転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

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シーグラルド公国編

湖水地帯「アントラーダ」。

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馬車は1日で目的地の湖水地帯「アントラーダ」へと到着した。

ここは、シーグラルド公国と、カルドリア王国の国境近くの場所に位置する渓谷沿いに大小無数の湖が広がる。

美しいこの地には、様々な種類の動植物が存在していた。

「しかし・・。風の使役魔法は凄まじい速さでぶっ飛ばすんですね。
馬も軽く浮いてましたよ?!私も試してみようかな・・・。」

馬に手を翳して、念じてみる。

「セレーナ!!君の魔力は危なそうだから、辞めといた方がいいよ!
強い魔力持ちにはコントロール制御が難しいんだ。
・・あっ。それよりも、ランドル君がダウンして横になっているから見に行ってあげてね!」

アスコットに全力で止められたので、仕方なく辞退した。

バタンと馬車のドアを開け、横たわるランドルの側に行く。

「ランドル様?!まさか・・馬車酔いですか?!
自分の操縦みたいな物なのに、加減も出来ないなんて・・残念です。
でも、貴方のお陰で早く到着出来ましたよ!有難うございました。」

笑顔でランドルの顔を覗き込むと、いきなりガシっと頭を掴まれ引っ張られた。

「うわっ・・。何するんですかっ!!」

驚きに目を開けたまま、唇を奪われ真っ赤になる。

「・・・一言多いだろ。
セレーナ、素直に有難う。で、いいんだよ?」

極め付けに頬も口づけられた私は、先ほど使えなかった風の使役で病み上がりのランドルをぶっ飛ばした。

「あ、ランドル君元気になったみたいだね!
さ、セレーナ、メイデル殿下がお待ちだから行こうか!!」

アスコットがリンダと迎えに来たので、床に転がるランドルを放置し、意気揚々とメイデルの待つ場所へと向かった。

「皆、集まってくれ・・。ここがアントラーダだ。ここに古代神殿都市「エストラルド」が眠っていると言われている。」

幾重にも広がる、大きな湖を指してメイデルが高らかに宣言する。

私達はポカンとした表情で、その雄大な大自然の景観を見つめた。

「あの・・。この中って・・。えええっ?!どこですか?」

私は茫然と辺りを見渡しながら困惑の表情でメイデルを見る。

他の師団員や、王公子達も一様にキョロキョロと探している様子だが誰も見つけた様子は無かった。

「そうなんだよね・・。
アントラーダに在るって通説になってるから分かりやすくドーン!と現れているのかと思ったけど。
いやー、見事に全然見えないね・・・。
発掘調査どころじゃなく、都市が見当たらなくて
すぐ帰る羽目になっていたなぁ。」

あはははと笑うメイデルに、ジェイデンが近づいていく。

私は、何かを言おうと近づくジェイデンを見つめた。

「メイデル殿下、原書と伝聞によってこの国に伝わるシェーンブルグの神話があります。
神の化身がエストラルドへと近づいた時に、その道は現れる。
その化身の持つアレキサンドライトの瞳が、門扉に嵌る緑石に共鳴する時、古代神殿都市「エストラルド」は、眠りから目を覚ます。
こんな物だったと思います・・。」

「道??緑石・・・ですか。うーん。」

メイデルは考え込むように、唸っていた。

アリストラドは、その言葉を聞いて何かを探しに向かう。

私は、湖の淵までズンズン近づいて行く。「ここの水は綺麗ね・・。透明で美しいわ。」
そう言って、キラキラと輝く美しい湖水を掬った。

湖面はユラユラと光の屈折に色を変え、蒼にも碧にも色を変える。

湖の水面を覗き込むと、自分の顔が鏡面のように映し出される。

その水に私のアレキサンドライトの瞳が揺らめき映し出された瞬間だった・・・。

・・ズズズン!ズズ ズズズズ・・・!!!!!

さっきまでの凪いだ水面が激しく波立ち始める。

「な・・なに!?・・地震??湖に渦がっ!!!」

私はグラグラ揺れる足元に、覚束なくなりフラフラと足を取られ転びそうになる。

「大丈夫か?セレーナ。私に掴まれ。」

ランドルが私の腰を抱きかかえ、しっかり支えた。

「・・有難うございます。
なんか・・、湖の底が渦を巻いて割れていくのですけど!?
どうなっているんでしょう?」

「もしや、古代都市「エストラルド」は湖の底にずっと沈んでいたのか・・。」

不安そうな私の体を力強い腕が、ぎゅうっと抱きしめる。

少しだけ、その体温に緊張が解れる。

「どちらにしろ・・。もうすぐ分かりますね。」

「ああ。きっと姿を現すであろう。
眠る古代神殿都市「エストラルド」を待とう。」

ザザザザ・・・・。ザザザザ・・・。

湖からは、大きな大きな蒼い発光の球体がゆっくりと水面の上へと上がって行く。

大きさは、広大な湖の形をそのまま持ち上げたような広さの球体から徐々に中が透けて見えてく・・。

島のような岩肌と白いレンガ造りのような膨大な高さの白亜の塔と、砲台を数十基備えた城塞でその岩肌がぐるりと覆われた城塞都市。

その城塞都市は、湖からの浮上を続け、空へ空へと浮かぶ島のような全景を現した。

あのマグダリアの王城以上の大きさと広さが伺える、圧巻の大きさと迫力だった。

少しずつ薄く光る透明な帯のような道がこちらへと伸びてくる。

「この湖水地帯に眠っている、古代神殿都市「エストラルド」が真の姿を現そうとしているのだ・・。君の、神巫女の戻りを喜んで出迎えるために。」

ランドルの横には、一冊の本を抱えたアリストラドが立っていた。

「これは、カルドリアの王立図書館にあった「クレアルス神話」の原本の本物だ。すり替えておいて良かったな・・。」

「すり替えてたんだ!!すごいよ、アリストラド!!魔術師団の手には落ちて無かったんだね。」

嬉しそうに、ジェイデンと、クレードが目を合わせて笑った。

「・・本物の原書!!?僕も、見たい!!!」

キラキラと輝く瞳のメイデルも、こちらへと向かい走って来る。

「ああ。誰かがこの神話を必要とする時は、「エストラルド」へと辿り着こうとする
者が現れると言う事だからな。平和な用途は望めぬだろう。
さぁ、先ほどジェイデンが唱えた部分が書かれたページだ。」

優しい笑顔で、私にクレアルス神話を開いて微笑むアリストラドに感謝し、そのページを読み進めようとした時だった。


光炎爆撃こうえんばく!!!」

強い炎の玉がこちらに向かって撃ち込まれた。

とっさに、リンダが私の前に走り込み、迎撃した。

「・・っ光盾コウジュン!!」

守りを固めながら、振り向くと岸壁の上には、見慣れた制服に身を包む数人の男女が見えた。

技を放とうと構えた数人の魔術師団員が、立っている。

黒いマントを翻した、魔術師団員は次々と攻撃を向けて術を発動する。

その後ろからは、魔剣を構えた数人の師団員もこちらに向けて駆け抜けて来る。

「セレーナ!!お前は、早く道の先にある門扉の緑石に瞳を翳せ!!ランドル、セレーナは任せた。」

クレードと、アリストラドは敵を引き付けようと前へ出る。

「分かった!!あとは頼む!」

セレーナを掴んで走り出すランドルに望みを託す。

アリストラドは、剣を抜き向かう敵に向かいニヤリとほほ笑む。

「この程度の雑魚を寄越すとは・・。ケイレブも舐めた者だな。」

一瞬で、敵の技を打ち返して、バタバタと倒しながら進む。



「・・・・っ!・・あああああぁああっ!!!」

シフォンが後ろで吹き飛ばされたのを確認したリンダは驚き、震える。

見上げた敵の姿に驚愕する。

「え??なんで・・。この人達目が・開いていない・・?どうなってるの・・。」

真っ青になったリンダは、その場で身動きが出来なかった・・。

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