転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

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マグダリア王国編

王都「アズベルタ」。

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王都「アズベルタ」の街の外れにある大きな邸宅。

窓からは広大な庭園を一望出来る、その豪奢な部屋にはメーガン=オルコットの姿があった。

「ジェレミーも、アスコット=ルアーの暗殺に失敗したようです。
今回は、任務を完遂することが出来ず・・申し訳ありませんでした。」

窓を眺めながら、メーガンの報告に聞き耳を立てていた者は静かに問う。

「そうか、ジェレミーは消したか?
他の者達は今どうしている?・・どうなのだ?」

苦しそうに眉根を寄せて、頭を垂れた姿勢のメーガンはジェレミーは闇に飲み込まれ消え去った
事と、他の刺客が第1師団や第2師団の精鋭部隊に生け捕りにされた事を報告する。

「では・・・。失敗しながらも、のうのうと息をしている者達にも同じ闇の世界に行ってもらわねばな?
ジェレミー1人では、可哀想ではないか?」

窓の外を見たまま、クスリと笑った。

ゾクリ。と震えるような言葉を銀の鈴を転がしたような美しい声音で吐き出す。

この方は・・恐ろしい方だ。
メーガンはそれを再認識するも頭を上げて自分の部下に指示を伝えた。

・・・それでも、私にはこの人しかいないのだ。
幼い頃から持ち合わせた魔力のせいで、では魔女と忌避された。

家族さえも、魔術への理解はなく化け物と呼ばれ、叩かれ続けた。
食事は与えられず、両親は私の魔力は自分のせいではないと喧嘩を始める。

他の男の子ではないのかと問われ続けた母は身を投げた。
その夜に家を飛び出した私が出会ったのは・・この美しい人だった。

私の魔術を見ても、驚かず、私を素晴らしいと誉め称えカルドリアへと逃がし生きる場所をくれた。

愛するこの人の為に、自分の命をかけてもこの組織の使命を遂げる。

アスコットや、セレーナ、リンダや、ジェレミーとの楽しい時間が頭を一瞬過ったが
それを打ち払うように、唇をキッと引き結び踵を返して退出したのであった。


・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・


私は、この世界に来てからと言うもの、建造物にいつも驚いている気がするが・・。

今回も王都アズベルタにある、マグダリア王国の王宮の前で奇声を上げる。

「な、なんじゃこりゃーーー!!」

「セレーナ、言葉遣い・・・。もう、可愛いんだからぁ。」

昨夜の涙のせいか瞼を腫らした2人は大きな金ピカの門扉を見上げ騒いでいた。

クレードやランドルは勝手知ったようにズカズカと自動で閉口する門扉をくぐり入って行く。

「姉さん、クレード様や、ランドル様の従妹がお住まいなので
よくこちらの王宮には幼い頃から滞在しているようですよ。さぁ、僕らも入りましょう。」

あ、そうか!!ランドル様の母上は元王女で、確かお姉さまがマグダリアの王妃と
なられているんだった。

てことは、クレード様のお父様(王)の姉がこちらの王妃だから・・。
クレード様も、ランドル様も従妹関係になるのね!!

以前、ローザに詳しく聞いた王家や、クラリシッド家の情報がここでも役に立つ。

ケイレブと、第1、第2師団の団員は任務があるとのことで、
ここには団長と、リンダ。私とクレード、クリス、ランドルが王宮へと向かったのだった。

広くて真っ白な大理石の廊下を歩いていると、けたたましい足音が聞こえた。

驚いて振り向くと、派手でグラマラスな女性と、見るからに知的で頭の良さそうな男性が現れた。

「・・誰?!」

私が驚いて呆然としていると、その派手な女性はランドルに思い切り抱き付いた。

「ランドルー!!!会いたかったわー。
最近、全然会いに来てくれないのだものーー!!もう、ランドルが来るって聞いて
今日は朝からエステを受けてピカピカにしたのよ?!ねぇ私、更に美しくなったでしょう?」

黒髪をゴージャスに巻いて、胸ががっつり開いた深紅のドレスを身に着けた女性は
ランドルと同じ紅く光る色っぽい目でうっとりと見上げていた。

「メラニー王女、お久しぶりでございます。相変わらず、人の気持ちを察する事が
出来ない甚だしさに、いつもながら感服ですよ。」

笑ってない笑顔で、王女の腕をベリッと引き剥がす。

「お、王女様?!ええっ・・。確かにゴージャスで美しいわね・・。」

本音がダダ漏れで有名な私が口から、またもや本音が出る。

「・・・あら?真の美が分かる子がいるじゃない?貴方はどなた?」

ランドルから、こちらへと向き直りズカズカ近づいて来る。

「私の婚約者の筆頭公爵家のご令嬢、セレーナ=アルベルディアです。」

間髪を入れずに、私を背の後ろに回し庇うようにランドルが立ちはだかる。
その言葉に王女はムッと明らかに表情を変える。

うわっ、なんか不穏・・!!

リンダのドレスを掴み一歩下がる。

「ランドルー・・・。
僕はまだセレーナが君の婚約者って認めてないからな。セレーナは僕と先に幼児期に婚約してるんだってば!!」

むっと顔を顰めたクリスが横やりを入れ、クリスにド突かれていた。
我が弟ながら王子殿下の扱いが・・・。

「まぁまぁメラニー落ち着け、ランドルも令嬢も困っているだろう、
・・・しかし、君たちは賑やかだな。
おっ、アスコットもいるのか。あんなに大怪我をしていたのに・・・。
お前、あまりに回復が早くはないか?大丈夫なのか??」

「メイデル殿下!!この度は、ご英断を下さいまして・・命を助けて下さった事に感謝致します。」

アスコットが前に進み出て、ふわふわと癖のある緑色の髪に、メガネをかけた
紅い瞳の王子に深々と頭を下げた。

「メイデル、アスコットは治ったよ。
セレーナが炭素結晶癒ロンズデーライトを使い、以前以上の魔力の状態にまで
一瞬で治癒したんだよ。すごいでしょ?」

クレードはセレーナの肩を抱いて自慢気に微笑んだ。

「・・・炭素結晶癒ロンズデーライト・!?君が・・?」

驚いた顔でメイデル王子は私の顔をまじまじと見つめる。
私はよく分からずに首を傾げた。

「もう!!よく分からぬ話は止めてくださいませ!
それよりも、お父様が首を長くしてお待ちですよ。
さあ!ランドル様、行きましょう!」

私をドンを跳ね除けメラニー王女は、ランドルの腕を引っぱる。
こちらを困り気味に見たランドルは、「すまぬ」と呟いた。

「なんだか、大変ね、セレーナも・・・。私達も行きましょう。」
リンダは眉を下げて心配そうに言葉をくれた。
私は、よく分からない揉め事に嘆息し、謁見の間へと歩き出した。

アスコットが歩きながら隣に並んだ。

「セレーナ、大丈夫?」

「え?団長?何がですか?」

ポカンとした表情で私が答えると、アスコットは一瞬、驚いて笑う。

「・・彼女、メラニー王女は、カルドリアでもいつもああなんだ。
ランドル君は君を好きな気持ちは鋼のような強固な物だし、何も問題ないと思うよ。」

そう言って、笑顔を見せる。
心配してくれて、励ましてくれる団長の優しさに嬉しくなった。

「相変わらず、優しいですね団長は。
滞在中も、体に負担にならない程度に魔術の知見を色々教えて下さいね。」

私は深々とお願いする。

そうだ!!ここでは大好きな科学も学べるかも!!
図書室に後で案内してもらおうと、ウキウキと思いを馳せた。

アスコットは、セレーナの腕を掴みグイッと引き寄せ、耳元で囁いた。

「ランドル君が、もし君を悲しませるなら僕が黙ってないから。
伯爵令嬢との婚約を解消するよう、先ほど父に伝えた書簡を出した。」

「え?婚約を解消って・・何故ですか?」

「僕はもう自分の気持ちを偽りたくないんだ。
初めて出会った日からずっと、君を想っているよ。」

私は頭が真っ白になっていた。
その様子を見て、スッキリした表情を浮かべて嬉しそうにアスコットは前へ進んで行った。

皆に置いて行かれ、驚愕の表情で真っ赤に頬を染めた私は廊下で一人立ち尽くしていた。

その様子を振り返りながら見ていたメイデルは、面白そうに笑んだ。
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