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2章 魔法使いとストッカー
44 魔力切れ
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ルーベン様との話が終わり、お忍びで視察に行ったので、皆んなで王都のエド様の私室へ直接飛ぶことになった。
「ジェシカ、ご苦労だった」
「いえ」
部屋にはいつものメンバーがソファーに各々座る。エド様とグレン様、アダム様、私。ロダンとランド、リット、ロッシーニはソファーの後ろで待機だ。
「エド、報告はルーベン様が直接追ってされるそうだ。申し訳ないが洞窟視察の件は後でいいか? それより今日は今後の事を話したい」
アダム様が私を見てエド様に説明する。
「今後ですか? 私は夏休みを満喫しますよ? もう問題はなかったはずです」
「あぁない。ロンテーヌ領が王都から離れてるとはいえ警戒は怠るなよ?」
「わかってますよエド様。それよりアダム様今後って?」
「ん?うん……実はな早急に婚約者を決定して欲しい」
「は? 今、そんな必要が?」
「ある」
アダム様にはちゃんとした理由があるようだ。
「しかし……こればかりは領主の了承も要りますし、私が『いいですよ』と勝手に決められるものではありませんよ? てか、私は自由恋愛希望って言いましたよね?」
「わかっている。しかし……ルーベン様の後ろ盾を得た今、ジェシカ、お前は今後国内に留まらず、国外の貴族に対しても格好の標的になってしまう。おまけに最近調子がいいロンテーヌ領だ。お前は国内随一の優良物件になってしまった」
「……」
こんな事なら、やっぱりルーベン様の後ろ盾なんて貰わなきゃよかったじゃん。もー!
「ルーベンの後ろ盾?」
エド様は話が見えていない。約束したのさっきのさっきだもんね。
「エド、ルーベン様が洞窟で約束していたんだ。ロダン、相違ないな?」
「はい。アダム様の仰る通りです」
「ねぇ、やっぱり要らないって出来ないの? 婚約しなきゃいけないなら無しにはならない? 話が大きくなるくらいなら今まで通りでいいわ」
「はっ! 王族からの申し出を了承した上で更に断ると?」
アダム様が呆れて私を見る。
「出来ないの……じゃぁ、婚約って、急なのに誰か当てはあるんですか?」
アダム様はロダンを一瞬見てからエド様に目配せした。
「……王族、またはそれに準ずる者がいいだろうな」
それを聞いたロダンが思いっきりエド様に殺気を放つ。部屋中がビンビンするほど放っているので、グレン様がエド様の前に思わず立ち塞がり手を剣に添えた。
「よい、グレン下がれ。例えばだ、ロダン。そう敵意を剥き出しにするな。ロンテーヌ側からすれば王族は避けたいのは承知している」
「ロダン、不敬である。非公式の場ではあるが弁えろ」
アダム様もロダンを睨みながら注意する。肝心のエド様は特にロダンに対し怒っているようではないようだけど。って、私もぶっちゃけ王族は勘弁して欲しい。今の関係がギリギリ友好でいられるラインだと思うし。
「エド様、ロダンじゃないですけど……王族は勘弁して下さい」
「……やはりそうか」
エド様は改めて私の口から『王族は嫌だ』と聞いてガックリ肩を落とした。
「アダム様、これは我が領の問題でもあります。いや、我々の問題です。王族主体で物事を進めないで頂きたい。一旦持ち帰りますので、この話はここまででお願いします」
ロダンは怒りを抑えずはっきりした口調で返答し一礼した。
「わかった」
……
長い沈黙が続く。誰も話さない。気まずいな。
「そ、それでは、私達はこれで失礼しー」
私は暗い雰囲気を打破すべく、立ち上がり帰ろうとした時、目の前が真っ暗になった。
*~*~*~*~*~*~*
「う~ん」
うっすら目を開けた私は見知っている天井をボ~ッと見る。
「あれ? ん?」
ロンテーヌ領の自室のベット? だよね?
「いつの間に? あれ? どうしてこうなったんだっけ?」
思い起こしてみるが記憶が曖昧だ。まだボ~ッとしているせいもあるのだろう。手をひたいに当てるが若干身体全体がダルく感じる。
「誰か呼ぶか」
ベッドサイドの机のベルを鳴らすと、ケイトとロダンが1分も経たずにやって来た。
「お嬢様! お目覚めですか! は~よかったです!」
ケイトはそう言いながら身体を起こしてくれてベットに座る状態に整えてくれる。
「お嬢様、無事で何よりです。このロダン、あれ程肝を冷やしたことはございません」
「あぁ、ごめんね。てか、ちょっと記憶も曖昧なんだよね。クラクラする」
「無理もございません。お嬢様は5日も眠っておりましたから」
「え? 5日?」
「はい。魔力切れです。急性魔力欠乏症です」
あぁ、そう言えばグランド様に魔力を吸い取られた後だったな。
「そうなんだ……全然気が付かなかったわ」
「私どもも油断しておりました。申し訳ございません」
「いいのよ。エド様たちにはちゃんと対応してくれた? 急に倒れたからびっくりしたんじゃない?」
「まぁ、そうですね。ご心配には及びません。そんなことはどうでもいいのです」
どうでもいいって。ロダン、相当キレてるな。今回の件。
「で? 私はこれで無事夏休みを過ごせるのかな?」
「はい。しかし、もうしばらく安静にお願いしますね」
「わかったわ」
「本日はもう夕方ですので、ポーションをお飲みになってこのまままた寝て下さい。明日、お身体の調子がよければ、お嬢様のお部屋でご主人様を交えて色々とお話ができればと思います」
「あ~、婚約者どうこうってやつ? ふ~」
「その件はそんなすぐに決めなくてもよろしいでしょう。それより、ルーベン様に押し付けられた件とこの休暇中にしなければならない事の話し合いですよ」
「しなければならない事?」
「例の人対策です。領ももう少し警備面で強化しなければなりませんし」
対策って。
「わかったわ。ロダン、心配かけたわね。ありがとう」
「いえいえ。あと、リットとランドは部屋に入れなくていいですから。お嬢様が目覚めたと聞いて飛んでくるでしょうが無視して下さい。また体調を崩しかねません」
「あはは、体調崩すとか。そこまで騒がしくしないでしょう。大丈夫よ」
「ダメです。あ奴らはお嬢様の事になると少々理性が吹っ飛びますから。ただの悪ガキに成り下がってしまいます」
「言い過ぎよ~、あはは」
ロダンは私の笑顔が嬉しかったのか、ロダンもニコッと顔が綻んだ。
「はいはい、では、また明日。おやすみなさいませ」
「おやすみ~」
ロダンが部屋を出るとカチャっとドアが施錠される音がした。本当に部屋に誰も入れない気だな。
「お嬢様、私はこのまま朝までお側におりますのでご安心を」
「ケイト、ありがとう。でもちょっと大袈裟じゃない?」
「いえいえ、先程のリット様とランド様の件は私も同感です。厳重に越したことはございません」
ん? 何かあったのかな? 何でそこまで?
「私が知らない事でもあったの?」
「……内緒ですよ? リット様とランド様が王様の部屋を半壊させたとか何とか。詳細はわかりませんが、ロッシーニ様がそんなことを話していました。それで、現在2人は懲罰中です。毎日、城の周りを30周しています」
城の周りを30周って。脳筋か!
「その罰ってお兄様が考えたの?」
「そうです」
「ぷぷぷ。罰が走るって! 単純ね~。てか、よくそれで許されたわね? 王様の部屋を半壊にしたんでしょう?」
「ふふふ、皆、お嬢様の事が大好きですからね。対外的にお咎めなしはいけませんから、今回はその様になったのでしょう。それに非公式の場でもありましたから……よくわかりませんが、ロダン様が全て方をつけたようです。宰相様と話し合いをされたそうです」
すごいなロダン。王様の部屋を壊しといてそれで済むなんて。どんな話し合いがされたのか気にはなるけど、聞くのが恐ろしい。次にアダム様に会う時がちょっと楽しみかも~!
「ジェシカ、ご苦労だった」
「いえ」
部屋にはいつものメンバーがソファーに各々座る。エド様とグレン様、アダム様、私。ロダンとランド、リット、ロッシーニはソファーの後ろで待機だ。
「エド、報告はルーベン様が直接追ってされるそうだ。申し訳ないが洞窟視察の件は後でいいか? それより今日は今後の事を話したい」
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「ん?うん……実はな早急に婚約者を決定して欲しい」
「は? 今、そんな必要が?」
「ある」
アダム様にはちゃんとした理由があるようだ。
「しかし……こればかりは領主の了承も要りますし、私が『いいですよ』と勝手に決められるものではありませんよ? てか、私は自由恋愛希望って言いましたよね?」
「わかっている。しかし……ルーベン様の後ろ盾を得た今、ジェシカ、お前は今後国内に留まらず、国外の貴族に対しても格好の標的になってしまう。おまけに最近調子がいいロンテーヌ領だ。お前は国内随一の優良物件になってしまった」
「……」
こんな事なら、やっぱりルーベン様の後ろ盾なんて貰わなきゃよかったじゃん。もー!
「ルーベンの後ろ盾?」
エド様は話が見えていない。約束したのさっきのさっきだもんね。
「エド、ルーベン様が洞窟で約束していたんだ。ロダン、相違ないな?」
「はい。アダム様の仰る通りです」
「ねぇ、やっぱり要らないって出来ないの? 婚約しなきゃいけないなら無しにはならない? 話が大きくなるくらいなら今まで通りでいいわ」
「はっ! 王族からの申し出を了承した上で更に断ると?」
アダム様が呆れて私を見る。
「出来ないの……じゃぁ、婚約って、急なのに誰か当てはあるんですか?」
アダム様はロダンを一瞬見てからエド様に目配せした。
「……王族、またはそれに準ずる者がいいだろうな」
それを聞いたロダンが思いっきりエド様に殺気を放つ。部屋中がビンビンするほど放っているので、グレン様がエド様の前に思わず立ち塞がり手を剣に添えた。
「よい、グレン下がれ。例えばだ、ロダン。そう敵意を剥き出しにするな。ロンテーヌ側からすれば王族は避けたいのは承知している」
「ロダン、不敬である。非公式の場ではあるが弁えろ」
アダム様もロダンを睨みながら注意する。肝心のエド様は特にロダンに対し怒っているようではないようだけど。って、私もぶっちゃけ王族は勘弁して欲しい。今の関係がギリギリ友好でいられるラインだと思うし。
「エド様、ロダンじゃないですけど……王族は勘弁して下さい」
「……やはりそうか」
エド様は改めて私の口から『王族は嫌だ』と聞いてガックリ肩を落とした。
「アダム様、これは我が領の問題でもあります。いや、我々の問題です。王族主体で物事を進めないで頂きたい。一旦持ち帰りますので、この話はここまででお願いします」
ロダンは怒りを抑えずはっきりした口調で返答し一礼した。
「わかった」
……
長い沈黙が続く。誰も話さない。気まずいな。
「そ、それでは、私達はこれで失礼しー」
私は暗い雰囲気を打破すべく、立ち上がり帰ろうとした時、目の前が真っ暗になった。
*~*~*~*~*~*~*
「う~ん」
うっすら目を開けた私は見知っている天井をボ~ッと見る。
「あれ? ん?」
ロンテーヌ領の自室のベット? だよね?
「いつの間に? あれ? どうしてこうなったんだっけ?」
思い起こしてみるが記憶が曖昧だ。まだボ~ッとしているせいもあるのだろう。手をひたいに当てるが若干身体全体がダルく感じる。
「誰か呼ぶか」
ベッドサイドの机のベルを鳴らすと、ケイトとロダンが1分も経たずにやって来た。
「お嬢様! お目覚めですか! は~よかったです!」
ケイトはそう言いながら身体を起こしてくれてベットに座る状態に整えてくれる。
「お嬢様、無事で何よりです。このロダン、あれ程肝を冷やしたことはございません」
「あぁ、ごめんね。てか、ちょっと記憶も曖昧なんだよね。クラクラする」
「無理もございません。お嬢様は5日も眠っておりましたから」
「え? 5日?」
「はい。魔力切れです。急性魔力欠乏症です」
あぁ、そう言えばグランド様に魔力を吸い取られた後だったな。
「そうなんだ……全然気が付かなかったわ」
「私どもも油断しておりました。申し訳ございません」
「いいのよ。エド様たちにはちゃんと対応してくれた? 急に倒れたからびっくりしたんじゃない?」
「まぁ、そうですね。ご心配には及びません。そんなことはどうでもいいのです」
どうでもいいって。ロダン、相当キレてるな。今回の件。
「で? 私はこれで無事夏休みを過ごせるのかな?」
「はい。しかし、もうしばらく安静にお願いしますね」
「わかったわ」
「本日はもう夕方ですので、ポーションをお飲みになってこのまままた寝て下さい。明日、お身体の調子がよければ、お嬢様のお部屋でご主人様を交えて色々とお話ができればと思います」
「あ~、婚約者どうこうってやつ? ふ~」
「その件はそんなすぐに決めなくてもよろしいでしょう。それより、ルーベン様に押し付けられた件とこの休暇中にしなければならない事の話し合いですよ」
「しなければならない事?」
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対策って。
「わかったわ。ロダン、心配かけたわね。ありがとう」
「いえいえ。あと、リットとランドは部屋に入れなくていいですから。お嬢様が目覚めたと聞いて飛んでくるでしょうが無視して下さい。また体調を崩しかねません」
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「そうです」
「ぷぷぷ。罰が走るって! 単純ね~。てか、よくそれで許されたわね? 王様の部屋を半壊にしたんでしょう?」
「ふふふ、皆、お嬢様の事が大好きですからね。対外的にお咎めなしはいけませんから、今回はその様になったのでしょう。それに非公式の場でもありましたから……よくわかりませんが、ロダン様が全て方をつけたようです。宰相様と話し合いをされたそうです」
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