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シーグラルド公国編
魔の正体。
しおりを挟む大きな4台の馬車がシーグラルド公国のセオルに着けられ、大急ぎで乗り込んだ。
ランドルの風の魔法で車輪が急速に回り、舗装されていないデコボコ道をも凄まじいスピードで駆け抜けていく。
馬車には、セレーナ、クリス、カルドリア王国の王子クレード、マグダリア王国の王子メイデルシーグラルド公国の公子ジェイデンが乗り込んでいた。
アリストラドは、シフォンと、エミールとアスコット、ランドルと乗り込み、第2師団、第3師団員がそれぞれ乗り込む馬車がシーグラント公国の荒野を駆け抜ける。
黒塗りの馬車に乗った、アスコットと、アリストラドの馬車ではエミールが宿でアスコットと話していた内容についてが展開されていた。
「総長・・。どうなっているのですか?グロームスコーピオンの命令系統が乗っ取られていると。
様々な所で、勝手に暗殺未遂や暗殺がさも貴方の命令かのように行われていた事についても・・。
先程、エミールから聞きました。
私の暗殺の指令は、貴方の発令した物では無かったのですか?」
「アスコット・・・。私も驚いた。
詳しい話を聞いて・・正直、動揺したのだが。
私には、お前を襲う動機はないのだ。
ケイレブと会った時には、全て私がやったように言っただけだ。
あの場所には、全てを仕組んだ人間がいる事に気づいていたからな・・。
そして残念だが、私も誰よりも早くに我がスコーピオンに狙われ驚いたのだよ。
カストロに変装しての通勤の際に、馬車にサソリの紋を付けた者が私を襲った時はあまりの出来事に
防御を忘れ、負傷してしまったからな。」
「その話も、お聞きしました。
グロームスコーピオンにまで、潜入し命令系統を掌握する力を持っているなんて・・・。」
「我が組織が、魔術師団に入り込んでいた事もあるからな。潜入するのは、あながち難しくもないのだ。
しかし、この組織の首領が私だと知った時のケイレブの困惑ぶりったら無かったな・・。
私のこれから行おうとしている事が神の冒涜と言っていたが、奴らの行おうとしている事こそが神よりも、国で暮らす生身の民への冒涜だ。
兵器を使って脅すか、セレーナを使って世界をコントロールするか・・。
私とセレーネはこの世界の破滅を祈ろうとしたのではない。
ただ、彼女と生きる為の場所が欲しかった。
エストラルドに憧れ、新天地を求め・・ただ共に生きたかっただけだ。」
「ケイレブは、私の友人でもありました。
明るく、兄貴肌の総長だったのに・・・。
一体何が起きているのか・・私には今見聞きする全てが、信じられぬのです。」
「私もだ。奴が何者で、何を知っているのか・・。
私の知っていたケイレブは何だったのかと。
王立図書館で襲撃された際に、ケイレブから、セレーネが自害したと聞いた時には、体中が憎しみと絶望で支配されそうになった。
その時に、魔の記憶が一斉に開いて恐ろしい感情で震えたのだ。
私の中にいる魔は彼女に、凄まじい執着を持っていた・・。
彼女に寄る者を排除し、独占したい想い。
誰がどうなっても構わぬ執着・・。それがアイツの本心だったのだ。」
「・・その魔とは何なのですか?
貴方が抑えられぬ物などあるのですか?!」
エミールは心配そうに、心から尊敬するアリストラドを見上げて問う。
「エミール、私は一度、ケイレブに殺されて死んだのだ・・・。
そこに、魔が魂として宿り私は生かされているのだろう。
しかし、この魔はこの世界の物ではない。
セレーナは、あれをホログラムと呼んでいたが・・姿を投影する立体装置を設計出来る科学が進んだ世界から来た物だった。」
エミールを見下ろし、落ち着いた笑顔でアリストラドは笑んだ。
シフォンも、エミールもショックを受けたような表情で見つめる。
「ホログラム!?・・そんな、有り得ない!
マグダリアの科学でも立体投影装置は出来てない筈だ・・。屈折率変化の計算や、そもそも原材料のレジン・・うわっ。」
ランドルは眉根を顰め、頭を押さえた。
アリストラドは、驚いた顔でランドルの腕を掴む。
「ランドル?どうした?!
・・・ホログラムをお前も知っているのか??」
強い口調で問われたランドルも、今の自分の言葉の意味を理解してないような状況に見えた。
「わ・・分かりません。
でも、最近、時々頭が割れるように痛むのです。
なんだか、・・大切な事を忘れているような・・・ぐっ・・。」
頭を両手で抑え悶えるランドルに、アスコットは
自分の席を退いて、横にする。
「ランドル君、痛みはすぐに取れるよ。
さあ、横になり休んで!水晶癒」
「すまん・・。アスコット、少し休むな。」
明るく灯る光に少し楽になった様子のランドルに、アスコットは安堵する。
目を瞑り横になったランドルを眺める、アリストラドの紅い瞳は一瞬鋭く眼光が煌く・・。
ザワザワと大きく、紅く揺れていた。
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