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Scene.17

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 美杉を伴って、近くの公園へとやって来た。

 ここにくる途中、俺と美杉以外の人は、誰一人として見掛けなかった。


 一人くらいは居るか、擦れ違っても良さそうなのに、だ。


 通りや周囲の民家にしてもそうだ。
 生活雑音すらしない――。


 人の気配が全くない。


 そんな異常な状況の中、公園には一組の親子が居た――。


 遠目に見た親子は、小さな男の子が砂遊びをして、その前にお母さんらしき人がしゃがみ込み、子供を見ているようだ。

「美杉、俺達が現実と思っているここも、もしかして未だ悪夢から覚めていない状態じゃないのかと俺は思う」

 親子を遠目で見たまま、隣の美杉に呟くように問い掛けた俺。

「悪夢の輪廻だっけ? そこから、抜け出してはいないって言うの?」

 なんとも理解が及ばない、複雑心理を丸っと顔に出して、俺の問い掛けに答える美杉。

「理由は俺の知るところでは全くないんだが、肉体的な痛みだけが何故かすっぽり抜け落ちてやがんだよ? 現実だったら……まず有り得ない」

「どうかなぁ――試してみるかな。痛……くない? ホントだ!」

 自分の手をつねってみて、痛みを感じるかどうかを試した美杉。


 結果は俺と同じ。これは無痛症に近い。


「俺の悪夢の中だとすると、謎の襲撃者も俺の悪夢に潜んでいるかもしれないって可能性も看過できないがな?」

「悪夢にうなされる悪夢――ホラー映画を沢山観てるもんね、姿形にシチュエーショ場面ンにバリエーショ展開ンの範囲がやたらと豊富そうで怖いよ……」

「まぁな? だが、そう仮定したとしたら……あの親子は一体、になるんだろうな?」

「そういえば。私達以外に誰も居ない悪夢の中の悪夢だとしたら……きっと

「確かめてしかねーのな。美杉はここに居ろ。ヤバかったら直ぐに対処できるように油断はするなよ?」

「お兄ちゃんも気を付けて……」

 砂場で遊んでいる親子に土木用スコップを構えて、慎重に歩み寄る俺。

 目と鼻の先に俺が近付いても、ガン無視で砂を弄っている親子。

 二人共、俯いている所為で、俺からは表情が見えない。

「――ちょいとお尋ねしますが、おたくさんは、一体、何者ですかね?」

 普通に人に尋ねる言葉ではない。
 害をなす者だと確信した物言いで尋ねた俺。


 ゆっくりと俺の方を見るのではなく。
 まるでバネが弾けるが如く、急激にただこちらを向いた二人……。


 本来ある筈の……顔がなかった――。


「――ヤッベ、当たりかよ! 美杉、逃げるぞ!」

 大声で叫んで離れた場所で待機させている美杉の所へと全力疾走する俺!


 だがしかし――。


 美杉の手を取り駆け出そうとした瞬間、抵抗された!


「どうした、急いでここから離れ……る……ぞ――⁉︎」


 美杉に振り返り、驚愕した!


「ヲ……兄チャ……ン――」

 美杉の可愛いい顔が、愉悦に歪んだ禍々しい薄笑いに変わっていた。


 そして――。


 全身に業火を纏い、華奢な手を伸ばしたいたのだ――。


「美杉――」

 その手を掴む俺は、目の前で見るも無残に焼け爛れドロドロと溶けて崩れ落ちる美杉の最期の瞬間を――、


 ただいることしかできなかった――。


 握った手も絡めた指も、俺の手や指の隙間から溢れ零れ落ちていく――。
 


 ――――――――――
 気になる続きはこの後、直ぐ!
 チャンネルは、そのまま!(笑)
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