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第9章 冬の……アナタ、どなた?

エピソード56-3

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インベントリ内 仮眠室――

 睡眠カプセルがずらっと並んだ仮眠室で、体内時計の調整を行う一同。

「では皆さん、イイ夢を。」パチ 

 睦美の指パッチンを合図に、左京がボタンを押し、カプセルが稼働を始めた。

 ブゥゥーン

 カプセルの蓋が閉まり、角度がゆっくり鈍角になっていく。
 達也たちはものの数秒で眠りに落ちた。



  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇ 



「こりゃお達! 目を覚まさんか!」
「う、 うぅ~ん……」

 ばぁやの怒鳴り声で目を覚ますお達。

「お前たち! とっとと取り掛かりな!」
「へいっ!」

 ばあやが女中たちに命令すると、両手両足と頭、果ては体に一人ずつ女中が張り付いた。

「な、何を? ひゃ、そんなとこ触らないでよぉ」
「大人しくしなさい! このあと大事なお仕事なんだから!」
「し、 仕事? これから?」
「そうよ。 最初のお相手が『あのお方』なんて、 どんな得を積んだの?」

 女中の一人が、お達の胸を後ろから鷲掴みした。

「代われるならアタシが代わりたいわよ! アンタのどこを気に入ったの? ココか? ココなのか?」
「キャハハハ! やめてよくすぐったい!」
 
 髪をとかしているリーダー格と思われる女中がお達に言った。

「お達、わかってるわよね? 殿方の悦ばせ方」 
「へ? 何それ?」

 お達はポカンとして首を傾げた。

「アンタって子は……困ったわね」
「どうすんだい!? ウチの茶屋始まって以来の大仕事なんじゃぞ!?」

 女中は頭を抱え、ばあやはわたわたしている。
 爪の手入れをしている女中がお達に聞いた。

「でもアンタ、 いつの間に『あの方』とお近づきになったの?」
「『あの方』って? うん?」

 お達は今一つピンとこなかった。

「誰って決まってるでしょ? 長七郎さまよぉん♡」
「え? ああ、 あの『紫のフンドシ』のお方かぁ……へへへ」

 お達は長七郎を思い浮かべ、笑みを浮かべた。
 全身の手入れが着々と進み、最後に浴衣を着せて完了した。
 ドヤ顔で手鏡をお達に渡す女中。

「どう? 完璧でしょ?」
「へ? これがアタシ?」

 あまりの変わり映えに驚きを隠せないお達。
 おばあはお達の仕上がり具合を見て大きく頷いた。

「よし、出陣だ! 行ってきな」

 おばあを含む女中たちに見送られ、お達は茶屋を出た。

「とにかく、粗相のないようにね! 頼んだわよ!」
「わかった! がんばるよ!」

 長七郎がいる宿屋に着き、番頭に部屋を案内されるお達。

「旦那は奥の部屋だ。 上手くやりなよ?」
「へ、 へぇ……」

 お達はゆっくりと部屋に近づき、ふすまの前で腰を落とした。

「ごめん下さいまし、 池田屋の達でございます……」

 少しの沈黙の後、部屋の中から男の声がした。

「……入れ」
「へぇ……」

 お達はふすまを開け、部屋の中に入った。

「長七郎、さま……」
(か、かっこイイ~♡)

 小さな行燈が枕元を照らしている。
 浴衣姿の長七郎は窓のふちに腰掛け、月を見ながら煙管をふかしていた。
 肩まである桃色の髪が、夜風にあたってさらりとなびいていた。
 声を掛けられ、長七郎はお達の方を見た。

「お達、近う寄れ……」
「へぇ……」

 長七郎にささやかれ、吸い寄せられるように近づくお達。
 胡坐をかいた長七郎にしなだれかかる。
 お達は恐る恐る長七郎に聞いた。

「長七郎さま、 なぜワタシなのです? ウチには売れっ子の菊姐さんや雅姐さんがいるというのに……」

 お達の問いに、長七郎は少しの沈黙のあと、小さめの声で言った。

「……お前を抱きたい、 それだけでは理由にならんか?」
「はわわわ……勿体なきお言葉……」

 すると長七郎はひょいとお達を抱え、布団に寝かせた。 
 お達は潤んだ瞳で長七郎に告げた。

「長七郎さま……達は今宵が初めて……でございますゆえ、なにとぞ――」
「何? 何が初めてなのだ?」
「何とは……ナニにございます……」ぽぉ

 顔を真っ赤にしたお達の告白に、長七郎は動揺している。

「まさか、『生娘』とな?」
「へぇ……」ぽぉ

 長七郎の問いに、お達は小さく頷いた。

「……お気に召しませんか?」
「そう言う問題ではござらん! 俺はもう寝る!」
「あっ! 長七郎さまぁ……」

 そう言って布団を被る長七郎の顔は、心なしか赤みがさしていた。
 暫く困った顔をしていたお達は、長七郎の背中を優しく抱いた。

「ワタシでは満足頂けませんか? ならば他の者をお呼びいたしますが?」

 お達は長七郎の背中越しに、少し寂しそうな声で言った。
 すると長七郎がぼそりと言った。 

「良いのか? 俺で……」

 お達は先ほどとは違い、はっきりと長七郎に伝えた。

「ワタシのナニは、 長七郎さまに捧げとうございますっ!」

 その言葉を聞き、長七郎はお達に向き直った。

「お達、 本気なのか?」
「へぇ。 生娘に二言はありませぬっ!」

 きっぱりと言い切ったお達に、長七郎は少し逡巡したのち、ボソッと呟いた。

「実はな……俺もナニをした事がないのだ……」
「なな、 何ですと!?」

 長七郎の想定外の告白に、お達は動揺した。

「……ここはやはり、『棒枯らしのお菊』姐さんを呼びましょう。 『筆おろし』は殿方の一生に一度の大イベントでございますゆえ……」
「待て! それでは事が大きくなる。 お達、 何とか『筆おろし』を頼めんか?」
「あ、 アタシですかぁ……」
「後生である! この通りだ!」ズザッ

 長七郎はお達に土下座した。

「お、 お止め下さいまし! わ、 わかりました。 何とか致しましょう」 
「まことか? 恩に着る!」

 長七郎の押しの強さに、とうとう根負けしたお達であった。
 フンドシ一丁の長七郎を布団に寝かせ、お達は顎に手をやり、考え込んだ。 

「フム。 さて、どうしたもんでしょう……」
「どうした? 早く始めんか」 

 長七郎に促され、ある意味吹っ切れたお達。

「ええい! お菊姐さんが言ってた。 『考えるな。 感じろ』ってね」ファサッ

 長七郎に跨り、帯をほどいて浴衣を脱ぎ捨てたお達。
 白くて張りのあるお椀型の乳房が露わになった。

「先ずは接吻ですね。 むちゅ~♡」
「ちゅぱっ、 くちゅ……」

 お達は舌を絡ませながら、右手を長七郎の股間に持って行った。

「ちゅっぽ。 長七郎さまのココ、 硬くて大きい、です」

 お達はキスを止め顔を離し、乳首責めから股の方に近付いていく。

「では御開帳♡ まぁ……たくましいわぁ」

 お達は慣れた手つきでフンドシをあっという間に脱がし、長七郎のイチモツを凝視した。

「……お前、 まことに生娘か?」
「肉眼で見るのは初めてでございます」 

 お達にされるがままの長七郎は、ここまであまりにスムーズだった事に困惑している。

「茶屋にあった浮世絵をいつも見ていましたゆえ、 ここまでは何となく。 あとは姉さんたちの話を参考に……」
「次は……わかるな?」
「勿論でございます。 ちゅ」
「おぉぅ……」

 お達は長七郎のイチモツを咥え、尺八を始めた。

「はむっ、 ちゅぱぁ、 くちゅ」
「うっ! たまらん……」
「タマがお好きなのですね? ちゅぽん」

 お達がペースを上げると、長七郎はいよいよ限界が来そうな面持ちだった。

「お、 お達! もう我慢出来ん!」
「我慢なさらずに、 出して下さい!」

『むっ、ほぉぉぉ~ん♡♡』ドクッ  

 長七郎は両足をピーンと伸ばし、昇天した。

「むぐぅ……いっぱい出ましたよぉ。 ほぅら……」

 長七郎のザーメンを口で受け止めたお達は、手のひらにそれを出して長七郎に見せた。

「うむ。 良き仕事だった……」
「この位で満足してはなりませぬ。 ほら。 もうこんなに……フゥ」

 お達がイチモツに息を吹きかけ、手で軽くしごくと、イチモツは硬さを取り戻した。

「長七郎さま……達のココは、 もうお迎えの準備が出来ております……」
「お達!」ガバッ
「ひゃっ」

 長七郎が上体を起こし、お達の乳房に顔をうずめた。

「お達、 俺はお前とナニがしたい……」
「アタシも……長七郎さまと、 ナニがしとうございます……」ハァハァ

 反転してお達を布団に寝かせ、長七郎はお達に覆いかぶさった。

「良いのだな? お達」
「構いません! その硬いのをアタシのココに……」ハァハァ

 長七郎は狙いを定め、イチモツをお達の蜜壺に押し当てた。
 その時、行燈の油が切れたのか、灯りが消えて真っ暗になった。

「くっ!? は、 入った!?」
「あっ!? 長七郎さま、 そ、そこじゃない……です」
「うぅ……お達、 そんなに締め付けんでくれ! 直ぐに果ててしまう!」
「ち、違うんですっ、 ひとまず抜いて下さいましっ、 あっ」
「抜けとな? 意地が悪いぞお達! 良いぞ! 実に良い!」

 長七郎はお達に構わず腰を振り続けた。

「おぉ。 お前は噂に聞く『名器』かも知れん!」
「で、ですから、この穴じゃないのです! あんっ! あぁーっ♡」

 いつの間にかお互いが高め合い、やがて昇天を迎えた。 


「「あっはぁ~んん♡♡」」

 

  ◇  ◇  ◇  ◇  ◇ 



「ピピピピピ」

 時間となり、電子音が鳴った。

  ブゥゥーン

 睡眠カプセルの蓋が開き、角度がゆっくり鋭角になっていく。 

「あぁっ! 長七郎さまぁ~♡♡」

 達也が寝ぼけてそんな事を口走った。
 近くにいたカナメや美千留たちが、軽蔑を含んだ眼差しで達也を見た。

「ププーッ! タッちゃんマジイキしてんのと違う? オモロォー!」
「ツッチー、 変な声出さないで! キモい!」
「一体どんな夢をチョイスしたんです? うわぁ……」

 首を左右に振り、正気を取り戻した達也が言った。

「違うんだ! 夢では俺は女で手違いで後ろの穴にっておい! 聞いてんのか?」

 この後達也は、暫く誰も口を聞いてくれなかったらしい。 
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