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シーグラルド公国編
王立図書館の異変。
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「セレーナ・・。
私の変装時の姿が見破られて・ね・・。
王立図書館で奇襲にあったのだ・・。
かなりの人が被害に遭った。
転移する瞬間に何かが背中に当たったのだけは感じた・・。
でも、そうか、矢が刺さったのだな。
すまぬ・・。私が守ってやると言った矢先にこれじゃ・・。」
「ちょっと!アリストラド様、お願い!
しっかりして下さい・・。」
「エミリア来い!!
これは、魔術師団の魔弾だな。
この矢・・。抜けるか?!」
クレードは、エミリアに向かって大きな声で問う。
「確かに・・これは、我が魔術師団の団員の攻撃によっての負傷です。
魔術を実体化した・・魔力が籠った魔弾です。
まずは魔の浄化の魔法と、ナイフと火を・・そして止血の布を用意してください。
あとは、治癒魔法の最大の物があれば助かる筈です。」
エミリアは、セレーナの方を強い瞳で見つめた。
私はハッとした・・。
「炭素結晶癒!!あれなら・・。」
エミリアは、私に強く頷いた。
「それでは、始めます。」
慌てて用意された用具を確認したエミリアが静かに告げた。
ランドルは、私の手を強く掴んだ。
「頼む、アリストラドを助けてくれ・・。
我らには、まだ話さねばならぬ事が沢山ある!!」
視界の隅には、泣きそうになっているエミールやシフォンが見えた。
アスコットやクレードも険しい瞳で見つめていた。
エミリアは突き刺さった魔弾に手をかざし、浄化を行う為に魔力を込めた白い光を放つ。
ジュゥウウゥと、魔力の黒い煙のような靄が立ち昇っていく。
黒色が抜けた、銀色に透き通った矢をナイフで抉りながら抜いた。
「うう・・ううっ。」
ドバッと流れる血を清潔な布をきつく押さえ、
痛がり苦痛を必死で耐えるアリストラドに手を当てた。
「アリストラド様、頑張って下さい!!
こんな簡単に死んでは蘇った意味がないでしょう?
人生は、裏切られる事だけじゃないんですよ・・。
どうか、あなたは生きて・・幸せになってください!!」
私の言葉に不思議そうに、ランドルとクレードが目を見張った。
体が冷えていく・・。
翳した手から光が現れず焦る私は、落ち着かせるためにゆっくりと息を吐いた。
「お願い・・。発動して!!」
私は、手を握りありったけの想いを込めて念じた。
心で魔術は発動される。
ランドルに何度もそう励まされたのだ。
「炭素結合癒っ・・。」
金色に光り輝く明かりがぱあっと部屋を照らした。
皆が息を止めて、その光景を見やる。
アリストラドの体が金色の光に包まれた・・・。
体が繭のようなもので包まれた。
・・・パァアァアアン!!!
金の光は弾けて、アリストラドの体は床に静かに横たわっていた。
紅い目を私に向けて微笑んだ。
「炭素結合癒か・・・。
久しいな・・。相変わらず優しい光だ・な・。」
嬉しそうに、私の手を握り微笑んだ。
「お母さんも・・この術の発動が・・出来たの?」
「ああ・・。何度も世話になったよ。
彼女は癒しの魔術は誰にも負けなかった。
きっと、彼女の優しく・・強い心がどんな傷をも癒す事が出来たのだろうな・・。」
嬉しそうに笑んだ、アリストラドは静かに目を閉じた。
「・・・セレーナ。アリストラドは大丈夫か?!」
不安そうに覗き込むジェイデンに、私は頷いた。
エミリアも、しっかりと状態を確認しながら顔を上げた。
「多分、大丈夫だと思います。
だけど、可笑しいですね・・。
かなり肉体的にも、その精神的にも疲労が見られます。
炭素結合癒で癒せないのは
何か、精神的な部分の衝撃が加わっているのだと思います・・。
少し休ませてあげないと。
・・・後は回復を待ちましょう。」
皆が気が気じゃなかった様子で、波打ったような静寂が解かれる。
「炭素結合癒・・。初めて見た。」
第2師団、第3師団の者達も驚き目を見合わせていた。
「今・・王立図書館での襲撃と・・。
変装している身分が王立図書館勤めの役人だったのでしょうか?」
リンダが横でボソリと呟いた。
私はハッとして、目を閉じたままのアリストラドを見つめる。
「私の側で・・ずっと私を見て・・成長を待っていた・・。
そんな話を聞いた事があったわ。でも、それって相当身近な人間て事よね。」
私は、考えを巡らせある1つの事実へと辿り着く。
ランドルは、私の方を見つめ静かに告げた。
「そうだ・・。ケイレブは、アリストラドの変装の正体を見破っていたのだ。
以前、わざとアリストラドの術中に嵌まった振りをして、その魔術の痕跡のある屋敷へと逆転移の技をかけたのだ・・。」
「それって!?もしかして・・。」
ランドルは、セレーナの瞳をしっかりと見据え深く頷いた。
「ああ。君の義兄、カストロ=アルベルディア。
アルベルディア家の邸へと逆転移を遂げたと聞いた。
クリスは、マグダリアに居たし、カストロは本の収集の為に隣国マグダリアに出張していた事も分かっていた。
後は張って動向を探っていたらしいが・・・。」
「王立図書館にこんな時間に奇襲など、信じられぬ命令だな・・。
関係のない一般貴族や、他の雇人にも、怪我を負わせるかもしれないと、想定出来る筈だろ・・。」
クレードも不思議そうに、その話を聞く。
「しかも、一介の魔術師団が奇襲攻撃を王立図書館にしかけるなぞ。
正気の沙汰ではないな・・・。
一体この任務の指揮体系はどうなっているんだ・・。」
ランドルも苦しそうに眉根を寄せた。
その頃・・・。
燃え盛る王立図書館の前に1人の男が立っていた。
手には一冊の書が抱えられていた。
「さて・・。これで、あいつはあの場所へは行けぬだろうな。
聖域には近づけさせぬ・・。さぁ次は彼奴等のどれを狙うか・・。」
バケモノと呼ばれた男は、嬉しそうに笑み、
その炎が天に昇っていく様を満足気にいつまでも見つめていた。
そして、その炎の前に愕然としていた男がいた。
碧の瞳は悔し気に揺れていた。
クリス=アルベルディア。
彼は、そのバケモノを睨んだ。
姉との約束通り無謀な真似をせず、間近に迫った時を感じていた。
すぐにクレードの元へ向かうために、静かに踵を返したのだった。
私の変装時の姿が見破られて・ね・・。
王立図書館で奇襲にあったのだ・・。
かなりの人が被害に遭った。
転移する瞬間に何かが背中に当たったのだけは感じた・・。
でも、そうか、矢が刺さったのだな。
すまぬ・・。私が守ってやると言った矢先にこれじゃ・・。」
「ちょっと!アリストラド様、お願い!
しっかりして下さい・・。」
「エミリア来い!!
これは、魔術師団の魔弾だな。
この矢・・。抜けるか?!」
クレードは、エミリアに向かって大きな声で問う。
「確かに・・これは、我が魔術師団の団員の攻撃によっての負傷です。
魔術を実体化した・・魔力が籠った魔弾です。
まずは魔の浄化の魔法と、ナイフと火を・・そして止血の布を用意してください。
あとは、治癒魔法の最大の物があれば助かる筈です。」
エミリアは、セレーナの方を強い瞳で見つめた。
私はハッとした・・。
「炭素結晶癒!!あれなら・・。」
エミリアは、私に強く頷いた。
「それでは、始めます。」
慌てて用意された用具を確認したエミリアが静かに告げた。
ランドルは、私の手を強く掴んだ。
「頼む、アリストラドを助けてくれ・・。
我らには、まだ話さねばならぬ事が沢山ある!!」
視界の隅には、泣きそうになっているエミールやシフォンが見えた。
アスコットやクレードも険しい瞳で見つめていた。
エミリアは突き刺さった魔弾に手をかざし、浄化を行う為に魔力を込めた白い光を放つ。
ジュゥウウゥと、魔力の黒い煙のような靄が立ち昇っていく。
黒色が抜けた、銀色に透き通った矢をナイフで抉りながら抜いた。
「うう・・ううっ。」
ドバッと流れる血を清潔な布をきつく押さえ、
痛がり苦痛を必死で耐えるアリストラドに手を当てた。
「アリストラド様、頑張って下さい!!
こんな簡単に死んでは蘇った意味がないでしょう?
人生は、裏切られる事だけじゃないんですよ・・。
どうか、あなたは生きて・・幸せになってください!!」
私の言葉に不思議そうに、ランドルとクレードが目を見張った。
体が冷えていく・・。
翳した手から光が現れず焦る私は、落ち着かせるためにゆっくりと息を吐いた。
「お願い・・。発動して!!」
私は、手を握りありったけの想いを込めて念じた。
心で魔術は発動される。
ランドルに何度もそう励まされたのだ。
「炭素結合癒っ・・。」
金色に光り輝く明かりがぱあっと部屋を照らした。
皆が息を止めて、その光景を見やる。
アリストラドの体が金色の光に包まれた・・・。
体が繭のようなもので包まれた。
・・・パァアァアアン!!!
金の光は弾けて、アリストラドの体は床に静かに横たわっていた。
紅い目を私に向けて微笑んだ。
「炭素結合癒か・・・。
久しいな・・。相変わらず優しい光だ・な・。」
嬉しそうに、私の手を握り微笑んだ。
「お母さんも・・この術の発動が・・出来たの?」
「ああ・・。何度も世話になったよ。
彼女は癒しの魔術は誰にも負けなかった。
きっと、彼女の優しく・・強い心がどんな傷をも癒す事が出来たのだろうな・・。」
嬉しそうに笑んだ、アリストラドは静かに目を閉じた。
「・・・セレーナ。アリストラドは大丈夫か?!」
不安そうに覗き込むジェイデンに、私は頷いた。
エミリアも、しっかりと状態を確認しながら顔を上げた。
「多分、大丈夫だと思います。
だけど、可笑しいですね・・。
かなり肉体的にも、その精神的にも疲労が見られます。
炭素結合癒で癒せないのは
何か、精神的な部分の衝撃が加わっているのだと思います・・。
少し休ませてあげないと。
・・・後は回復を待ちましょう。」
皆が気が気じゃなかった様子で、波打ったような静寂が解かれる。
「炭素結合癒・・。初めて見た。」
第2師団、第3師団の者達も驚き目を見合わせていた。
「今・・王立図書館での襲撃と・・。
変装している身分が王立図書館勤めの役人だったのでしょうか?」
リンダが横でボソリと呟いた。
私はハッとして、目を閉じたままのアリストラドを見つめる。
「私の側で・・ずっと私を見て・・成長を待っていた・・。
そんな話を聞いた事があったわ。でも、それって相当身近な人間て事よね。」
私は、考えを巡らせある1つの事実へと辿り着く。
ランドルは、私の方を見つめ静かに告げた。
「そうだ・・。ケイレブは、アリストラドの変装の正体を見破っていたのだ。
以前、わざとアリストラドの術中に嵌まった振りをして、その魔術の痕跡のある屋敷へと逆転移の技をかけたのだ・・。」
「それって!?もしかして・・。」
ランドルは、セレーナの瞳をしっかりと見据え深く頷いた。
「ああ。君の義兄、カストロ=アルベルディア。
アルベルディア家の邸へと逆転移を遂げたと聞いた。
クリスは、マグダリアに居たし、カストロは本の収集の為に隣国マグダリアに出張していた事も分かっていた。
後は張って動向を探っていたらしいが・・・。」
「王立図書館にこんな時間に奇襲など、信じられぬ命令だな・・。
関係のない一般貴族や、他の雇人にも、怪我を負わせるかもしれないと、想定出来る筈だろ・・。」
クレードも不思議そうに、その話を聞く。
「しかも、一介の魔術師団が奇襲攻撃を王立図書館にしかけるなぞ。
正気の沙汰ではないな・・・。
一体この任務の指揮体系はどうなっているんだ・・。」
ランドルも苦しそうに眉根を寄せた。
その頃・・・。
燃え盛る王立図書館の前に1人の男が立っていた。
手には一冊の書が抱えられていた。
「さて・・。これで、あいつはあの場所へは行けぬだろうな。
聖域には近づけさせぬ・・。さぁ次は彼奴等のどれを狙うか・・。」
バケモノと呼ばれた男は、嬉しそうに笑み、
その炎が天に昇っていく様を満足気にいつまでも見つめていた。
そして、その炎の前に愕然としていた男がいた。
碧の瞳は悔し気に揺れていた。
クリス=アルベルディア。
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