二者択一で転移した令嬢は2つの月の狭間で揺れる。

館花陽月

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異世界。

永遠の月。

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「美しいよ・・。女神も嫉妬する美姫だ。」

アルベルトの青い瞳は潤んだように熱っぽく揺れた。

「アルベルトこそ・・。私より美人だよ。」

「・・・それ、全然嬉しくないから。君の両親に見せてあげたいよ。想像以上に綺麗だ。」

恥ずかしくなった私は、アルベルトの言葉に頬を染めて下を向いた。

聖堂のステンドグラスが神官イムディーナの頭上に美しい彩を映して幻想的な光が差し込んだ。

ルーベリアのリリア女王、サイラス王配、サフィール様、エリカお義姉様・・・。

アルベルディアからはノア王子が参列してくれた。

王立騎士団や、魔術騎士団が護衛の任に付いて厳かな式の静寂を見守る・・。


貴賓が集い、カイザル王、ルナ王妃、エミリアン、アレクシス、クレイドル。

エレクトラもいる。

彼女と一緒に医魔術の治療法をアルベルディアやルーベリアにも導入していくことになった。


シェンブルグ、ルーベリア、アルベルディアの各国は、自国の利点を生かした3国の同盟を約束した。

不可侵の条約と共に、強い絆が作られるように私たちは努力を続けなければならない。

私たちの世界のような、兵器や戦争がこの世界に起こらないような未来を・・。

ノアも、そして私も、強く誓った。

この世界の平和を守っていくことを。

この世界の未来が、守られるように協力し合うことを約束した。


様々な出会いに感謝して、私たちは赤い絨毯の中央で向き合った。


白いドレスがヒラリと風に靡く。

精緻なパールとダイヤが縫い込まれたレースが幾重にも重ねられたプリンセスラインのドレス。

袖はパフスリーブで、白いシルクの手袋を嵌めた。

サファイアのイヤリングとネックレス。

青と金の大きな瞳を輝かせた私は、アルベルトを見つめる。

そして・・・。

「美月、これを。」

目の前に立った王子は、白い軍服のような肩に金のタッセルと金ボタンがアルベルトの
金色の髪に映える。

長い脚を青いズボンを穿いて、美しい金のサーベルを帯剣していた。

白い手袋が嵌められた両手の中には、指輪が納められた小さな箱があった。

その箱の中央に座した碧い石・・。
その両脇にイエローダイヤモンドが2つ並ぶ。

「君の美しい瞳を象ったリングを受け取って。
君のお父さんが、お母さんが渡したように・・。僕からの永遠の愛を誓うよ。」

「アルベルト・・。わたし、・・こんなに綺麗な碧い石見たことないよ??」

アルベルトの青い瞳が嬉しそうに細められる。

優しい笑顔で、頬にそっと手を触れる。

「ブルーメノウ・・・。君の瞳の色と似た石を探して、やっとたどり着いたんだ。」

青い石に光が差すと、海とも空とも言えない綺麗な青が輝く・・。

アルベルトの胸元には、白い花が刺されていた。

私はその花を目にした瞬間に両目から涙がじわりと溢れる。

「君に指輪を嵌める日が来るなんて。今でも信じられない・・。」

「私もだよ・・。
誰も愛せないって思っていた・・。それを貴方が変えてくれたのよ?」

箱の中を震える指で持ち上げた。

そこに輝く青は見たこともないくらい美しい・・。

「離さない・・。もう二度と離れたくないよ。
違う世界で生きていた事を忘れるくらいずっと、一緒に生きて年を重ねよう。
愛してる・・。
君を殺して、自分のものにしてしまうほどね。」

その言葉に私は、涙目で笑う。

アルベルトは、私の手をそっと持ち上げてゆっくり光輝く指輪を薬指に嵌めた。

ジャストサイズの指輪が、私の白い手袋を嵌めた指に輝く。

わぁっ・・。

会場から拍手と歓声が上がる。

「愛してるわ。私も、貴方を!!
・・・死んでしまうほど、愛してるんだから!!」

誓いのキスを無視して、涙目の私はアルベルトの背に手を回して抱き着いた。

アルベルトも嬉しそうに私の背をぎゅっと抱きしめて目を閉じる。

涙を堪えた背中を、私をもっともっと強く抱きしめた。

歓声は大きくなる。

嬉しそうに、涙を流すルナ王妃と、エリカお義姉様、イムディーナが微笑む。

リリアも、サイラスも笑っている。
サフィールも・・・。

優しい笑みを浮かべたノアが拍手を送る。

クレイドルとアレクシスも嬉しそうに向き合って微笑んだ。

大きな拍手が聖堂内には溢れていた。

割れんばかりの拍手と・・・・。

窓の外から差し込む光は、あの夜に輝いた月のように眩しく輝く太陽が王都ミストラルを
今日も照らしていた。

霧の町と呼ばれた過去など、無かったかのように金色の光が聖堂には降り注いでいた。

アルベルトがそっと私のベールを上げて、私の髪を掻き上げた
胸ポケットから出した白い花を、私の髪に刺した。

「「変わらぬ愛。」それが、この花の花言葉なんだ。
 ・・・月だけじゃなく、この花にも永遠を誓うよ。君がいれば、僕は幸せなんだ。」

驚いて見上げた私の瞳と目が合って、優しい青が細められる。

涙が頬を伝う私と、同じように涙目のアルベルトが腰を抱く。

ゆっくりと屈む長身のアルベルトに、私は少しだけ背伸びをした。

私の唇に、柔らかいアルベルトの唇がそっと触れた。

その温かさに私はそっと目を閉じた。

深くなる口づけに私の心臓は高鳴った。

光輝く聖堂の中で盛大な拍手は、・・いつまでも鳴りやまなかった。

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