流行りの異世界――転生先が修羅場で阿鼻叫喚だった件について説明と謝罪を求めたい。

されど電波おやぢは妄想を騙る

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第五一幕。

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『URORORORO』

 顎から下半分と右側頭部を失い、視界も奪われた屍竜は、ひたすら暴れ狂っていた。

「苦しませて……済まない」

 頭に狙いをつけた私は、一足飛びに跳躍する!

 そして左眼に突き刺さる剣を右手で掴み、鉄棒で逆上がりでもするかのように反動をつけ、頭上へと飛び移った!


 その際、突き刺さっていた剣を、偶然、引き抜くことができた。


「丁度良い!」

 その剣を巨大な脳天へと突き立て、渾身の力でもって貫く私!

『URORORORO』

 私を振り落とそうと壁に頭を打つけ、大暴れしまくる屍竜!

 突き刺した剣に必死に縋りつき、振り落とされまいと耐えていた私だったが、幾度も壁に激突され、遂にズルリと抜けてしまうのだった!

「――くっ!」

 大きな首を弓形に振り抜かれ、地面へと叩きつけられるように振り落とされた私!

 受け身を取るも勢い余って、地面を跳ねるように吹き飛んでいき、壁に激突したところでようやく止まる。

「ふぅ――私の鎧がなければ……確実に死んでいたな。最早、私は人の範疇に収まらない、人外に等しいかもだな」

 鎧と私の頑丈さに半ば呆れつつ、土を払いながら起き上がる。

「済まない、黒竜。妻の願いゆえ、私は引くわけにはいかない。――許して欲しい」

 大暴れな屍竜にそう呟く――。

 屍竜から引き抜いた剣と、私の宝剣を両手に携え、暴れ狂う屍竜を終わらせる為、駆け込んで向かおうとした、その時――。


『我の精神支配すら通じず、あまつさえ平然と扱うとはな。――本来、資格なき者が我を手にすれば、意思を乗っ取られるか、自我が崩壊し廃人と化すと言うのに。――貴様は一体……』


 突如、妙齢で威厳のある女性の声が、頭に響いた――。


 それこそ紅に近い物言いで、先ほど引き抜いた剣から発せられているようだ。

 いつ何処で知ったのかは、自分の記憶を持ち得ない私には解らない。

 だがしかし、このように語り掛けてくる、意思を持つ武具の存在を、何故か私は知っていた――。


 意思を持つアーティファクト。
 その名を――インテリジェンス・ソード。


「――剣の人格……否、剣格か。済まない、何かできるなら、私に少しばかり力を貸してくれ」

 暴れる屍竜から無作為に振り下ろされる爪、振り抜かれる尾の攻撃、天井から降り注ぐ無数の瓦礫を捌き、合間を縫って躱しながら、右手に持つ剣に意識で伝えた。

 屍竜と対峙している今の私は、例の如く身体が自動的に対処している状態。
 なので、会話の方に意思を割いてもなんら問題もなく、こんな芸当ができる。

『剣からいきなり語り掛けられてきたら、普通は驚くものではないか? それにしても……貴様……思考することなく、反射的に攻撃を避けているのか?』

「少し違う、剣。私の身体は歴戦の騎士だ。巧みな体捌きが既に染み付いている。――簡単に言うと、この身体に任せているだけだよ」

『ほぅ――そんな芸当ができるのか。貴様、存外に面白い奴だな? 契約も誓約も盟約もなしに我――魔剣を使役できる者か……。俄然興味が沸いたぞ。まぁ、少しばかり貸しを作っておくのも面白いかもな』


 直後、右手に携える魔剣から、禍々しい漆黒の炎が噴き上がり、刀身全てを包み込んだ!


「助かる魔剣とやら。――これで焼き斬れる!」

 暴れる屍竜の首を狙って舞い上がり、一気に振り抜いた!

『焼き斬る? ――我が深淵なる炎は、そんな生優しいものではないぞ? 魔剣ルインを舐めるでない』

 魔剣ルインの刀身から凄まじい勢いで立ち昇る、禍々しいまでの漆黒の炎!


 屍竜の首に炎の渦となり切断すると共に、身体全体を覆い尽くして燃え広がる!

 周囲の瘴気までも漆黒の炎の渦が吸い込んで、瞬く間に蒸発させられていった!


「私は……紅き竜に託されたのだ――救ってくれと。済まない……黒竜」

 暴れる屍竜の周りを跳びかい、語りかけながら容赦なく畳み掛けた。

 神々しく輝く宝剣でその身を断ち斬り、禍々しい魔剣ルインの漆黒の炎で翼を削ぎ、胴体に尾に手脚を両断、跡形も残さぬように斬り刻んで焼き斬ると言うより、蒸発させていった――。


 巨軀を細切れにされ、焼き尽くされ、痕跡ひとつ残さずに蒸発させられていく屍竜――。


「――どうか、安らかに」

『――やっと解放されるな……良かったな、黒竜』


 両手の剣を鞘に納めて片膝をつき、焼き尽くされる屍竜に祈りを捧げ、静かに看取る私。


 最後に残った頭が崩れ落ちる、ほんの刹那――。


 不浄の者に堕ちた呪縛より解き放たれ、私を見る屍竜の怨嗟に満ちた眼が、澄んだ金眼に戻る――。


 そして――。


『世話を掛けた――』


 最期の言葉が静かに響いた気がしたあと、この世界から解き放たれた――。


 そして――。


 紅と同じような、拳大の竜玉が残された。


『我と一対なる聖剣ライズまで携えよってからに。貴様は一体、何者なんだ?』

 竜玉を拾い上げ、眺めていた私に語りかけてくる魔剣ルイン。

「聖剣? これが?」

 聖剣ライズ――元いた世界では、興隆を意味する言葉だが……。

 魔剣ルイン――破滅を意味する、興隆の対義語になる名称と言い……。

『我のように人格を持っている筈なのだが……反応がないな? 眠っているのか、或いは損なわれたのか――まぁ、我の知るところではない。どうでも良いな』

 頭に響く言葉とは裏腹に、寂しい感覚が伝わってきた。

「聖剣ライズと魔剣ルイン――興隆と破滅か。一対の剣と言っていたが、斬っても斬れない縁なのかな? ――で、どっちが強いんだ?」

 魔剣ルインを元気つけるつもりで、妙な駄洒落混じりに意地悪な質問をしてみた私。

『ふ、妹のライズ如きに――我は魔剣、ゆえに負けんよ』

 意図したのかそうでないのかは解らないが、意外にも駄洒落で切り返してきた。

「――ぷ。負けんって……魔剣だけにか?」

 ドヤ顔のイメージが幻視できた私は、つい吹き出してしまう。

『――う、煩い! 少し戯れてやっただけだ! 調子に乗るなよ、貴様! わ、我を馬鹿にするな!』

 やはり、必至にジタバタする、紅にそっくりなイメージしか浮かばない。
 
「はいはい。さて、紅の所に戻るとするか」

 ちょっと人格――剣格の面白い剣を手に入れたなと、思って微笑む私だった――。



『何が面白い剣だ! 貴様、覚えてろ!』



 ――――――――――
 気になる続きはCMの後!
 チャンネルは、そのまま!(笑)
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