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2章 魔法使いとストッカー

67 学校に行けない理由

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「城下町は楽しめましたか?」

 夕飯前にロダンが部屋に訪ねてきた。今はロダンとティータイムだ。

「えぇ。久しぶりにスルーボードで走り回ってスカッとしたわ。テーヌも領民に浸透しているようだしね」

「思いの外売れ行きがいいようです。あと二、三年もすれば全領民がテーヌを着るようになるでしょう。動きやすさと汚れにくいのが決め手のようですよ」

「裾が汚れにくいのは女性にはありがたいよ。結局洗濯するのも女性だし。って、この分じゃスカート文化がなくなっちゃう? それはそれでどうなの?」

「スカート自体は無くならないでしょうが… 特別な外出時や晴れ着という風になるんじゃないでしょうか」

「一張羅か。デートとか旅行とかはおしゃれして的な? いい! ワクワクするね」

「そうですな。それでお嬢様、学校のことですが…」

 そうだよ。それだよ。

「まず一月遅れての始業になります」

「一月も!」

「申し訳ありません。あの教師の動きがどうも気になりまして」

「動き? と言うことは何か進展があったの?」

 ロダンは部屋の隅で本の整理などをしていたサラたちメイドを退がらせた。部屋にはロダン、ケイト、ランド、ロッシーニになった。

「同時に二ヶ所で目撃情報が上がっています。しかし時間差があるため同一人物なのか、影武者なのか… 判断がついていない状態です」

「でも、それが私と関係があるの?」

「あります。お嬢様の担任です。もし教壇に立つ者が本人でない場合など鑑みると危険に感じます。教室内は護衛はつけられませんからね」

 なるほど。

「でも、それはアークについてもらったら?」

「それは私も考えましたが… 今は情報収集が優先ですのでアークが常に側にいることができません。あとは、目撃された場所が問題なのです」

「どこなの?」

「メンデル領とプリストン領の神の家です」

 メンデル領は自領だし今は夏休みだから変ではない。あとは神の家ね… あぁ! あのプリストン領!

「あの相続問題の領! 神の家って大教会のことでしょ?」

「そうです。同じ日に目撃情報がありました。ランドの特化を持ってない限り、メンデル領とプリストン領を数時間で移動は不可能です。なので探りを入れている状態です」

「プリストン領の問題って確かルーベン様が対応されてるのよね?」

「表立ってではありませんが。あの洞窟の調査をするという名目で王子様がプリストン領を探っています。この情報も王子からのものです」

「え~、でも… やっぱり私関係なくない?」

「いけません。プリストン領の問題とロッド・メンデル、そして闇子のこと。お嬢様と関係しているようでどうも… きな臭いというか… もうしばらくだけこのロダンに時間をください。情報が、ピースがはまりきっていないのです」

「ロダンがそう言うなら… じゃぁ、私は領で何をすればいいの?」

 ロダンは私が了承したのに安堵したのか胸を撫で下ろしている。

「お嬢様はランドとマーサと古代魔法の研究をしていただきたいのですが、よろしいでしょうか?」

「いいも何も、やるわ! 私も色々古代魔法を試してみたかったのよ。お墨付きをいただけるなら願ってもないわ。それに先生付きなんてなんて豪華なの!」

「ははは、マーサは学校が始まるまでですので、聞きたいことがあったら先にお願いします」

「わかったわ! そうと決まれば早速計画しなくちゃ! ランド、この後どう?」

 私の後ろで話を聞いていたランドは優しく微笑みながら

「お嬢様、今から夕食だ」

 と、バッサリ切られた。
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