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マグダリア王国編
月夜の約束。
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病院の玄関を出た外の噴水は、夜も美しい虹色の水が輝いていた。
「捉えた者は、自殺か、暗殺の危険性がある。
常に監視者を付け、あの組織の内容を吐かせるのだ。
今度は1つでも、組織の手がかりを突き止めろ。
もう二度と師団員が傷つくような、こんな事がないように・・。」
「はっ。必ず・・。」
アレクシスが丁寧に礼を取り下がった。
ランドルは空の月を見上げ、小さなため息をついた。
「ランドル様・・・。」
私はそっとその寂しそうな背中に呼び掛けた。
「・・セレーナ?君は、まだ・・ここに居たのか?」
私は、哀しい表情で頷く。
さっきまで泣き叫んでいたリンダは、第2師団の女性魔術師エミリアに
そっと支えられ宿へと戻って行った。
「すまない・・。君達の前でジェレミーを。辛かっただろう。」
「はい。でも、私よりも団長や貴方のご心痛を考えたら大したことじゃないです。
・・・裏切りは辛いですね。その者との、良い思い出が沢山降り積もって在る分・・。」
いつも冷静でいなければならない。
たった1人で皆の命を背負い、適格な判断をし続けなければいけない。
魔術師団でエリートとして進み続けるには、何度、心を痛めなければならないのだろう・・。
婚約破棄の条件は、ランドルに勝つこと・・。
「ランドル様、私、今日思ったんです。
私は一生、貴方には勝つことが出来ないなって・・。」
驚いた顔で私を見下ろすランドルは、不思議そうに私を黙って見つめる。
「貴方の強さは、桁違いでした。
沢山、痛みも、苦しみも、絶望も経験されて来てるんだなって。
私は甘いです。
きっと、ジェレミーに同情して殺されてしまうでしょう。
でも、貴方は自分の心よりも、皆の命を冷静に考えられる方です。
団長の苦しみを考えて、貴方が自らジェレミーに手を下したのですね・・。
私には、慮っても出来ない事です。
あの、す、少しだけ・・・貴方を尊敬しました。」
真っ赤になって床に視線を向けたままの私を、嬉しそうに見下ろすランドルは
ははははっと嬉しそうに笑った。
「セレーナ、君はきっと近い将来・・。
この魔術師団を共に背負わねばならぬ時が来るだろう・・。
いいか、強くなれ。
何があっても、自分の信じた物を守りぬく心の強さを持つんだ・・。
目の前に、どんな真実が晒されても・・前だけを向くんだ。」
私は、不安に駆られ下を向いたままで震える。
仲間に裏切られ、その始末をつける事も、誰かを本気で殺すことも
未だそんな経験のない私に・・出来るのだろうか。
「あの・・。
その時は、貴方は私の側にいてくれますか?
・・こうやって、駄目な私に叱咤激励してくれる?」
不安気に月に照らされ揺れるアレキサンドライトの瞳は
紅にも、翠にも、蒼にも見える。
気高く、美しく光輝いていた。
ランドルは、一瞬驚いた表情を浮かべた。
しかし、努めて落ち着いた表情で私に笑いかける。
「ああ。君は私が望んだ唯一の婚約者だ。
・・・もう、君を一人にはしない。」
誰かに心を開くのが嫌だった。
好きになって失う事が怖いと、だったら誰も心に入れてしまわなければ良いと
そう決めていた。
だって、その人が自分の前から居なくなってしまったら心は耐えられないから。
私はポロポロと涙を流すと、ランドルはそっと頬に触れて涙を優しく拭う。
優しく抱き寄せて、キスをした。
意外と、嫌じゃなかった事に驚いて顔を上げるとランドルは、「どうした?」
と私に至近距離で問う。
その紅い瞳と、左目の黒子の色っぽさにボッと顔に火がついたように熱くなる。
一歩大きく後ろに下がって距離を取る。
「あの!!今のは1破廉恥です、・・・減点です!
そもそも、病人のいる病院の真ん前でキスするなんて不謹慎ですからっ!!」
「・・・・何処ならいいのだ?宿か?」
「んなっ!!何処も駄目ですから。
そもそも、私達は仮の婚約者でしょう?!」
「さっきずっと側に居てと言ったではないか。あれは君からのプロポーズだろ?」
嬉しそうにニヤけたランドルは私の腰を掴み、引き寄せてもう一度口づけをした。
黒い髪が風に美しく流れ、紅い瞳がすぐそばにあった。
「好きだ。」
ランドルの真正面からの告白に、心拍数が一気に上がった私は興奮と羞恥のあまり、水の魔術を発動してしまったのだった。
噴水から水柱がボオォン!!と立ち上がり、水しぶきがかかった私とランドルは
早々に宿へと撤収する事になったのだった。
「全く・・・。深夜だと言うのに何やってるんだか、あの2人は。」
その様子を窓から見ていたケイレブは楽しそうに笑っていた。
「ランドル君には、すまないことをしてしまいました。
本来なら私が片をつけなければならない事でしたのに・・。」
「いや、今回は仕方ないだろう・・。
お前が敵に囲まれる事になってしまうなんて。
背中を常に預けてきた者に命を狙われるとは思わなかっただろうしな。
ランドルも責任を感じていたようだったぞ。」
ケイレブは、アスコットの肩をポンと叩き励ました。
そこに、キイっと扉を開けてクレードと、クリスが入って来る。
「まだもう一人の片はついていないだろう?クレード、報告を。」
静かに頷いたクレードが、碧の瞳を細めた。
「メーガン=オルコットは、マグダリア首都の「アズベルタ」に向かったようです。
そこに本拠地があるのかもしれません。第1師団のカインとエミールを派遣しました。」
アスコットは、決意を込めた瞳で振り返る。
「セレーナのあの術のお陰で身体も魔力も元に戻っております。
・・・今度は私が、自らの手で片をつけます。
明日の朝には「アズベルタ」へ移動しましょう。
あの方々にも、今回の件ではお礼を言わねばならぬので。」
アスコットの言葉に、クレードとクリス、ケイレブは目を合わせて頷いた。
「捉えた者は、自殺か、暗殺の危険性がある。
常に監視者を付け、あの組織の内容を吐かせるのだ。
今度は1つでも、組織の手がかりを突き止めろ。
もう二度と師団員が傷つくような、こんな事がないように・・。」
「はっ。必ず・・。」
アレクシスが丁寧に礼を取り下がった。
ランドルは空の月を見上げ、小さなため息をついた。
「ランドル様・・・。」
私はそっとその寂しそうな背中に呼び掛けた。
「・・セレーナ?君は、まだ・・ここに居たのか?」
私は、哀しい表情で頷く。
さっきまで泣き叫んでいたリンダは、第2師団の女性魔術師エミリアに
そっと支えられ宿へと戻って行った。
「すまない・・。君達の前でジェレミーを。辛かっただろう。」
「はい。でも、私よりも団長や貴方のご心痛を考えたら大したことじゃないです。
・・・裏切りは辛いですね。その者との、良い思い出が沢山降り積もって在る分・・。」
いつも冷静でいなければならない。
たった1人で皆の命を背負い、適格な判断をし続けなければいけない。
魔術師団でエリートとして進み続けるには、何度、心を痛めなければならないのだろう・・。
婚約破棄の条件は、ランドルに勝つこと・・。
「ランドル様、私、今日思ったんです。
私は一生、貴方には勝つことが出来ないなって・・。」
驚いた顔で私を見下ろすランドルは、不思議そうに私を黙って見つめる。
「貴方の強さは、桁違いでした。
沢山、痛みも、苦しみも、絶望も経験されて来てるんだなって。
私は甘いです。
きっと、ジェレミーに同情して殺されてしまうでしょう。
でも、貴方は自分の心よりも、皆の命を冷静に考えられる方です。
団長の苦しみを考えて、貴方が自らジェレミーに手を下したのですね・・。
私には、慮っても出来ない事です。
あの、す、少しだけ・・・貴方を尊敬しました。」
真っ赤になって床に視線を向けたままの私を、嬉しそうに見下ろすランドルは
ははははっと嬉しそうに笑った。
「セレーナ、君はきっと近い将来・・。
この魔術師団を共に背負わねばならぬ時が来るだろう・・。
いいか、強くなれ。
何があっても、自分の信じた物を守りぬく心の強さを持つんだ・・。
目の前に、どんな真実が晒されても・・前だけを向くんだ。」
私は、不安に駆られ下を向いたままで震える。
仲間に裏切られ、その始末をつける事も、誰かを本気で殺すことも
未だそんな経験のない私に・・出来るのだろうか。
「あの・・。
その時は、貴方は私の側にいてくれますか?
・・こうやって、駄目な私に叱咤激励してくれる?」
不安気に月に照らされ揺れるアレキサンドライトの瞳は
紅にも、翠にも、蒼にも見える。
気高く、美しく光輝いていた。
ランドルは、一瞬驚いた表情を浮かべた。
しかし、努めて落ち着いた表情で私に笑いかける。
「ああ。君は私が望んだ唯一の婚約者だ。
・・・もう、君を一人にはしない。」
誰かに心を開くのが嫌だった。
好きになって失う事が怖いと、だったら誰も心に入れてしまわなければ良いと
そう決めていた。
だって、その人が自分の前から居なくなってしまったら心は耐えられないから。
私はポロポロと涙を流すと、ランドルはそっと頬に触れて涙を優しく拭う。
優しく抱き寄せて、キスをした。
意外と、嫌じゃなかった事に驚いて顔を上げるとランドルは、「どうした?」
と私に至近距離で問う。
その紅い瞳と、左目の黒子の色っぽさにボッと顔に火がついたように熱くなる。
一歩大きく後ろに下がって距離を取る。
「あの!!今のは1破廉恥です、・・・減点です!
そもそも、病人のいる病院の真ん前でキスするなんて不謹慎ですからっ!!」
「・・・・何処ならいいのだ?宿か?」
「んなっ!!何処も駄目ですから。
そもそも、私達は仮の婚約者でしょう?!」
「さっきずっと側に居てと言ったではないか。あれは君からのプロポーズだろ?」
嬉しそうにニヤけたランドルは私の腰を掴み、引き寄せてもう一度口づけをした。
黒い髪が風に美しく流れ、紅い瞳がすぐそばにあった。
「好きだ。」
ランドルの真正面からの告白に、心拍数が一気に上がった私は興奮と羞恥のあまり、水の魔術を発動してしまったのだった。
噴水から水柱がボオォン!!と立ち上がり、水しぶきがかかった私とランドルは
早々に宿へと撤収する事になったのだった。
「全く・・・。深夜だと言うのに何やってるんだか、あの2人は。」
その様子を窓から見ていたケイレブは楽しそうに笑っていた。
「ランドル君には、すまないことをしてしまいました。
本来なら私が片をつけなければならない事でしたのに・・。」
「いや、今回は仕方ないだろう・・。
お前が敵に囲まれる事になってしまうなんて。
背中を常に預けてきた者に命を狙われるとは思わなかっただろうしな。
ランドルも責任を感じていたようだったぞ。」
ケイレブは、アスコットの肩をポンと叩き励ました。
そこに、キイっと扉を開けてクレードと、クリスが入って来る。
「まだもう一人の片はついていないだろう?クレード、報告を。」
静かに頷いたクレードが、碧の瞳を細めた。
「メーガン=オルコットは、マグダリア首都の「アズベルタ」に向かったようです。
そこに本拠地があるのかもしれません。第1師団のカインとエミールを派遣しました。」
アスコットは、決意を込めた瞳で振り返る。
「セレーナのあの術のお陰で身体も魔力も元に戻っております。
・・・今度は私が、自らの手で片をつけます。
明日の朝には「アズベルタ」へ移動しましょう。
あの方々にも、今回の件ではお礼を言わねばならぬので。」
アスコットの言葉に、クレードとクリス、ケイレブは目を合わせて頷いた。
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