転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

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マグダリア王国編

愛しき人。(アリストラド視点)

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ケイレブが上空で繰り広げた激しい戦いの果て・・。

目の前で見知らぬ男からの攻撃を受け、その結末が明かされぬ状態で攻撃の主である赤い魔弾と共に消え去った。

ケイレブの安否を考えると不安で仕方がない・・・。

リンダも絶望的な表情で空を見上げていた。

その場には激しい爆発を受けた人間達への救助を手助けするクロニクルの住民の他に、医療都市「メディテリア」からの救助ヘリが怪我人を運び、手当を急いでいた。

クレードへの伝心を行ったリリアが、大きな爆発の被害と、先程の不穏な人物の発見。

そして、目の前で起こった総長の戦闘の報告を終えての救命医療の人材投入だった。


リンダが見かけた男の正体がリンダ自身にも、セレーナにも重く伸し掛かっていた。

確かめようと、ケイレブの消え去った空から視線を落とした時にはその姿が見当たらず、リンダと視線を合わせて愕然としたのだった。

それよりも、目の前で私を見つめるこの男の存在が私には一番不穏だった。

「何故ケイレブ様を攻撃したのです?貴方は誰??・・・何故ここにいるのですか?」

翠色にも、赤く染まる強い光にも見える特別な血の証であるアレクサンドライトの瞳が自分を真正面に捉えていた。

薄い茶色の髪はさらりと流れ、白い頬はいつもよりも更に色味はなく儚い様相を際立たせていた。

強い猜疑心と、憎しみのような鋭い視線を自分へと向けられぶるりと体の芯から、嬉しい気持ちがこみ上げてくる。

自然と口元が緩む。

「貴方にそれを言われるのは心外です。それに、何故ここにいるかは貴方が一番ご存知なのではないですか?
先程、貴方が話をされていた女が私の存在を話したでしょう?」

セレーナが、ハッとしたようにアリストラドの方へ驚愕の目線を向けた。

そうだ。彼女は一瞬で全てを理解したようだった。

「貴方・・。まさか、メーガンを!!?」

「君は、よくメーガンを許せたね。
アスコットの命を狙い、同じ第3師団の仲間を裏切った、裏切り者であったのに。」

「貴方が・・貴方がそれを言うの?
彼女にそれをさせた癖に。
メーガンは貴方に愛されたくて裏切ったのでしょう。
それを知ってて、彼女を貴方は・・っ。」

憎しみと、失望の表情で自分を見らている愛しき者。

あの瞳に見つめられるだけでゾクゾクする。

私は、異常なくらい生きている実感を感じていた。

「メーガンは、生きる為に私に縋ってただけだろう。
優しくされて、それを簡単に愛だと勘違いしてしまった哀れな娘・・。
お前の身代わりに抱いていたのだ。
似てないし、身体つきは違うしそろそろ変えようと思っていたのだ。
・・・ふふ。
そもそも、駒に感情は必要ないだろう?」

リンダは息を飲んで、驚きながらボロボロ大粒の涙を流していた。

「・・・っ。あんたねぇ!!
言っていることが下衆すぎて、話もしたくない程だわ。
ケイレブ様に攻撃したのは何故なの?私が狙いなら彼は関係ないでしょう?」

「あいつには、以前から借りがあってね・・。
その回収みたいな物だな。ここで会うとは思わなかったがこれでケイレブが消えてくれるなら、それも良し・・・。」

私が質問に答え切らぬ内に、セレーナは手の平を翳して睨み付けこちらに向かって叫んだ。

不死鳥炎舞ふしちょうえんぶ!!!」

赤い炎が鳥の形を象り、生き物のように羽根を大きく羽ばたかせ私の元へ命を宿して向かって来た。


こんな技も使えるようになっているのか。

・・・しかし、私にはこの技は効かぬ。

手で払うような仕草でその攻撃を横へと反らし、遠くの宙で破裂する。

霧散したその炎の鳥は、私の手で呆気なく消え去ったのだった。

驚いているセレーナに私は微笑んだ。

リンダと、セレーナはゾッと底冷えのしたような絶望の表情で私を見ている。

嬉しい悲鳴と、愛しい者からの侮蔑の籠もった目線は非常に心地よい。

さて、ここで正体が晒されるとは思っていなかった。

しかし、ここで晒されたのは願っても見ない事。

本当の姿のままで、彼女と向きあう機会チャンスが出来たのだ。

「メーガンは、あの方と呼んだ人は貴方なんでしょう。
確かに桁違いの強さね・・。
私に恨みがあるのなら、周りをネチネチ甚振っていないで堂々と私を攻撃すればいいじゃない!!
どれだけの人が傷ついたと思っているの?」

薄く紅い小さな唇が震えている。

自分の存在が彼女を凍えさせていると思うと嬉しくて顔が笑ってしまうのだ。

「どれだけの人間が傷ついても良い。
君も、この世界も全て変える力を手に入れる・・。
私の名前はアリストラドだ。
我が愛しのセレーナ。」

リンダは驚き、セレーナの方を見やる。

「アリストラド・・・。貴方は誰?
私の何なの?!」

「君の運命の相手だ。
・・君が何時、何処に転生しても。」

彼女の絶望した瞳の色が絶望の蒼に染まる。

美しい私の運命の少女は、理解したらしい。

私の存在する意味を・・。

まだ、君が知らない事がある。君と私の長く続く縁については必ずあの男を出し抜き、私の物にしてからじっくりと教えてあげよう。

紅い瞳を喜びと、これからの愉しみで煌かせ彼女の側へと転移する。

驚いた彼女の美しい瞳を間近で見た私はぶるりと
心も、身体も喜びで震えた。

頭を思い切り押さえつけ、唇を思い切り貪るように口づけをする。

熱く、切なく体が震える。

愛しい者の温度と香りに涙が込み上げそうになった。

目を見開いたまま、衝撃と苦痛に見開いたアレキサンドライトの瞳に更に私の身体が疼いた。


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