転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

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シーグラルド公国編

魔術禁制の国。

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私は屋敷の庭のハンモックに揺られながらぼーっと空を仰いでいた。

「あー!!セレーナって何で死んだんだろうー?
そもそも、何で母親の生まれ変わりが娘に転生するんだろー!?
そんで、いつになったらここから抜け出せるのかなー。」

「・・ダダ漏れだぞ、セレーナ。
少しは隠すべきじゃないのか?
一応、ここは・・敵地だぞ?」

アリストラドと、エミールとシフォンはテラスで優雅に紅茶を飲みながら笑っていた。

「いっそ、ランドルよりも私と婚約を飛び越えて婚姻を結ばないか?
結婚契約書もこの国では必要ないから、教会へ行って誓うだけだぞ?」

美しい黒髪をサラりと揺らし、美しい紅い瞳で流し見る。

香り高い紅茶の匂いをスンと目を閉じて味わいながら、アリストラドはさらっといつものからかい文句を投げてくる。

・・・私は何を言われても受け取らない!!
何故なら、キリがないから。

ランドルと言い、クレードと言い。この人と言い・・。
王家の血筋が入った男性は人の話を聞かなくて困る!!


プンプン怒っていた私はハッとした・・。

「ちょっと!!今・・この国では結婚契約書いらないって言った?」

「・・・ああ。いらぬぞ。
なんだ・・誓いたいのか?」

「いや違くて!!
・・マグダリアや、カルドリアでは結婚契約書がいるでしょう?
ここは・・必要ないとすると。もしや・・・。」

「そうだ。君の母であり、前世の君の祖国。
シーグラルド公国だよ。」

「何だよ、セレーナ。今気づいたのー?」

シフォンの気軽なその言葉が憎い!!
普通、連れ去られた場所なんだから教えてくれなきゃここが何処かわかるまい。

そうか、私の母はここの公女・・。
私のルーツはここなのだ。

「あの。何故ここに私を連れてきたんですか?」

「何故って、本拠地がシーグラルドだからですけど?」
エミールはマカロンを頬張りながらサラッと答える。

「ええええ!!シーグラルドが本拠地なの?!なんで?」

「ここは魔術禁制の土地です。魔術が使える者は迫害を受けて来たのです。
アリストラド様は、迫害を受けた者をグロームスコーピオンの仲間に加え保護して来たのです。」

ちょっと意外な返答に驚いている私は話に聞きいっていた。

「特にこの地には、この世界の創造主の血を引いた特別な神巫女の出る地・・・。
公女の中には100年に1人の確立ぐらいで選ばれし、アレキサンドライトの王女が生まれます。
魔力は枯渇せぬ姫・・。
神に祈りを捧げ、豊穣を祈る神巫女です。」

「神巫女・・??何かしら・・。神様に仕えて祈りを捧げる神父や、シスターみたいな者?」

「そのレベルではないな。
世界を創造出来る力を持った特権階級の
姫巫女なのだ・・。
3王家などよりも本来であれば尊い存在だ!!
その3王家が命を狙い、抹殺してきた過去もある・・!!」

「な・・何故?豊穣の巫女を抹殺する理由なんて・・。」

「巫女は豊穣だけでなく、崩壊を祈る事も出来ます・・・。
貴方の先祖のアヴァ姫は崩壊を祈り1つだった世界は3つに割れて今の3国が出来上がったとされています。」

「王の力を遥かに凌ぐ、絶大な力を持つ姫をどの国も恐れるのです。」

私はゾッとした。
世界は以前は1つだった事にも驚いたが・・・。

「ねぇ。どうしてアヴァ姫は・・・。世界の崩壊を祈ったの?」

アリストラドは、翳った笑みで赤い瞳を強く見開く。

「騙されたのだ・・・。
姫は、己の想い人に利用されたのだと神話には残っている。
その姫の血筋を引くシーグラルドの姫は
力を5歳の時に試されるのだ。
セレーネは試され力を認められた後、マグダリアに囲われたのだ・・。」

セレーナは耳を疑う・・・。
力があったら、国が守るのではなく・・。
隣国へと逃げた。それは、何故だろう。


「私が・・婚約者である私が、セレーネを守りたくて囲ったのだ。
枯渇せぬ魔力を持ち、明らかに美しいアレキサンドライトの姫だった。」

紅茶のカップをソーサーに戻した、アリストラドは淡々と言葉を紡いでいく。

「彼女は、近隣諸国に狙われるか、その体を貪られ子を為す道具にしてカードとして
各国でその力を受け継ぐ子を持つ為に利用されるか・・・。
彼女は生まれた時から、そんな運命しか選べ無かったのだ・・・。」

切なそうにセレーネを思いながら、話をするアリストラドはいつもよりも、男らしくて・・。格好良く映る。

この人は、本当に母の事が・・。
いや、前世の私の事が好きだったのだと分かって胸が震えた。

「何故、彼女は4歳の君を残して、死なねばならなかったのかが今でも分からぬのだ。
カルドリアと、マグダリア王家の秘密として他の者は知らぬが・・。」

「私はてっきり、逆上したアリストラド様が母を殺したのかと思っておりました!
違ったのですねぇ・・。」

「相変わらず素直に疑うのだな。
どんなに愛していても、愛しているから殺すなど・・有り得ぬだろう。
本当に愛しているなら尚の事だ。」

ゴローンとハンモックに揺られながら、重い内容を淡々と話し続ける私たちに他の2人はポカーンとしている。

話せば話すほど・・この人が分からなくなる。
ジェレミーや、メーガンを殺した人なのに・・。

「貴方って意味分からない人ですよね?
悪い人ならブレずに堂々と、悪い人らしくしていて下さいよ!」

「何だ?
好きになってしまうから困るって事なのか?!
・・・止めなくていいぞ。素直になれ。」

「そうじゃないの。
自分でも、よく分からない。。
ジェレミーや、メーガンにした事も、魔術師団
にした事も許せないのに・・。
話せば話すほど・・貴方が分からなくなって苦しいです!!」

私は困惑した表情で目を閉じた。

アリストラドは椅子から立ち上がり、横の2人を静かに下がらせた。

ハンモックに寝転ぶ私の方へ歩み寄り、私を覗き込みながら切なそうに笑う。

「お前は、本当に馬鹿で鈍い女だな・・。
好きな女だからだ。お前にだけ優しくしたい。」

くすっと笑ったアリストラドの笑顔にドキンと胸が高鳴った。

王家の血筋を引く、ランドルと同じ黒髪、紅い瞳の美麗な顔・・・。

私はこの血筋に弱いのかしら・・・。

イカン!!逃げなきゃ・・。

防衛本能が働き、ガバッ!!と起き上がろうとすると、アリストラドに肩を掴まれがっしりとお姫様抱っこで抱きかかえられる。

「そろそろ抱いて欲しいんじゃないのか?
素直になっても良いんだぞ?」

「・・・お断り致します!!降ろしてくださーい!!・・犯罪・・んんっ。」

急に目の前が暗くなり、唇が深く塞がれて、暴れても解けない。

「好きだ。ずっと、その強い瞳が。いつの君も・・・。」

そう言ってもう一度熱く唇を合わせられて、涙が出そうになる。

私はランドルの婚約者なのに・・・。

どうして・・こんなにもこの人の言葉に揺さぶられるのだろう・・。

今すぐ助けに来て欲しかった。
私を揺さぶるこの存在が愛しくなってしまう前に・・。

 
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