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第二部 彼の国編――。
第一四話 状況を把握しようとするも。
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『んっ……アーネスト様……』
俺があまりにも意味不明な現状について、色々と推測しているうちに、ミサが静かに目覚めてきた。
「起きたか、ミサ。大丈夫か?」
ミサの華奢な手を取り、優しく抱き起こす。
『特に……問題は……大丈夫です』
俺に手を引かれゆっくりと立ち上がったあと、腕をあげたり脚をあげたり、ストレッチのように動かして身体中を見て回るミサ。
最後はスカートをたくしあげ、中を覗き込んで謎に納得の笑顔。
下着が気になったとか?
「なぁ……どう見てもここって彼の国だよな? それも国境付近にあった平原の」
ツッコミはスルーして同意を求めた。
『そう……ですね……確かに仰る通りに御座いますね。先ほどから私の本来の活動源である魔素が、大気中から無尽蔵に吸収できている時点で……相違ありません』
怪訝そうに周囲を見渡しつつも肯定する。
現代社会での活動源は電気で代用していたが、本来は魔素さえあれば何も要らないのがミサだ。人間のように、物を食べて補う必要すらもない。
「なぁ、一体、何が起きた? 敵か味方かは知らんが、誰かに呼ばれたとか?」
『いえ。残念ながらそれはないかと。召喚術師が構築した術式による、正規の呼び出しではないかと。これは一体……』
二人して首を傾げて考えてみるも、答えが得られる筈もなく。
「う……ん……下賤の者が纏う衣は……もう嫌じゃ~」
二人でそうこうしてるうちに、マリー改めマリアンヌも目覚め始めた。
「やっとお目覚めかい? マリアンヌ」
『お早う御座います、マリア様』
「は⁉︎ もしや妾は……寝ておったのか? ゆ、夢で良かった……あのような穴の空いた破廉恥極まる下賤な衣装でなく、本当に良かったのじゃ……」
「マリアンヌ、どんな夢だよ」
『欲求が溜まっておられるのでは?』
「酷い言われようじゃのぅ……。して主よ。なして妾をマリーではなくマリアンヌと呼ぶのじゃ? ――って、なんじゃとっ⁉︎ 妾の姿が元に戻っておるではないかっ⁉︎ しかもこの魔素を多分に含んだ心地良くも懐かしいこの空気――もしやっ⁉︎」
顎に指を添え首を傾げつつ思案するも、直ぐに状況把握ができるとは流石だよ。
マリーではなくマリアンヌの時は、本当に頭の回転も早いのな。
ただな? 気づくの遅ぇよ。
「そう。俺達は何がどうなってるのか一切不明だが、どうやら彼の国に降ろされたらしい。それもマリアンヌ本来の姿に戻されてな?」
『御意』
「なんと⁉︎ 妾としては実に有難いのじゃが……理由なく元に戻されておるのが、どうにも気色悪いし腑に落ちん。更にアレは……どう言った類いの嫌がらせなのじゃ?」
カッコ良く寝っ転がる美男子にジト目を向け、そう呟いた。
「あれな? 全く解らん」
『御意』
「あの者は……下衆であろう?」
「今は……ゲショタ君だな」
「ゲショタとな?」『確かに……』
下衆徒君の畏怖を覚える醜悪な姿であったなら、確実かつ絶対に蹴って起こすといったぞんざいな扱いをしてたところだが、今は美男子姿でカッコ良く寝てるときた。
「意味不明にカッコ良く寝てるとこ悪いが、ぼちぼち起きてくれん?」
蹴るのは流石に良心の呵責に耐え辛いので、プニプニ頬っぺたを優しくペチペチと叩き、そっと起こしにかかる俺だったり……調子が狂うのな。
「マリア様……このお召し物に……お召し替え早よ早よ……更に破壊力が……」
なんか寝言ほざいてるよ。
『中身は下衆様のままのようですね』
俺の背中に覆いかぶさるように覗き込むミサ。
「主よ。このまま葬っても良いかの? 今なら確実に消してやれよるぞ?」
そう言って、俺とミサの差し向かいに優雅に立つ本来のマリアンヌ。
前屈みでゲショタ君を覗き込み、青筋立てて怒ってます。
お陰で扇状的な赤いドレスの胸元が実に目に毒なので、そっと視線をゲショタ君に戻す羽目に。
立ち居振る舞いに怒り顔まで絶世の美女ってなぁ……マリーの時と違ってやっぱ調子が狂う。
「激しく同意……って言いたところだが。まぁ、堪えてやってくれん?」
「主がそう言うのであれば、今は堪えてやってもやぶさかではないの。妾のことは置いてくにせよ、何故に此奴のみがこのように面妖な幼い姿に?」
『何か……秘密が……』
イケショタ姿ゆえに、二人にしても調子が狂っている模様。
いつもなら有無を言わさず吊し上げ……って、どうでも良いな。
「……う、う~ん」
丁度、姫君が目覚め始めた。
一応、目だけは逸らして……否。背を向けておいてあげよう。
素っパでのお目覚めでこの状況では、流石に可哀想だからね……やっぱ調子が狂う。
――――――――――
新たな悪戯はまだまだ続く。(笑)
俺があまりにも意味不明な現状について、色々と推測しているうちに、ミサが静かに目覚めてきた。
「起きたか、ミサ。大丈夫か?」
ミサの華奢な手を取り、優しく抱き起こす。
『特に……問題は……大丈夫です』
俺に手を引かれゆっくりと立ち上がったあと、腕をあげたり脚をあげたり、ストレッチのように動かして身体中を見て回るミサ。
最後はスカートをたくしあげ、中を覗き込んで謎に納得の笑顔。
下着が気になったとか?
「なぁ……どう見てもここって彼の国だよな? それも国境付近にあった平原の」
ツッコミはスルーして同意を求めた。
『そう……ですね……確かに仰る通りに御座いますね。先ほどから私の本来の活動源である魔素が、大気中から無尽蔵に吸収できている時点で……相違ありません』
怪訝そうに周囲を見渡しつつも肯定する。
現代社会での活動源は電気で代用していたが、本来は魔素さえあれば何も要らないのがミサだ。人間のように、物を食べて補う必要すらもない。
「なぁ、一体、何が起きた? 敵か味方かは知らんが、誰かに呼ばれたとか?」
『いえ。残念ながらそれはないかと。召喚術師が構築した術式による、正規の呼び出しではないかと。これは一体……』
二人して首を傾げて考えてみるも、答えが得られる筈もなく。
「う……ん……下賤の者が纏う衣は……もう嫌じゃ~」
二人でそうこうしてるうちに、マリー改めマリアンヌも目覚め始めた。
「やっとお目覚めかい? マリアンヌ」
『お早う御座います、マリア様』
「は⁉︎ もしや妾は……寝ておったのか? ゆ、夢で良かった……あのような穴の空いた破廉恥極まる下賤な衣装でなく、本当に良かったのじゃ……」
「マリアンヌ、どんな夢だよ」
『欲求が溜まっておられるのでは?』
「酷い言われようじゃのぅ……。して主よ。なして妾をマリーではなくマリアンヌと呼ぶのじゃ? ――って、なんじゃとっ⁉︎ 妾の姿が元に戻っておるではないかっ⁉︎ しかもこの魔素を多分に含んだ心地良くも懐かしいこの空気――もしやっ⁉︎」
顎に指を添え首を傾げつつ思案するも、直ぐに状況把握ができるとは流石だよ。
マリーではなくマリアンヌの時は、本当に頭の回転も早いのな。
ただな? 気づくの遅ぇよ。
「そう。俺達は何がどうなってるのか一切不明だが、どうやら彼の国に降ろされたらしい。それもマリアンヌ本来の姿に戻されてな?」
『御意』
「なんと⁉︎ 妾としては実に有難いのじゃが……理由なく元に戻されておるのが、どうにも気色悪いし腑に落ちん。更にアレは……どう言った類いの嫌がらせなのじゃ?」
カッコ良く寝っ転がる美男子にジト目を向け、そう呟いた。
「あれな? 全く解らん」
『御意』
「あの者は……下衆であろう?」
「今は……ゲショタ君だな」
「ゲショタとな?」『確かに……』
下衆徒君の畏怖を覚える醜悪な姿であったなら、確実かつ絶対に蹴って起こすといったぞんざいな扱いをしてたところだが、今は美男子姿でカッコ良く寝てるときた。
「意味不明にカッコ良く寝てるとこ悪いが、ぼちぼち起きてくれん?」
蹴るのは流石に良心の呵責に耐え辛いので、プニプニ頬っぺたを優しくペチペチと叩き、そっと起こしにかかる俺だったり……調子が狂うのな。
「マリア様……このお召し物に……お召し替え早よ早よ……更に破壊力が……」
なんか寝言ほざいてるよ。
『中身は下衆様のままのようですね』
俺の背中に覆いかぶさるように覗き込むミサ。
「主よ。このまま葬っても良いかの? 今なら確実に消してやれよるぞ?」
そう言って、俺とミサの差し向かいに優雅に立つ本来のマリアンヌ。
前屈みでゲショタ君を覗き込み、青筋立てて怒ってます。
お陰で扇状的な赤いドレスの胸元が実に目に毒なので、そっと視線をゲショタ君に戻す羽目に。
立ち居振る舞いに怒り顔まで絶世の美女ってなぁ……マリーの時と違ってやっぱ調子が狂う。
「激しく同意……って言いたところだが。まぁ、堪えてやってくれん?」
「主がそう言うのであれば、今は堪えてやってもやぶさかではないの。妾のことは置いてくにせよ、何故に此奴のみがこのように面妖な幼い姿に?」
『何か……秘密が……』
イケショタ姿ゆえに、二人にしても調子が狂っている模様。
いつもなら有無を言わさず吊し上げ……って、どうでも良いな。
「……う、う~ん」
丁度、姫君が目覚め始めた。
一応、目だけは逸らして……否。背を向けておいてあげよう。
素っパでのお目覚めでこの状況では、流石に可哀想だからね……やっぱ調子が狂う。
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新たな悪戯はまだまだ続く。(笑)
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