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プロローグ
降ろされた神託。
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シェンブルグ王国。
この国は、以前はシェンブルグ共和国と呼ばれていた。
魔術の力を要とした、魔術師を重用し、ある人物の命を狙い続けた王が納めていた地。
今は、「祝福の子」カイザル王の収める王国となった、王都「ミストラル」の端。
大きな森の中に、荘厳な作りの建造物が静かに座していた。
ガリラディア神殿と呼ばれる、シェンブルグ共和国の時代の先の王と「祝福の子」の戦いの際に
勝敗を決したとされる聖地。
神に使わされし「器」である姫がここで歌い、世界に光を齎もたらしたと謂われる場所。
そんな聖地の神殿の中には、長い黒髪を後手に1つに束ね、年齢不詳の美貌を誇り、美しい青い紗の長い衣装を身に纏った神官の姿があった。
湧き出る水が上方から、四方に向けて激しい流れを見せていた。
ザアッ・・と激しい水音が響き渡る空間がそこにはあった。
「水の間」と呼ばれる、聖地の中でも特別な神官しか、立ち寄れぬ部屋。
通称、「先読みの間」。
その神官は水が湛えられたその場所にある丸い石の上に立ち、滝に囲まれたような場所でその前方に移る未来を視ていた。
「・・・そんな、我のあの日に下した選択のせいで・・。
この世界の未来が、・・・大きく変わってしまったなんて・・。」
金色の瞳は痛みと哀しみを湛えていた。
左の水面には、背丈が高く、スマートで引き締まった肢体と、誰が見ても美しいと絶賛するような
容貌を持った人物の姿があった。
金色の髪はサラリと流れ、人並みの長さで清潔に整えられる。黒い魔術騎士服を着ている人物。
その者は、バランスの取れた唇と、ラピス色の瞳を湛えた麗しい瞳を誇っていた。
「・・アルベルト王子が、生まれた日に輝いた黒い月の予言が・・・。真実のものとなるのか?」
頭を過ぎるのは、この国の王太子であるアルベルト王子が誕生した日に東の空に浮かんだ
暗闇のように宵闇の星の光さえも消してしまうような黒い月の姿だった。
カイザル王と、ルナ妃もその月を見ていた・・。
その大きく黒色に染まった丸い月を訝しく見上げていた。
神官、イムディーナは全身に凍えるような寒気を感じた。
水の中で刻を過ごしているからではない。
恐ろしく、不穏な未来の動きを察知した神官イムディーナは、右に映し出された人物を見た。
赤茶の艶やかなストレートの髪を背中まで伸ばし、白色の肌と、茶色に覆い隠された金の混ざった空色の
ような青い瞳を持ち、赤い唇は花の蕾のように可愛らしい少女。
凛々しく細長い剣を前方に構え、白いフェンシングのユニフォームを着た圧倒的な存在感を放つ
美少女がその水面に映されていた。
「ミヅキ・・。運命は君の選択に委ねてもいいだろうか?
君の過去と、未来を繋ぎ、更に過酷な未来への選択に続くであろう二者択一を・・・。」
ガリラディア神殿の遥か上の頭上には、宵闇と輝く星々・・。
そして、黒い月と、銀色の月が2つ存在感を放っていた。
22年前に現れた黒い月、そして、その日に生まれた王子。
イムディーナは神の祝福として、対の空に銀色の月を浮かべた。
漆黒の色である黒い月を、照らす銀色の優しい輝きを放つ幻想的な月を・・・。
2つの月が毎夜、昇る。
この世界の真上には、その2つが常に在る。
太陽と月が表裏一体であるように、黒い月も、銀の月の光によって輝く。
この国は、以前はシェンブルグ共和国と呼ばれていた。
魔術の力を要とした、魔術師を重用し、ある人物の命を狙い続けた王が納めていた地。
今は、「祝福の子」カイザル王の収める王国となった、王都「ミストラル」の端。
大きな森の中に、荘厳な作りの建造物が静かに座していた。
ガリラディア神殿と呼ばれる、シェンブルグ共和国の時代の先の王と「祝福の子」の戦いの際に
勝敗を決したとされる聖地。
神に使わされし「器」である姫がここで歌い、世界に光を齎もたらしたと謂われる場所。
そんな聖地の神殿の中には、長い黒髪を後手に1つに束ね、年齢不詳の美貌を誇り、美しい青い紗の長い衣装を身に纏った神官の姿があった。
湧き出る水が上方から、四方に向けて激しい流れを見せていた。
ザアッ・・と激しい水音が響き渡る空間がそこにはあった。
「水の間」と呼ばれる、聖地の中でも特別な神官しか、立ち寄れぬ部屋。
通称、「先読みの間」。
その神官は水が湛えられたその場所にある丸い石の上に立ち、滝に囲まれたような場所でその前方に移る未来を視ていた。
「・・・そんな、我のあの日に下した選択のせいで・・。
この世界の未来が、・・・大きく変わってしまったなんて・・。」
金色の瞳は痛みと哀しみを湛えていた。
左の水面には、背丈が高く、スマートで引き締まった肢体と、誰が見ても美しいと絶賛するような
容貌を持った人物の姿があった。
金色の髪はサラリと流れ、人並みの長さで清潔に整えられる。黒い魔術騎士服を着ている人物。
その者は、バランスの取れた唇と、ラピス色の瞳を湛えた麗しい瞳を誇っていた。
「・・アルベルト王子が、生まれた日に輝いた黒い月の予言が・・・。真実のものとなるのか?」
頭を過ぎるのは、この国の王太子であるアルベルト王子が誕生した日に東の空に浮かんだ
暗闇のように宵闇の星の光さえも消してしまうような黒い月の姿だった。
カイザル王と、ルナ妃もその月を見ていた・・。
その大きく黒色に染まった丸い月を訝しく見上げていた。
神官、イムディーナは全身に凍えるような寒気を感じた。
水の中で刻を過ごしているからではない。
恐ろしく、不穏な未来の動きを察知した神官イムディーナは、右に映し出された人物を見た。
赤茶の艶やかなストレートの髪を背中まで伸ばし、白色の肌と、茶色に覆い隠された金の混ざった空色の
ような青い瞳を持ち、赤い唇は花の蕾のように可愛らしい少女。
凛々しく細長い剣を前方に構え、白いフェンシングのユニフォームを着た圧倒的な存在感を放つ
美少女がその水面に映されていた。
「ミヅキ・・。運命は君の選択に委ねてもいいだろうか?
君の過去と、未来を繋ぎ、更に過酷な未来への選択に続くであろう二者択一を・・・。」
ガリラディア神殿の遥か上の頭上には、宵闇と輝く星々・・。
そして、黒い月と、銀色の月が2つ存在感を放っていた。
22年前に現れた黒い月、そして、その日に生まれた王子。
イムディーナは神の祝福として、対の空に銀色の月を浮かべた。
漆黒の色である黒い月を、照らす銀色の優しい輝きを放つ幻想的な月を・・・。
2つの月が毎夜、昇る。
この世界の真上には、その2つが常に在る。
太陽と月が表裏一体であるように、黒い月も、銀の月の光によって輝く。
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