早よやれと駄洒落で急かし、まだ見てもいないその性能にビックリして、流行りのキーワードを口にした! 自称、悪魔ななにか。
「何処の洋画だよ! 急かさなくても乗るっての!」
一応、ツッコミで返しておく。
実際、乗るのに抵抗あるんだよ!
出来るだけ引っ張っておきたいんだよ!
文字数を稼ぎ――これは言う事ぢゃねーか。
取り敢えず、やってみた。
「オラオラオラオラ! 俺の前は何人たりとも走らせねぇー!」
なにを思ってそんなに滑車を回すのよってくらいのハムスターのそれ以上の勢いで、猛走する!
まるで某自転車アニメで有名な丸メガネ君のように、ちっちょいペダルを全力で回して回した!
凄え良く走る! 漕げば漕ぐ程に進んで行く感じだ! 凄いぞ!
三つの車輪のグリップ力も、俺の体重がしっかり載って路面をキープしやがる!
しかも、なんて軽い車体なんだ!
当たり前だった。幼児の三輪車なのだから。
手足の長いあの人のように、車体から身を乗り出す有り得ないディフォルメされたアクロバティックなライディングスタイルで、俺は舌を出してはぁはぁ言いながら、ちっちょいペダルを回転させ、呪いの三輪車を猛走させた!
だが実際は、走る人よりも遅い。
「鈍いのぅ、三輪車は。童心に返って遊んどるのか? 良い歳して……よっぽど好きなんぢゃのぅ」
可哀想な者を見る目で俺を追い越していくご年配の方から、居た堪れない激励を受けた――。
どう言った類いの罰ゲームなのだろうか……。
『ジャスト一分だ。良い夢見れたか?』
「阿呆か! 良い夢所か酸欠で目がチカチカするわ! 下手するとお花畑が見えるわ!」
『チッ、これだから凡人は。努力と言う言葉を知らんのかっての……』
「阿呆か! 努力してもめっさ疲れるわ! 漕ぐのに必死で妄想なんて出来るか! そもそも設定に無理があるんだっつーの! せめて大人用の三輪車にしやがれ!」
『自分が負けたのを、乗り物の所為にして……あ~、格好~悪ぅ~』
「なんに負けるんだよ! あのご年配にかよ! 確かにお歳の割に、健康的で元気溌剌だったけども!」
昔、妄走族ってのがあったが、これは違う意味の猛走族だよ。めっさ体力いるわ。
こんなで本当に俺の妄想を実現出来るんか?
ちと不安になってきやがりましたよ――。
しかし、現実とは時として、過酷な試練を与えてくるのだった!
俺が……嵐を呼ぶ園児みたくなっていた――。
――――――――――
気になる続きはあるのか?
答えは広告の後で!(笑)
前回の引き際、ホラーっぽい演出で悪魔とか吐かしやがった、なにか。
幼女姿だったクセに、異国の喪服が良く似合うボンッ、キュッ、ボンッな異様な出で立ちでな? 今さっき気付いたわ、俺。
『演出って失敬よね! あんまりメタなギャグで走らないでくれる? どっちも私の本当の姿よ? ある意味では。だけど』
ニィっと笑うとチラ見させる八重歯が、牙っぽく尖っていて鋭かった。
「アンタこそナレーションに対してしれっと答えんなや! ただのエキストラのクセに! ――人違うけど。前回の意味深な引きが、全部台無しだよ!」
悪魔と聴いても怯まずツッコむ俺!
『――だって、ほら、私、あくまでも悪魔Deathから。そんな事も出来ちゃうんだな』
そんな俺を意にも介さず、口端をニィっと更に吊り上げ、俺を嘲笑ってくる自称、悪魔ななにか。
そんな顔でも可愛いぢゃねーか、コンチクショー!
「くっ……。何処の真っ黒い執事さんの言い草だよ! 悪魔って言われて、はいそうですかって言えるか!」
『え~⁉︎ アークマでも悪魔な設定よ?』
「嫌、関係なく無い? PSOのアークマは、ある意味で悪魔な設定だけども!」
『煩いわね、漫才ぶっこいて無いで、物語早よ!』
口をタコさん唇にしてプンスカ怒る。
――え? 悪いの俺?
「停滞させてる原因はアンタだ!」
取り敢えず、自称、悪魔ななにか。については、今はそれで妥協しておく事にする。
気を取り直して三輪車に目を向ける俺と、背後から覆い被さるようにして、同じく三輪車を感心しつつ見ている。
なにかの抽選で当たったボロボロだった呪いの三輪車は、素敵過ぎるアイちゃんのお陰で、凄いマシンになって帰ってきた――。
特に足回りは完璧の一言。
車輪を軽く手で回すだけで、凄い長い時間、慣性だけで回り続けている。
車軸のベアリングをシーリングに変えたな、コレ。
ステムのキレもすっかり直ってる。
思い切りレース仕様ぢゃねーかよ!
近所の園児に――凄え良い三輪車に乗ってんぢゃねーかよ、僕ちんとどっちが早いか勝負だ! ――とか、バトル仕掛けられても間違い無く連戦連勝ぢゃねーかよ!
そんな園児はいない。いたらホラーだ。
更にそんな園児に対抗する大人は阿呆だ。
だが、妄想を実現化するには猛り狂うように走らねばならない……。
これが俺の背後に居る自称、悪魔ななにか。が言っていた不変の設定だ。
これで思う存分に猛走出来る筈……。
ただ、良い歳した大人が三輪車のちっちょいペダルを血相を変えて必死に漕ぐ姿は、想像するだけでもドン引きだっつーのが、色んな意味でハードルも高くホラーではあるが、な?
『猛走やろう、えー⁉︎ チート?』
早よやれと駄洒落で急かし、まだ見てもいないその性能にビックリして、流行りのキーワードを口にした! 自称、悪魔ななにか。
「何処の洋画だよ! 急かさなくても乗るっての!」
一応、ツッコミで返しておく。
実際、乗るのに抵抗あるんだよ!
出来るだけ引っ張っておきたいんだよ!
文字数を稼ぎ――これは言う事ぢゃねーか。
取り敢えず、やってみた。
「オラオラオラオラ! 俺の前は何人たりとも走らせねぇー!」
なにを思ってそんなに滑車を回すのよってくらいのハムスターのそれ以上の勢いで、猛走する!
まるで某自転車アニメで有名な丸メガネ君のように、ちっちょいペダルを全力で回して回した!
凄え良く走る! 漕げば漕ぐ程に進んで行く感じだ! 凄いぞ!
三つの車輪のグリップ力も、俺の体重がしっかり載って路面をキープしやがる!
しかも、なんて軽い車体なんだ!
当たり前だった。幼児の三輪車なのだから。
手足の長いあの人のように、車体から身を乗り出す有り得ないディフォルメされたアクロバティックなライディングスタイルで、俺は舌を出してはぁはぁ言いながら、ちっちょいペダルを回転させ、呪いの三輪車を猛走させた!
だが実際は、走る人よりも遅い。
「鈍いのぅ、三輪車は。童心に返って遊んどるのか? 良い歳して……よっぽど好きなんぢゃのぅ」
可哀想な者を見る目で俺を追い越していくご年配の方から、居た堪れない激励を受けた――。
どう言った類いの罰ゲームなのだろうか……。
『ジャスト一分だ。良い夢見れたか?』
「阿呆か! 良い夢所か酸欠で目がチカチカするわ! 下手するとお花畑が見えるわ!」
『チッ、これだから凡人は。努力と言う言葉を知らんのかっての……』
「阿呆か! 努力してもめっさ疲れるわ! 漕ぐのに必死で妄想なんて出来るか! そもそも設定に無理があるんだっつーの! せめて大人用の三輪車にしやがれ!」
『自分が負けたのを、乗り物の所為にして……あ~、格好~悪ぅ~』
「なんに負けるんだよ! あのご年配にかよ! 確かにお歳の割に、健康的で元気溌剌だったけども!」
昔、妄走族ってのがあったが、これは違う意味の猛走族だよ。めっさ体力いるわ。
こんなで本当に俺の妄想を実現出来るんか?
ちと不安になってきやがりましたよ――。
しかし、現実とは時として、過酷な試練を与えてくるのだった!
俺が……嵐を呼ぶ園児みたくなっていた――。
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