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第5章 夏の終わりのハーモニー

エピソード35-10

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404号室 ―― 21:25時

 澪とレヴィは、ベッドでうつ伏せになって、静流が来るのを今か今かと待ちわびている。

「澪さん、もうすぐですね、静流様が来るの。ムハァ」
「レヴィ、あくまでもマッサージだからね? それ以上の事で静流クンを困らせてはダメよ?」
「わかってますよ。でも、期待しちゃうなぁ。工藤姉妹なんて、とろけてしまいそうでしたよ?」
「確かにね。あの子たちがあそこまで骨抜きになっちゃうなんて、静流クンのスキルは底無しなの?」

 そんな事を話していると、ドアのチャイムが鳴った。


 ピンポーン!


「「来たぁぁぁ!」」


 澪はむくりと起き上がり、スタスタとドアに向かい、ドアを開けた。ガチャ

「ども、ルームサービスです!」チャ

 ドアを開けた先にいたのは、メガネを掛けた旧独軍SS親衛隊に扮した静流と、浴衣姿のダッシュ7に変身したロディであった。


「「ブッ、ブブゥー!」」


 静流たちの姿を見ただけで、二人は鼻血を吹き、仰向けに倒れた。

「うわぁぁ、だ、大丈夫ですか?」

「「し、幸せぇぇぇ」」ガク

 二人は失神した。



              ◆ ◆ ◆ ◆




「はっ! ココは天国……じゃない」
「あ、気が付きましたか」

 目を回していた二人をベッドに寝かし、目が覚めるのを待っていた静流たち。

「し、静流クン!」
「し、静流様ぁ」
「ストーップ、気を確かに。落ち着いて、どうどう」

 静流はすかさず二人を落ち着かせた。

「お二人のオーダーに出来るだけ寄せてみたんですけど、どうでしょうか?」チャ
「うむ。仕事か?」

 静流はメガネを直す仕草を加えた。ロディは腕を組み、じっとレヴィを見ている。

「さ、最高よ! 静流クンには、やっぱり旧ドイツ軍の装備が似合ってるわぁ。ムフゥ」
「ああ、ダッシュ7、来てくれたんですね? ムハァ」

 二人はマッサージを始める前からとろけてしまいそうな恍惚の表情を浮かべている。
 
「では、準備を始めます。そっちお願い」
「うむ。承知した」

 静流はロディに指示しながら、てきぱきと用意を始める。

「では、お二人共、こちらにうつ伏せになって下さい」
「「は、はぃぃ」」
 
 二人は熱に浮かされたように、フワフワとうつ伏せになった。

「では、始めます。ロディ、頼む」
「あいわかった」

 静流の指示で、ロディは二人の浴衣の帯をほどき、先ず背中を露出させる。
 
「オイル、塗りますね」

 静流は手に人肌に温めたオイルをなじませ、澪の腰から背中全体にオイルをのばす。

「「ひゃん、うっくぅぅん」」

 ロディはレヴィの身体にオイルをのばし、手の動きを静流とシンクロさせる。
 手に力を入れ、大きく円を描くように腰から肩にかけて動かしていく。

「くはぁ、こりゃたまらん」
 
 次に、肩から腕をマッサージしていく。 
 二人はうっとりと静流たちに身体を預けている。

「次、足の方行きますね」

「「はぃぃぃ」」

 静流は少し顔を赤くしながら、腰にタオルを敷き、浴衣を全て脱がす。
 手にオイルをなじませ、足首から太ももまでにオイルを塗り、ゆっくりとオイルをのばす。
 
「ふぁう、き、気持ちいい~」
「ふぅ。極楽、極楽」

 二人は、静流たちの施術に成すがままになっている。

「他に、こっている所、ありますか?」

 静流が二人に聞いた。

「美紀たちと同じコースで、お願いしますぅ」
「え? ミオ姉もこってるの? お尻」

「私たちだって、座りっぱなしなんだから、ねぇ? レヴィ?」ヌフゥ
「そうです。私たちのお尻も労わって下さいませ」ンフゥ

 工藤姉妹の時にやっているので要領は掴んでいる。

「わかりました。では失礼」むにゅう

 静流は澪のお尻を、円を描くようにオイルをなじませた両手でマッサージした。

 「ふぁ! はぁぁ、い、イクぅぅぅん♡」バタ

 澪はエビぞりになって昇天した。

 「静流様ぁ、私にも、お願いしまぁす」ハァハァ

 レヴィは静流に懇願した。

「了解。ロディ、こっち頼む」
「あいわかった」

 ロディは静流と代わった。

「静流様ぁ、早くぅん」ムフゥ
「はいはい。では、失礼」むにゅう

 静流はレヴィのお尻をマッサージした。

 「あ! あふぅ、い、イクぅぅぅん♡」バタ

 レヴィもエビぞりになって昇天した。
 昇天した二人は、一糸まとわぬ状態でうつ伏せになったまま、ピクピクと小刻みにケイレンしている。


「ふう。施術完了っと。ロディ、ダッシュ6で二人のオイルふき取りと浴衣着せてあげて」
「了解した」パァ

 静流は女性同士の方が何かと都合がイイと思い、ダッシュ6に変身したロディに後始末を頼んだ。 

「終わったら呼んでくれ。僕は向こうで後始末して待ってるから」
「御意」



              ◆ ◆ ◆ ◆




「静流様、お二人の意識が戻りました」
「あ、はーい。よいしょっと」

 ロディの呼びかけで、静流が二人のもとに行った。
 二人はぐったりしているが、満足げな表情を浮かべている。

「どうでしたか? 少しは疲れ、取れました?」

 二人の前に行き、感想を聞くと二人は、

「最っ高だったわよ。途中で意識飛んでた位だもの」
「お肌スベスベですよ。足のむくみも取れたみたいです。ムフゥ」

 と、絶賛した。

「そうですか。それなら良かった」
「マッサージ技師の資格、取れるんじゃない? 静流クン」
「どうでしょうね。需要あるのかな?」

「「あります、あります!」」

 二人は静流に詰め寄った。

「そ、そうですか? 考えときます」
「もし開業したら、週イチで通うわ」

 興奮冷めやらぬ二人を何とかあしらって、静流とロディは404号室を後にした。
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