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二章 魔法とは
41話 本当の仲間選手権(1)信頼編
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「えー……こほん。では、これより『タクトの本当の仲間に相応しいのは誰だ選手権』を始めます」
「おい、勝手に意味のわからんものを始めるな」
まったくやる気が感じられないカナタが、進行役みたいな事を言い出すと、そんなカナタに反してリオン、ユルナ、リーフィリアは闘志を燃やしていた。
「さあ、どこからでもかかってこいッ!!」
「望むところだ触手女!」
「貴女に仲間の座は譲りませんよ!」
「――待つのです三人とも」
今にも取っ組み合いが始まりそうな三人をカナタがなだめた。止めるならもっと早く止めてくれ。
「家の中で暴れるのはよくありません。それにただ力の強さだけで『本当の仲間』とは計れないものです」
ん? 何を言っているんだこの子は。
「仲間なら相手を信じ、思いやり、支え合うことが大事だと思います。よって三種目で勝敗を決めるのはどうでしょうか?」
すごく正論っぽい事言ってるけど、そもそもこの勝負に意味があるのか?
「たしかに……カナタの言う通りだ」
いやいやいや、リーフィリアもなに納得してるんだよ。
「私はこの触手女から、槍術師としての立場を取り返せればなんでもいいぞ」
「貴様はさっきからその、触手女って呼び方やめろ! なんかいかがわしいだろうが!」
「タクトの仲間でいるのに、いかがわしいのは良くないよ! 青少年なんたら条例に抵触するよ!」
一度収まったかと思えた言い合いがまた始まってしまった。しかも今度はユルナも混ざってさらにうるさい。
みんなには『絶対安静』という言葉の意味を少しでも考えてほしい。病人の前では静かにしようよ。
言い合いを続ける三人を見て、カナタがパンパンと二回手を鳴らすと、一斉にカナタに視線を移す。
「これ以上の言い合いは不毛です。女なら正々堂々と、勝負で決着をつけましょう。リオン、ユルナ対リーフィリアの『本当の仲間選手権』を始めます」
どんどんぱふぱふ、と太鼓でもラッパでもない、口で言うだけのカナタはどこか楽しげに見えた。
俺の意思とは関係なく奇妙な戦いが今、始まる――のか?
* * *
「これは……」
リオンは手に持った包丁とテーブルに並べられた食材を交互に見やる。エプロン姿に着替えさせられたリオンとリーフィリアに待ち受ける一種目目は……。
「男の信用はまず胃袋を掴むべし。仲間へ振る舞う料理対決~」
「頑張れリオン! 負けるなリオン!」
よく聞くようなタイトルコールをしたカナタはとても満足気だ。
表情はあまり変わらないけど、絶対面白がってるだろ。そろそろ付き合い長いんだから、わかってるんだぞ。
俺の心の声は聞こえているはずなのに、さも知りませんといった顔をして、カナタが説明を始める。
「ここにある食材を使って、タクトに料理を振る舞ってください。制限時間は一時間とします。メインとなる料理でお願いします」
「なるほどな……美味しい料理を作り、タクトに気に入られた方が勝ちというわけか」
「料理には自信があるよ! 深緑の魔女様は武闘派だから、私に分があるかなー?」
ニヤニヤと笑うリオンを尻目に、リーフィリアがおもむろに腰に付けたポーチから何かを取り出した。
金属の棒が二つ折り重なった形状の物。端をつまみくるりと回転させると、一度バラけてナイフの刃が飛び出す。
さらにリーフィリアは、まるで刃が付いているのを気にしないかのように、クルクルと手の先でナイフを回す。その動きは小さなヌンチャクのように見えた。
「あれはバタフライナイフですね。護身用の武器として持ち歩く物ですが、野宿が多い冒険者御用達にもなっている物です」
「私は冒険者を長くやっている。当然、野宿で料理することなどしょっちゅうだ。分があるのは私の方だと思うが?」
リオンの真似をしてニヤリと笑ってみせる。
二人が無言で見つめ合うと、視線の先でバチバチと火花が散ったように見えた。
「それでは、料理対決ー……スタートッ!!」
かくして第一種目、激戦の火蓋が切られた。
* * *
「くぅうううッ!!」
涙を流し、それでも手元にある野菜を真剣な面持ちで切るリオン。タマネギの他にピーマン、鶏肉を小間切れにしていく。
「リオンさん、この勝負への意気込みを」
「うぅ……絶対勝ちたいですッ!」
「なるほど、泣けるぐらい気合いが入っているということですね」
いや、泣いてるのはタマネギのせいだろ。
一方のリーフィリアを見ると慣れた手つきで魚を捌いている。その手捌きはまるで一流シェフのような、無駄がなく軽やかなものであった。
「ふん。タマネギで涙を流すなど料理初心者か貴様は」
「くっ! 結果は料理の出来次第だよ!」
「貴様の負けは見えてる、適当に作って……終わらせ……っくしゅん! っへくしゅん!」
コショウを振っていたリーフィリアが頭を揺らす。くしゃみが止まらなくなったようだ。
これ見よがしにリオンがしたり顔で追撃する。
「コショウでくしゃみするなんて料理初心者ですかー?」
「う、うるさい!! 空気の流れがたまたま……へっくしん! あーもう!!」
二人はその後もあーだこーだ言い合っていたが、しだいに美味しそうな匂いが漂いはじめ、思わず唾を飲み込んだ。
そういえば、母親以外の手料理なんて食べたことがなかったな。あれ? 年が近い女子の手料理って結構貴重なのでは?
「まもなく制限時間五分前です」
カナタの宣言に二人の動きもスピードアップする。皿への盛り付け方にも気を配っているようだ。
二人の真剣な表情に、いつのまにかこちらにも熱が入ってくる。
「「できたッ!!」」
二人から同時に完成の声が上がり、その直後終了の合図が告げられた。
* * *
料理のお披露目はじゃんけんにより決まった。先行はリーフィリア。得意げな様子で俺の前に皿が運ばれてくる。
「こ、これは……」
それはまるで、一流冒険者や貴族が食べるような、上品な料理だった。
ほどよい色に焼かれた白身魚にはクリーム色のソースがかけられ、皿の余白にも流線的で美しい文様が描かれている。
添えられた野菜は彩り豊かに、まさに一流の料理……いや、むしろ芸術品といったほうがいいのかもしれない。
「私の実家ではよく作られていた。いわゆるシェフの味というやつだ」
それを言うなら母の味では……? これが実家で出てくるって……てかシェフが家にいるのかよ。
料理を見て唾を飲み込んだのは俺だけじゃ無い。カナタとリオンも驚いていた。ただ一人、ユルナだけはなんともなさげな顔をしている。
そうか、確かユルナもお嬢様だったな……庶民も庶民である俺には、食べるのが勿体ないとすら思えるんだが。
「ふ、ふーん? 見た目はいいけど、料理に大事なのは美味しいかどうかじゃない?」
「タクト、食べてみてくれ。きっと口に合うと思う」
手を動かせない俺に代わり、カナタがナイフとフォークで魚を切り分けてくれる。
口の前に運ばれてきた時、ふわっと甘みのある匂いがして、なおさら料理への期待が高まった。
「じゃあ……頂きます」
口に入れた瞬間、魚の身が舌先と上顎でほどけた。ほどよく甘辛いソースが絡み、噛む力も必要なく喉奥へと仕舞われる。まぶされた黒コショウが時々アクセントになり食欲をそそる。
これは、無性に渋いブドウジュースが飲みたくなってくる、そんな味だ。
「……美味い……まるで自分が貴族にでもなったような気分だ……」
「んなっ?!」
「そうだろうそうだろう! もう勝負は決まったな!」
これは勝利宣言するのも頷ける。ほんと、それぐらい美味い。
「そんなお洒落な物、タクトには十年早いと思うよ?」
「貴様が何を言おうと、これを越える料理は作れないだろう!」
「それは……どうかなッ! 次は私の料理だよ!!」
リオンの料理が目の前に出された。
皿の上には卵を薄く焼き、半球状にお米を包んだ料理がある。こ、これは――
「みんな大好きオムライスです!!」
貴族が食べるような料理に対して、めっちゃ庶民的な料理が俺の前に鎮座している。
二つの対照的な料理に思わず「おぉ……」と感嘆の声が漏れた。ご丁寧にケチャップで「タクトへ」と文字まで書かれている。
「次はリオンの料理です。タクト、口を開けてください」
「お、おう……」
スプーンに一口大で運ばれてきたオムライス。慣れ親しんだ匂いにこれはこれで喉が鳴る。
「頂きます……」
口に入った瞬間、俺が想像していた味とは少し違った風味がある。これは――柑橘系だ。
スプーンによって抉り取られたオムライスの断面をよくよく見ると、米に混ざって……何か入ってる?
「これは……オレンジの果肉?」
「ふふふ……気付いた? 我が家に伝わる秘伝の味付け。特製オレンジオムライスだよ!」
「こ、米類に果物だと? そんなの美味しいわけが……」
俺は口に含んでいたオムライスを飲み干して率直な感想を言う。
「……おいしい」
衝撃的だった。とても合いそうにないオレンジと米が、卵の甘味とケチャップのしょっぱさでいい感じに包まれて、不味いと感じさせない。
それどころか、オレンジの酸味でケチャップの濃さが後に残らず、すぐに次の一口を食べたくなる。
「タクトが選ぶのはリーフィリアの貴族料理か? それともリオンの庶民料理か? さぁ、結果は……」
四人が固唾を飲んで俺の回答を待っている。両方の皿を見比べ、味を思い出す。
俺の心に残り、もっとも胃袋の信頼を寄せた料理は……。
「オムライス」
「なっ……!?」
「いよっしゃーー!!」
「いいぞリオン!!」
勝者は天を仰ぎ、敗者は恨めしく項垂れる。どんな勝負事にも、この光景は当てはまるのだと二人を見て思った。
「なぜだタクト? なぜ私の料理はダメだったんだ?」
「ダメなんてことはない! リーフィリアの料理も凄く美味しかったよ! ただ……」
「ただ?」
「……慣れ親しんだ味が、オレンジを入れただけでこんなに進化するのかって、変かもしれないけど料理で初めて感動したんだ」
料理対決はリオン、ユルナチームの勝利! とカナタが声高に叫んで幕を下ろした。
「おい、勝手に意味のわからんものを始めるな」
まったくやる気が感じられないカナタが、進行役みたいな事を言い出すと、そんなカナタに反してリオン、ユルナ、リーフィリアは闘志を燃やしていた。
「さあ、どこからでもかかってこいッ!!」
「望むところだ触手女!」
「貴女に仲間の座は譲りませんよ!」
「――待つのです三人とも」
今にも取っ組み合いが始まりそうな三人をカナタがなだめた。止めるならもっと早く止めてくれ。
「家の中で暴れるのはよくありません。それにただ力の強さだけで『本当の仲間』とは計れないものです」
ん? 何を言っているんだこの子は。
「仲間なら相手を信じ、思いやり、支え合うことが大事だと思います。よって三種目で勝敗を決めるのはどうでしょうか?」
すごく正論っぽい事言ってるけど、そもそもこの勝負に意味があるのか?
「たしかに……カナタの言う通りだ」
いやいやいや、リーフィリアもなに納得してるんだよ。
「私はこの触手女から、槍術師としての立場を取り返せればなんでもいいぞ」
「貴様はさっきからその、触手女って呼び方やめろ! なんかいかがわしいだろうが!」
「タクトの仲間でいるのに、いかがわしいのは良くないよ! 青少年なんたら条例に抵触するよ!」
一度収まったかと思えた言い合いがまた始まってしまった。しかも今度はユルナも混ざってさらにうるさい。
みんなには『絶対安静』という言葉の意味を少しでも考えてほしい。病人の前では静かにしようよ。
言い合いを続ける三人を見て、カナタがパンパンと二回手を鳴らすと、一斉にカナタに視線を移す。
「これ以上の言い合いは不毛です。女なら正々堂々と、勝負で決着をつけましょう。リオン、ユルナ対リーフィリアの『本当の仲間選手権』を始めます」
どんどんぱふぱふ、と太鼓でもラッパでもない、口で言うだけのカナタはどこか楽しげに見えた。
俺の意思とは関係なく奇妙な戦いが今、始まる――のか?
* * *
「これは……」
リオンは手に持った包丁とテーブルに並べられた食材を交互に見やる。エプロン姿に着替えさせられたリオンとリーフィリアに待ち受ける一種目目は……。
「男の信用はまず胃袋を掴むべし。仲間へ振る舞う料理対決~」
「頑張れリオン! 負けるなリオン!」
よく聞くようなタイトルコールをしたカナタはとても満足気だ。
表情はあまり変わらないけど、絶対面白がってるだろ。そろそろ付き合い長いんだから、わかってるんだぞ。
俺の心の声は聞こえているはずなのに、さも知りませんといった顔をして、カナタが説明を始める。
「ここにある食材を使って、タクトに料理を振る舞ってください。制限時間は一時間とします。メインとなる料理でお願いします」
「なるほどな……美味しい料理を作り、タクトに気に入られた方が勝ちというわけか」
「料理には自信があるよ! 深緑の魔女様は武闘派だから、私に分があるかなー?」
ニヤニヤと笑うリオンを尻目に、リーフィリアがおもむろに腰に付けたポーチから何かを取り出した。
金属の棒が二つ折り重なった形状の物。端をつまみくるりと回転させると、一度バラけてナイフの刃が飛び出す。
さらにリーフィリアは、まるで刃が付いているのを気にしないかのように、クルクルと手の先でナイフを回す。その動きは小さなヌンチャクのように見えた。
「あれはバタフライナイフですね。護身用の武器として持ち歩く物ですが、野宿が多い冒険者御用達にもなっている物です」
「私は冒険者を長くやっている。当然、野宿で料理することなどしょっちゅうだ。分があるのは私の方だと思うが?」
リオンの真似をしてニヤリと笑ってみせる。
二人が無言で見つめ合うと、視線の先でバチバチと火花が散ったように見えた。
「それでは、料理対決ー……スタートッ!!」
かくして第一種目、激戦の火蓋が切られた。
* * *
「くぅうううッ!!」
涙を流し、それでも手元にある野菜を真剣な面持ちで切るリオン。タマネギの他にピーマン、鶏肉を小間切れにしていく。
「リオンさん、この勝負への意気込みを」
「うぅ……絶対勝ちたいですッ!」
「なるほど、泣けるぐらい気合いが入っているということですね」
いや、泣いてるのはタマネギのせいだろ。
一方のリーフィリアを見ると慣れた手つきで魚を捌いている。その手捌きはまるで一流シェフのような、無駄がなく軽やかなものであった。
「ふん。タマネギで涙を流すなど料理初心者か貴様は」
「くっ! 結果は料理の出来次第だよ!」
「貴様の負けは見えてる、適当に作って……終わらせ……っくしゅん! っへくしゅん!」
コショウを振っていたリーフィリアが頭を揺らす。くしゃみが止まらなくなったようだ。
これ見よがしにリオンがしたり顔で追撃する。
「コショウでくしゃみするなんて料理初心者ですかー?」
「う、うるさい!! 空気の流れがたまたま……へっくしん! あーもう!!」
二人はその後もあーだこーだ言い合っていたが、しだいに美味しそうな匂いが漂いはじめ、思わず唾を飲み込んだ。
そういえば、母親以外の手料理なんて食べたことがなかったな。あれ? 年が近い女子の手料理って結構貴重なのでは?
「まもなく制限時間五分前です」
カナタの宣言に二人の動きもスピードアップする。皿への盛り付け方にも気を配っているようだ。
二人の真剣な表情に、いつのまにかこちらにも熱が入ってくる。
「「できたッ!!」」
二人から同時に完成の声が上がり、その直後終了の合図が告げられた。
* * *
料理のお披露目はじゃんけんにより決まった。先行はリーフィリア。得意げな様子で俺の前に皿が運ばれてくる。
「こ、これは……」
それはまるで、一流冒険者や貴族が食べるような、上品な料理だった。
ほどよい色に焼かれた白身魚にはクリーム色のソースがかけられ、皿の余白にも流線的で美しい文様が描かれている。
添えられた野菜は彩り豊かに、まさに一流の料理……いや、むしろ芸術品といったほうがいいのかもしれない。
「私の実家ではよく作られていた。いわゆるシェフの味というやつだ」
それを言うなら母の味では……? これが実家で出てくるって……てかシェフが家にいるのかよ。
料理を見て唾を飲み込んだのは俺だけじゃ無い。カナタとリオンも驚いていた。ただ一人、ユルナだけはなんともなさげな顔をしている。
そうか、確かユルナもお嬢様だったな……庶民も庶民である俺には、食べるのが勿体ないとすら思えるんだが。
「ふ、ふーん? 見た目はいいけど、料理に大事なのは美味しいかどうかじゃない?」
「タクト、食べてみてくれ。きっと口に合うと思う」
手を動かせない俺に代わり、カナタがナイフとフォークで魚を切り分けてくれる。
口の前に運ばれてきた時、ふわっと甘みのある匂いがして、なおさら料理への期待が高まった。
「じゃあ……頂きます」
口に入れた瞬間、魚の身が舌先と上顎でほどけた。ほどよく甘辛いソースが絡み、噛む力も必要なく喉奥へと仕舞われる。まぶされた黒コショウが時々アクセントになり食欲をそそる。
これは、無性に渋いブドウジュースが飲みたくなってくる、そんな味だ。
「……美味い……まるで自分が貴族にでもなったような気分だ……」
「んなっ?!」
「そうだろうそうだろう! もう勝負は決まったな!」
これは勝利宣言するのも頷ける。ほんと、それぐらい美味い。
「そんなお洒落な物、タクトには十年早いと思うよ?」
「貴様が何を言おうと、これを越える料理は作れないだろう!」
「それは……どうかなッ! 次は私の料理だよ!!」
リオンの料理が目の前に出された。
皿の上には卵を薄く焼き、半球状にお米を包んだ料理がある。こ、これは――
「みんな大好きオムライスです!!」
貴族が食べるような料理に対して、めっちゃ庶民的な料理が俺の前に鎮座している。
二つの対照的な料理に思わず「おぉ……」と感嘆の声が漏れた。ご丁寧にケチャップで「タクトへ」と文字まで書かれている。
「次はリオンの料理です。タクト、口を開けてください」
「お、おう……」
スプーンに一口大で運ばれてきたオムライス。慣れ親しんだ匂いにこれはこれで喉が鳴る。
「頂きます……」
口に入った瞬間、俺が想像していた味とは少し違った風味がある。これは――柑橘系だ。
スプーンによって抉り取られたオムライスの断面をよくよく見ると、米に混ざって……何か入ってる?
「これは……オレンジの果肉?」
「ふふふ……気付いた? 我が家に伝わる秘伝の味付け。特製オレンジオムライスだよ!」
「こ、米類に果物だと? そんなの美味しいわけが……」
俺は口に含んでいたオムライスを飲み干して率直な感想を言う。
「……おいしい」
衝撃的だった。とても合いそうにないオレンジと米が、卵の甘味とケチャップのしょっぱさでいい感じに包まれて、不味いと感じさせない。
それどころか、オレンジの酸味でケチャップの濃さが後に残らず、すぐに次の一口を食べたくなる。
「タクトが選ぶのはリーフィリアの貴族料理か? それともリオンの庶民料理か? さぁ、結果は……」
四人が固唾を飲んで俺の回答を待っている。両方の皿を見比べ、味を思い出す。
俺の心に残り、もっとも胃袋の信頼を寄せた料理は……。
「オムライス」
「なっ……!?」
「いよっしゃーー!!」
「いいぞリオン!!」
勝者は天を仰ぎ、敗者は恨めしく項垂れる。どんな勝負事にも、この光景は当てはまるのだと二人を見て思った。
「なぜだタクト? なぜ私の料理はダメだったんだ?」
「ダメなんてことはない! リーフィリアの料理も凄く美味しかったよ! ただ……」
「ただ?」
「……慣れ親しんだ味が、オレンジを入れただけでこんなに進化するのかって、変かもしれないけど料理で初めて感動したんだ」
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