転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

文字の大きさ
21 / 75
マグダリア王国編

別れの夜。

しおりを挟む
魔術師団の精鋭達も自分の前で起こった「炭素結晶癒ロンズデーライト
にザワついていた。

ケイレブと、ランドルは目を合わせ何かを伝え合った。

医師がアスコットの容態を確認し、脈拍も
先ほどは微弱になっていた心拍数も正常心拍に戻っていた事に驚いていた。

アスコットも、自らの体に起こった変化に驚いている。
私は何が起きたのかを理解しておらず、ポカンとした顔でアスコットを見上げていた。

「セレーナ、体が戻っただけじゃないんだよ。
僕の魔力が完全に戻ってるんだ。
君の魔法は金剛癒こんごうちの回復以上の魔法を使ったと考えるべきだが・・。
しかし・・それは・・・。」

「・・アスコット!!
お前、まだ起き上がっちゃ駄目だ。
魔力や体が急激に回復していてもダメージは食らっているんだ。
それに、・・・まだ。」

ハッとした表情で、ケイレブを見たアスコットは悲しそうな表情を見せた。
クレードとクリスは何処かへ出て行ったようだった。

「ほら、まだアスコットをゆっくり休ませねばならぬのでな・・。
雑談は病室以外の所でしよう。皆!今日はこの位で退出するぞ。」

アスコットは、退出しようとしたランドルを制した。

「ランドル君、リンダと、セレーナの事を頼みます。
僕は、回復したとは言っても・・・。」

「ああ、分かっている。・・任せろ。」

アスコットの頼みを、ランドルは笑顔で快諾する。
私とリンダも、ランドルに状況が読めていないまま
背中を押されて退出を促される。

「団長、また来ますね。」
ペコリと頭を下げて退出した。

第1師団のエミールと、第2師団のアレクシスを呼び止め小さな声で伝えた。

「・・夜に備えろ。」

ハッと了承した2人は、鋭い目つきで出ていく。

皆が退出した様子を確認した、ケイレブは
「やっと寝れるー。」と天井に向かってひと伸びをした。

「アスコット、お前も寝とけ・・。さて、が来るかな。
今日は長。」

アスコットは、悲しそうに頷いた。

大きなソファーセットにボフッ!!と大きな190cmの体を投げた。
ブーツをテーブルに置き、天井を仰いだ。

炭素結晶癒ロンズデーライト・・。
な者しか使えぬ技を簡単に使った。・・やはり、決まりだな。」

ボソッと呟いた言葉は、窓の方向を向いて横になっていたアスコットにも聞こえていた。

眉間に皺が入り、切ない表情を浮かべた。
窓の外で遠くなっていくセレーナを見ながら、アスコットは・・何かを囁いた。



・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・

師団のメンバーはメディテリアでの宿へと向かい、交代で仮眠を取る事になった。
私やリンダは混乱する頭で、その指示に従いベッドへと潜り込んだ。

外には大きな月が輝いていた。

深夜、アスコットの病室の前に月明りさえも照らさぬ、4つの影があった。

暗闇に溶け込むような濃紺の上下を身に着け、手には黒に金色のサソリの刻印が入った銃が握られていた。

「・・行くぞ。」

男は小声で指示をする。
他の3人も、魔剣、銃のそれぞれの武器を構えた。

静かに入室し、部屋を見渡すとベッドに静かに眠るアスコットの姿を確認する。
ソファに置いてあったクッションを1つかみし、ベッドへと向かう。

いつもは美しい金色の髪も、包帯に巻かれ痛々しい様相を見せていた。
目を瞑り眠るアスコットの頭上にクッションを置き、銃を構えた。

光盾コウジュン!!!」

部屋全体が防衛魔法の発動により、空間が切り取られ光の盾が包み込んだ。

魔弾岩まだんがん!!!」「不死鳥炎フェニックス。」

共に入室した3人は、敵襲に武器を持ち反撃をする。

背後からの急襲に、驚いた男は一瞬そちらに気を取られてしまい
自分の腕を鋭い目つきで握るアスコットに気付いたのは数秒後だった。

持っていた銃はドロドロに解けていた。

「・・・くそっ。何故、魔力が戻った!?
しかも総長が帰ったと報告を受けたが。カルドリアにいる筈の第1師団と第2師団が気配を消して
控えているなぞ・・同じ師団にも動きを隠し、策を講じたのだな・・!」

「ふははは。詰めが甘いんだよ。・・ジェレミー。」

月に反射した黄金色の瞳は冷たい色を浮かべる。
ゾクリとした殺気に、いつもは穏やかなアスコットとは違う物を感じた。

「ジェレミー、アスコットが何故第3師団長を務めていると思う?」

窓辺に現れたランドルが、酷薄な笑みで問う。

「師団長はな、常に冷静であり、誰よりも冷酷にならねばならぬ。
例え、自分の大切に育てて来た弟子に裏切られても・・だ!!」

ランドルは紅い目で睨むと、ジェレミーを黒い闇が見る見る内に包み込んだ。

ニヤリと笑んだランダルに、ゾッとした真っ青な顔のジェレミーは震えながら
見上げた。

「お前のような裏切り者は、一生異空間で彷徨い、光も音もない空間で一人孤独に耐えて・・・。生まれてきた事すら後悔するがいい!!」

闇が体を徐々に飲み込んで行く。
足や腕、指先が黒に侵食されてジェレミーは真っ青な顔で助けを求める。

「・・・師匠!!・・・た、助けて・・。助けてください。命令が急に下りたのです。
・・私だって貴方を殺したくはなかった・・・。死にたくないーっ!!」

アスコットは無表情でその様子を眺めていた。

ジェレミーは縋るような目で見るも、その表情を見るとゾクリと寒感が走り、終わりを認めた。

激しい戦闘の末、他の3人も命からがらの状態で捕らえられる。

引きずられていく敵とすれ違い様に入出した者がいた。

「何故・・・。ジェレミー。どうしてなの・・・。」

「そ、そんな。団長はジェレミーに襲われた?!・・まさか。」

セレーナと、リンダはその光景を見ていた。

私は闇に飲まれ消えて行くジェレミーの断末魔の叫びに耳を塞ぐ。

裏切者のジェレミーをこの手で始末するランドルの姿に、痛みを覚えながら。

しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...