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異世界
アレキサンドライト。(ランドル視点)
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カルドリア王国、筆頭公爵家の生まれで長男。
ランドル=クラリシッド(19歳)
父は魔法省大臣のダナン=クラリシッド。母は元王女のマリーナ=クラリシッド。
筆頭公爵家ともなると、王家との血縁関係も昔から脈々と続く名門一門として
この国で知らぬ者などいない。
特に父は、魔力が強く生まれ、能力も高く魔術師団総長の経験もある魔術のスペシャリスト
だった。
母は、美しく嫋やかな元王女で、意外としっかり者だった。
2人はこの国では珍しい、恋愛結婚で結ばれいい年をした今も、いつも幸せそうにくっついて
ばかり居た。
幼い頃から、それを見て来た私は結婚とはそう言う物だ。と、思っていた。
しかし、社交界に出て見ると女性達は自分の容姿や家柄、権力に群がり、必死に自分を良く見せようと
相手を蹴落としたり、私に媚びを売り、私の妻の座を射止めようと狙っていた。
父と母を見てきた私は、夜会に出る度に、罠をめぐらされる度に結婚や恋愛に冷めて行った。
勿論、素敵だなと思える女性との出会いが無かったのも事実だった。
姉のミリアは、数年前に宰相の息子と結婚して家を出た。
次は私の番だった。
早々に父に助言し、婚約者候補以外とは結婚しないと伝え、その選抜を父に依頼した。
名誉や地位を追い求めないような、慎ましく、聡明な女性である事を条件に。
しかし、人はいくらでも外では仮面を被れる。
その選抜さえも期待してはいなかった。
選抜に残った令嬢は侯爵家のメルダ=アマンダル、伯爵家のロレーヌ=カードバルト、
そして同じ筆頭公爵家のセレーナ=アルベルディアだった。
私は各家を訪問し、父が選抜した相手を、何の期待もせず見に行くことにした。
候補者の父親に挨拶をし、婚約者候補の招待の旨を伝えた。
その折には、ご令嬢には内密で、隣室でその招待を伝える様子を聞かせてもらっていた。
「どうして、そのような事を希望なさるのですか?
お恥ずかしながら、娘が大いに喜ぶと思いますので・・。
あの、あまり・・お聞かせしたくはないのですが。」
「いいえ、私のご招待を喜んでいるご令嬢の声を生で聴きたいのです。
どれ程お喜びになっていたのかも、考査の基準にしたいと思います故。
どうぞ、宜しくお願いいたします。」
どこの邸の父親も、芳しくない雰囲気で出来ればそれはされたくない様子だった。
しかし、考査の基準となると伝えると渋々了承するより他はないだろう。
案の定、選抜された令嬢は、喜びの声だけではなく、他の選抜された令嬢の悪口や、
自分をどう見せるのが良いか、ドレスや装飾を豪華な物を見繕って欲しいなど。
・・・聞くに堪えない内容を、聞いてしまう事になった。
益々、来週に控えた婚約者候補の選定に向けて憂鬱になる。
「父上、姉上のお子が沢山生まれたら、そこから一人我が家へ養子として
頂戴して大切に育てる・・・。それでは駄目なのでしょうか?」
「それでも良い。お前は、私の魔力の遺伝が強く出ているし、
お前の母の美しい容姿や品格も持ち合わせておる。
是非とも、素晴らしい女性と巡り合い、結婚して子を成して欲しいと思っているが・・。
お前には大切な使命もあるのだし、どうしても嫌であれば無理強いはしない。」
そう言って、美しい紅い瞳で優しく笑う父を安心させてあげたい気持ちはあった。
最後の令嬢、セレーナ宅では父親に隣室で話を聞きたいと告げると・・。
「ランドル様、聞くのは構いませんが・・。
セレーナは婚約者候補の集いのご招待を拒む・・か、全力で、逃げようと画策するかもしれませぬ!」
「は?・・拒む?セレーナ譲には、誰か意中の男性でもいらっしゃるのですか?」
「いえ、おりませぬ。
ですが最近の娘は、結婚なんて地獄だの、まだ自由が欲しいだの・・。
自分はもっと勉強がしたいだのと言っておりまして・・。」
「はぁ・・・。変わったご令嬢ですね。」
私は困り果てた公爵の顔を見て、可笑しくなった。
実際に隣室で控えて聞いていると、婚約を全力で拒み、
別の令嬢とくっつけようと策を練る!と嬉しそうに意気揚々と退出して行った様子だった。
あれには笑ってしまった。
いつも冷静にすましている私が、話を聞けば聞くほど目を丸くし、
終いには、噴き出して笑う私の様子を傍で見ていた者達は、一様に驚いていたようだ。
そのあまりにも素直で、不思議な令嬢に興味を持ったのだった。
数日後、公爵から朝の乗馬を楽しんでいる令嬢の話を聞いていた私は、会いに向かった。
その姿を自分の目で確かめるために。
驚いた事に、サラサラの艶のある髪を一つ上の方で束ね、乗馬服を着ていた彼女の瞳は
角度によって色が変わる、宝石のように美しかった。
私にも興味を全く示さず訝し気な視線を向けてくる
。
話しもしたくなさそうにとっとと避け逃げようとする。
悔しくて、引き留めたくて・・・咄嗟に魔法を使ってしまった。
今まで誰かを引き留める為に、魔法を使った事など無かったのに。
出会った瞬間から感じた、瞳に強い魔力を秘めた少女は、雷を落とし光の属性を知らしめた。
これは、結婚して家を守る妻としての資質よりも、魔術師の中でもかなり高位の存在になれる
力を証明したのだった。
美しく、不思議な瞳の令嬢・・・。
初めて興味を持った彼女を、閉じ込めたくて口づけをしたことは誰にも言えない。
二人だけの秘密になった。
私の心は決している。
さて、彼女も策略家のようだし、・・・どうしてやろうか。
長い睫毛に覆われた紅い瞳を嬉しそうに眇めると、左目の下の黒子が艶やかに艶めく。
あの美しいアレキサンドライトは、私のものだ。
そう確信したのだった。
ランドル=クラリシッド(19歳)
父は魔法省大臣のダナン=クラリシッド。母は元王女のマリーナ=クラリシッド。
筆頭公爵家ともなると、王家との血縁関係も昔から脈々と続く名門一門として
この国で知らぬ者などいない。
特に父は、魔力が強く生まれ、能力も高く魔術師団総長の経験もある魔術のスペシャリスト
だった。
母は、美しく嫋やかな元王女で、意外としっかり者だった。
2人はこの国では珍しい、恋愛結婚で結ばれいい年をした今も、いつも幸せそうにくっついて
ばかり居た。
幼い頃から、それを見て来た私は結婚とはそう言う物だ。と、思っていた。
しかし、社交界に出て見ると女性達は自分の容姿や家柄、権力に群がり、必死に自分を良く見せようと
相手を蹴落としたり、私に媚びを売り、私の妻の座を射止めようと狙っていた。
父と母を見てきた私は、夜会に出る度に、罠をめぐらされる度に結婚や恋愛に冷めて行った。
勿論、素敵だなと思える女性との出会いが無かったのも事実だった。
姉のミリアは、数年前に宰相の息子と結婚して家を出た。
次は私の番だった。
早々に父に助言し、婚約者候補以外とは結婚しないと伝え、その選抜を父に依頼した。
名誉や地位を追い求めないような、慎ましく、聡明な女性である事を条件に。
しかし、人はいくらでも外では仮面を被れる。
その選抜さえも期待してはいなかった。
選抜に残った令嬢は侯爵家のメルダ=アマンダル、伯爵家のロレーヌ=カードバルト、
そして同じ筆頭公爵家のセレーナ=アルベルディアだった。
私は各家を訪問し、父が選抜した相手を、何の期待もせず見に行くことにした。
候補者の父親に挨拶をし、婚約者候補の招待の旨を伝えた。
その折には、ご令嬢には内密で、隣室でその招待を伝える様子を聞かせてもらっていた。
「どうして、そのような事を希望なさるのですか?
お恥ずかしながら、娘が大いに喜ぶと思いますので・・。
あの、あまり・・お聞かせしたくはないのですが。」
「いいえ、私のご招待を喜んでいるご令嬢の声を生で聴きたいのです。
どれ程お喜びになっていたのかも、考査の基準にしたいと思います故。
どうぞ、宜しくお願いいたします。」
どこの邸の父親も、芳しくない雰囲気で出来ればそれはされたくない様子だった。
しかし、考査の基準となると伝えると渋々了承するより他はないだろう。
案の定、選抜された令嬢は、喜びの声だけではなく、他の選抜された令嬢の悪口や、
自分をどう見せるのが良いか、ドレスや装飾を豪華な物を見繕って欲しいなど。
・・・聞くに堪えない内容を、聞いてしまう事になった。
益々、来週に控えた婚約者候補の選定に向けて憂鬱になる。
「父上、姉上のお子が沢山生まれたら、そこから一人我が家へ養子として
頂戴して大切に育てる・・・。それでは駄目なのでしょうか?」
「それでも良い。お前は、私の魔力の遺伝が強く出ているし、
お前の母の美しい容姿や品格も持ち合わせておる。
是非とも、素晴らしい女性と巡り合い、結婚して子を成して欲しいと思っているが・・。
お前には大切な使命もあるのだし、どうしても嫌であれば無理強いはしない。」
そう言って、美しい紅い瞳で優しく笑う父を安心させてあげたい気持ちはあった。
最後の令嬢、セレーナ宅では父親に隣室で話を聞きたいと告げると・・。
「ランドル様、聞くのは構いませんが・・。
セレーナは婚約者候補の集いのご招待を拒む・・か、全力で、逃げようと画策するかもしれませぬ!」
「は?・・拒む?セレーナ譲には、誰か意中の男性でもいらっしゃるのですか?」
「いえ、おりませぬ。
ですが最近の娘は、結婚なんて地獄だの、まだ自由が欲しいだの・・。
自分はもっと勉強がしたいだのと言っておりまして・・。」
「はぁ・・・。変わったご令嬢ですね。」
私は困り果てた公爵の顔を見て、可笑しくなった。
実際に隣室で控えて聞いていると、婚約を全力で拒み、
別の令嬢とくっつけようと策を練る!と嬉しそうに意気揚々と退出して行った様子だった。
あれには笑ってしまった。
いつも冷静にすましている私が、話を聞けば聞くほど目を丸くし、
終いには、噴き出して笑う私の様子を傍で見ていた者達は、一様に驚いていたようだ。
そのあまりにも素直で、不思議な令嬢に興味を持ったのだった。
数日後、公爵から朝の乗馬を楽しんでいる令嬢の話を聞いていた私は、会いに向かった。
その姿を自分の目で確かめるために。
驚いた事に、サラサラの艶のある髪を一つ上の方で束ね、乗馬服を着ていた彼女の瞳は
角度によって色が変わる、宝石のように美しかった。
私にも興味を全く示さず訝し気な視線を向けてくる
。
話しもしたくなさそうにとっとと避け逃げようとする。
悔しくて、引き留めたくて・・・咄嗟に魔法を使ってしまった。
今まで誰かを引き留める為に、魔法を使った事など無かったのに。
出会った瞬間から感じた、瞳に強い魔力を秘めた少女は、雷を落とし光の属性を知らしめた。
これは、結婚して家を守る妻としての資質よりも、魔術師の中でもかなり高位の存在になれる
力を証明したのだった。
美しく、不思議な瞳の令嬢・・・。
初めて興味を持った彼女を、閉じ込めたくて口づけをしたことは誰にも言えない。
二人だけの秘密になった。
私の心は決している。
さて、彼女も策略家のようだし、・・・どうしてやろうか。
長い睫毛に覆われた紅い瞳を嬉しそうに眇めると、左目の下の黒子が艶やかに艶めく。
あの美しいアレキサンドライトは、私のものだ。
そう確信したのだった。
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