流行りの異世界――転生先が修羅場で阿鼻叫喚だった件について説明と謝罪を求めたい。

されど電波おやぢは妄想を騙る

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第一二幕。

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「あ、紅っ! 一体、何をするっ!」

 当然、席から立ち上がって、顔面蒼白になって慌てふためく私だった!

「だ、大丈夫だ……主人……そう……狼狽するで、無い」

 胸から引き抜いた手には、拳大程度の美しく輝く宝石の様なモノが握られていた!
 そしてそのまま、椅子から転げ落ちる様に力無く横に倒れ込む紅!

「――紅っ!」

 床に倒れ込む前になんとか受け止める事が出来た私。
 静かに仰向けにさせ、血に染まった上半身を抱き寄せた。

「これは竜玉りゅうぎょくと言っての――儂の心臓に等しく力の源でもある。一体に一つの貴重な物故、法外な値段で取引されておる物だ。先に言った条件を満たしておらんでも、無理矢理に身体から引き摺り出して、魔術何ぞの媒介に使ったり出来るのでな? 彼奴等――不敬で不遜な輩は竜玉が欲しいがばかりに、儂の同族を乱獲し駆逐していきおったのだ。従わせる為に拷問し、見目麗しい同胞は陵辱し辱められ、最後には殺され抜き取られる――例の竜の力を削ぐ忌まわしい魔導具を使って抵抗力も奪ってな? 竜玉とはある意味で、呪われた忌まわしき物とも言えるのだ……」

 少し息が荒いが、しっかりした口調で私に説明する紅。
 少し震えている右手の平に載せて、私に見せ哀しく微笑んだ。

「竜玉……これが……」

 抱きかかえている上半身をしっかり抱き込み左腕で支える私。
 空いた右手を紅の震える手に重ねて竜玉を見る。

「正しく人の身に宿せば、譲渡された竜が持つ大きな力が得られるのだ。――主人には心臓が無い故に、儂の竜玉を心臓の代役としてその身に宿せば良い。儂の竜の力を完全に取り込み、確実に強くなれる……」

 哀しく微笑んだまま、左手を添えて竜玉を私にしっかりと握らせた紅。

「私に心臓を差し出してどうするんだ! 阿呆の子と小馬鹿にするが、阿呆の子は紅の方では無いか! 紅が居なくなっては本末転倒だろうに!」

 今にも泣き崩れそうになるも必死に堪え、ありったけの力で紅を抱き込む。
 紅の頬に私の頬を寄せ、不甲斐ない私の為に無茶をした紅を、思いっきり叱り飛ばしてやった!

「――だ、大丈夫だ。そう心配するで無いわ。今回は儂の意思でこの身より抜き出したので、傷は残るが死にはせぬ。――但し、授かる者と生死を共にする。つまり、命の共有――文字通りの一蓮托生にはなるがの。主人は……嫌か?」

 頬に頬を擦り寄せて、私に告げる紅。

「紅はやはり阿呆の子だな! 何を聴いていた? 私は紅に変わらぬ愛を誓うと言った筈だ! ――嫌な訳があるか!」

 命に別状は無い――そう聴いて少し落ち着きを取り戻した私。
 紅にいつも言われている真似をして、言葉通りの精一杯の愛情を込めて叱り付けた。

「これは主人に一本取られたのう」

 冗談混じりで優しい微笑みを携える紅。

「今、証明しよう。――私が如何に紅を想い、必要としているかを!」

 右手で胸の甲冑を外し、鞣革の胸当てを剥ぎ取って、惨たらしい胸の大穴を晒す私。
 紅より手渡された竜玉を、何の躊躇も見せずにその胸の奥へと押し込んでみせた。

 言われていた程に危険でも何でもなかった。
 極自然に、私の身体に馴染んでいったのだ。
 光るとか輝くとか激痛が来るだの鱗塗れの竜の姿になるとか、そんな劇的な変化や気配は全くせずに――。

 

 だが、この瞬間――確かに紅と繋がったのが解った――。



 憶測だが、私のこの異常な状況下に置かれている身体の所為かも知れない。
 本来であれば、紅の告げる様な苦しみを患っていたかも知れない。

「――これで私と紅は一蓮托生だな。紅が愛想を尽かし逃げようとも、地の果て迄も追い掛けて取り戻してやるよ」

 何事も起きず安堵する私は、もう一度、紅の頬に頬を寄せて優しく告げた。

「――主人よ。少々、病んでおらぬか?」

 雰囲気が台無しになる言葉を投げ掛けてくる紅は、私が寄せた頬を頬で押し返してくる。

「酷いな、私は紅を想って――」

 心外だと口にする私の言葉を、震える人差し指で遮って――。

「――皆まで言うな、主人。間違っても重いとか儂は言わんからの。しかし、誠、摩訶不思議よのう。僅かに一晩、経っただけだと言うに、儂をこんな気持ちにさせるとはのう……主人が言ってくれた事、儂からも同様に返してやるわい――」

 そう告げた後、唇を重ねた――。

「儂のこの身と共に捧げよう――主人」

「紅……。私も一本――否、根こそぎ取られたな」

 少し照れ臭く笑う私を、優しく見上げる紅だった――。
 紅をお姫様抱っこで軽々と抱き上げて、寝室に運ぶ私。
 竜玉のお陰か、全く重さを感じない。

「紅……。無茶をさせた。この礼は私の生涯を掛けて返していくとする」

 言葉を投げ掛け、穿たれた傷に視線を落とすと、既に塞がっていた。
 竜が持つ、自然治癒か自己再生の賜物なんだろう。
 喩えは良く無いが、まるで蜥蜴の尻尾だな。

「儂の傷を見て、何を笑うておる、主人」

「済まない――悪意も他意もない。気にするな紅」

 流れる様に美しく綺麗な髪をそっと撫でてやる私。

「何ぞ失敬な事でも考えておったのであろう? まぁ良い。まだ自由には動けぬが、じきに回復する故、治り次第、試練の間に出掛けるとしよう」

 私の手を握り、そう告げた紅に私は――。

「駄目だ、紅。私に理由も告げず、いきなり脅かした罰を与えねばならん」

「罰とな⁉︎ 待つのだ主人よ⁉︎ 竜玉の力を得た主人は儂と対等! 酷い罰だと洒落にならぬ!」

 珍しく怯えた仔犬の様な態度が、余りにも可愛いらしかったので、悪戯っぽく容赦無く告げる私は――。

「駄・目・だ、紅。甘んじて罰――愛あるお仕置きを受けてもらうぞ? ――今日は私と一緒にゆっくり過ごそう。文字通り、契りを交わして、な?」

 そう言って紅をしっかり抱き込んだ!

「――な⁉︎ ど、ど、ど、どーしてもなのか⁉︎ あ、主人よっ⁉︎」

「私の妻たる紅に拒否権は無い。愛あるお仕置きだからな! ――って、冗談だ。――紅が欲しい……駄目か? 駄目なのか?」

「そ、そ、そ、それは……その顔でその言い方は狡い! そんな風に言われては……儂は……儂は……拒否出来ぬであろうが……」

「紅――」「あ、主人――はぅ⁉︎」

 絆でも結ばれたこの日、名実共に結ばれる事になった――。

 ちなみに、の絶叫は、一日中、絶える事は無かった――。



 ――――――――――
 気になる続きはCMの後!
 チャンネルは、そのまま!(笑)
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