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第二部 オタクと中二病。

二十三痛 そんなの頑なに認めない俺。

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「――と言うわけなのよっ……って、ちょっと、ちょっとっ! ちゃんと聴いてるのっ⁉︎ 何を胸ばかりガン見して悦ってくれちゃってんのよっ!」

 教室にある俺の席の向かいに立つ真野氏。
 言葉とは裏腹に両腰に両手を添えて強調した、見ても良いのよ触っても良いのよ的に、たわわ過ぎる果実を眼前に差し出す勢いで、相変わらず意味不明にプンスカとオコを披露する。


 たわわアピールは意図的ですか?
 だとしたら実にあざといですね。


「――すいません。昨日さくじつの前世のくだりと同様、コピペな言い草の戯言に脳が融解し、あの世を彷徨さまよってました」

 席に座ったまま、夏服の薄いブラウスから透け気味に覗かせる、いけない布地越しにたゆんたゆんと揺れ下がる、良い匂いな真野氏のたわわを目と鼻の先で拝謁させられる俺は、息を呑んでアンダーリムなアニメコラボの痛い眼鏡のノーズパッドを中指で押し上げ、男子高校生的にこいつ俺に惚れてんじゃね? と勘違いするメガネ、クイッ! 或いは超ラッキーなメガネ、クイッ! を披露――って、長ぇ、長ぇよ。途中で区切れよ。


 しかもどんなクイッ! だよ?
 俺のが意味不明だよ。


「くっ……前世はもう良いのよっ! あれは既に終わった話しなのよっ! ただね……魔界対抗試合のくだりはまだ有効なのよ。だからアンタが居てくれないと……我が陣営が負けちゃうのよ……解ってよ」

 真野氏から初っ端のジャブ的な我が陣営、戴きましたー。
 新ヘアースタイルが普通以上に良く似合ったシュンです。ツンデレのテンプレっぽく、退っ引きならない癇癪で果敢に攻めてくるかと思いきや、普通にシュンです。

「真野氏。我が陣営とほざ――ゲフンゲフン。私のクラスが負けると素直に仰ってくれれば、俺も協力して差し上げてもやぶさかでないですけども?」

 メガネ、クイッ! と現実を突きつける。

 中二病疾患の真野氏の通訳をすると、近々、開催される普通に体育祭で、自分が参加する種目のメンバーを探していただけ。
 要するに細マッチョで暇人の俺に、単に行き着いて声を掛けてくれたってわけ。

 ついさっきのホームルームで、カウンセリングな保険医でもある担任から知り得た驚愕の事実だ。


 真野氏、先生には真っ当に相談してたんね……。
 

「そんな恥ずかしいことを私に言わせる気っ⁉︎ 鬼畜ねっ! 衆目の前でえっちくっさいそんなこと言うくらいなら『くっ……殺せ』って言ってやるわよっ!」

 真野氏、何故かオコです、激オコです。


 えっと……何処が恥ずかしく、どの辺りがえっちくっさいのでしょうか?
 あまつさえ何故に鬼畜ねっ! 呼ばわりされねばならんのでしょうか?
 流石の俺も理解に苦しみ――否、美少女のくっ殺は大好物でした。
 それを指しての鬼畜呼ばわりなオコであるならば、実に納得のオコです。


「学校一有名な真野まの氏たる貴女ほどの美少女が、そのような戯れ言ばかり仰っては色々と良くないでしょう? 周囲のご学友から向けられる奇異の目に思うところはないのでしょうか?」

 絶世の美少女が良いんかそんなで? と、ややジト目のメガネ、クイッ!

「それは……キモオタでブサメンなアンタに! 美しさは罪ねな私が話しかけてるからよ! 美しさは罪ねに皆んな悦っているのよっ! ホント、美しさは罪ね……」

 真野氏、面と向かって理不尽にオコです。俺のメンタルに『ジョーよぅ⁉︎ 斜め四五度から抉り込むように打つべし! 打つべし』のような割とヘコむキッツいオコです。
 更に間髪入れずナルってます。愛おしくナルっての美しさは罪ねを、たった一回の台詞で三発も見舞ってくれやがるときた。


 そんな許されざる真野氏へ、今回はちょいと報復――ゲフンゲフン。教育的指導に出たいと思います。
 俺も明日からやれば、微妙にできる子なのです。
 


 ――――――――――
 またしても中二病ってやつは。
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