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Scene.04

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「さてと。お次はっと――これだな! 十三日のフライデー。あと味最悪な気色悪い邦画のホラー映画を見た口直しには、解り易いこんなのが持ってこいだもんな! その次はエルム町でも見よう!」

 邪魔が入らないように、部屋の鍵をしっかりかけて置く。
 俺の部屋には大脱出が得意なプリ◯セス某手品師テ◯コーでも、かなり手古摺てこずるくらいの鍵が付けてある。


 勝手に侵入してくる美杉対策だな――意味は殆どないけども。


「おー。やっぱ邦画とは全く違うよな」

 などと感極まって声を上げつつ、ホラー映画に没頭していた俺。

 良い感じのクライマックスに差し掛かろうかと言う時に、背後に気配がした。

「またか……一体どうやって鍵を開けてんだ? もう直ぐ終わるからさ、大人しく観てろっての……全く」

 リモコンで一時停止して、首だけ後ろに振り返ると、さっきの蛸人間が静かに立っていた――。


 また騒ぐと怒られて追い出されるから、じっとしているんだろうよ。
 一応、学習能力はあったのな、美杉。

 しかし、某三代目大泥棒ルパ◯三世や、大脱出が得意なプリ◯セス某手品師テ◯コーも驚くほどの手際だな。

 あれほどに複雑で難儀な鍵を、いとも簡単に解錠してくるとは……。
 その才能を別のベクトル方向性で活かせっての。

「大人しく観てろよ? 追い出すからな?」

 大画面に映し出されるホラー映画に向き直って、続きを観ようとリモコンを操作する。


 その次の瞬間だった――。


 大画面に映し出されるホラー映画が隠れるくらい、がブチ撒けられた!


「な、なんてことしやがる! 巫山戯ふざけんな! おい、コラ、美杉! やって良い悪戯の度が過ぎて――⁉︎」

 叱り付けようと立ち上がった瞬間、膝から力が抜け、元の椅子に深く背中を預けるようにもたれ掛かってしまった。


 俺の腹には、蛸人間の触手が突き刺さっていた――。


「――なんぢゃコリャ⁉︎ 特殊効果特撮技術の一つまでをも使って、俺に本格的な悪戯するってのはどう言う了見だ!」

 俺は触手を突き刺した蛸人間に向かって怒鳴り付けた!


 だがしかし――反応はない。


 蛸人間の眼に当たる部分が怪しく紅く光っていただけ――。

「なんとか言え! ことと次第によっては許――」

 そう言い掛けてる時に、俺の視界が急に反転した!

 部屋も大画面液晶テレビも何故か俺の身体までもが上下逆さまに目に入り、床からそれらを見上げていた!

 直ぐ側に立つ蛸人間は、有ろうことか――、


 俺の身体をむさぼり喰っていた――。


 他人事のように自分の身体をむさぼり喰われてる姿を見せられている俺は、どうやら首を落とされたらしかった――。



 ――――――――――
 気になる続きはこの後、直ぐ!
 チャンネルは、そのまま!(笑)
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