転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

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シーグラルド公国編

悪夢の攻撃。

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バシュッ!!!バシュッ!!!

土盛連打どせいれんだ

「・・っハッ!!えいっ。円空風激エンクウゲキ!!」

円盤のような疾風で敵を捉え、遠くへと吹き飛ばしながら走る。

湿原の上で2名の魔術師団員に囲まれたリンダは、額に汗を浮かべ眼鏡の位置を直して向き合った。

「何で・・。この人達から生気も感じられない。
・・・眠っているようね!!」

シフォンに、「金剛癒こんごうち」の光を放ち回復させたエミールが、シフォンを一歩後ろに下げリンダの前に立つ。

「リンダ・・!!大丈夫か?!」

「・・エミール・・。この人達何か変よ。瞳が・・。」

「ああ。しかも、力が異常だな!体から感じる魔力と技とが乖離してる・・。」

瞳は閉じたまま、ニヤリと笑った敵はグラリと体を揺らしエミールとリンダに向き合う。

「・・・闇音眠深ナイトメア!!」

・・・ズン!!!地面が揺れ、エミールと、リンダの体がふわりと持ち上がり真っ黒な暗闇が体を包んでいく。

シフォンが真っ青になり、その様子を見る。

「えっ、なに・・この技・・・。」

呆然と、黒い闇に飲まれて瞳は閉じられ浮き上がる2人を見つめ立ち尽くした・・。


リンダは、夢の中に落ちて行く。

何もない白い空間が広がっていた。

「あれ・・。私さっきまで・・・。」

「リンダ!!おい、こっちこいよ!!今、メーガンが第1師団といい感じで戦っているぜ。」

「みんなで健闘を称えてお疲れ会でも、どうかな?僕がいない方が気軽ながら遠慮するけどね。」

死んだ筈のジェレミーと、アスコットが笑い合っていた。

メーガン・・。メーガンも・・もう居ない筈。

「貴方は、いつも2回戦よりは先に進めないわね?!そんなんで第3師団員として優秀な戦闘員になれると思っているの?足手まといだわ!!」

勝ち上がってきた様子のメーガンはリンダを睨む。

「そうね・・。私いつもすぐに負けてばかり。悪いと思ってたわ・・。」

「リンダは、2種類しか使役がないから仕方ないじゃない!!私みたいに4つの使役が
あるような人間とは・・違うもの!!」

「・・・セレーナ。そうね・・入ったばかりの貴方にも、私は全然叶わないわ。
貴方は4つの使役がある。しかも、魔力の差も歴然としている。
同じ初心者でも、私と貴方は全然違う・・。」

「2つの使役じゃ、高が知れてる。合体魔法の数では、いつになったって私達に追いつけっこないわ。」

「同じ魔術師団で戦うのも、今だけね・・。」

「ここはエリートしか入れないんだよ?
このままだと一介の魔術師にすぐに落ちてしまう・・。
強くならねば!!
大丈夫だ・・。お前でも強くなれる。
自分の中の怒りや、恐れ、不安や、自分の苦しみを増幅させ、攻撃力を高めた魔法を生むのだ!!」

「攻撃・・。怒りを・・。そんな、私は・・。」

信じられない表情で、仲間を見るリンダの瞳からは熱い涙が流れていた。

「このまま、弱いままでいいのか?セレーナや、団長のように強くなりたくないの!?」

「メーガン、止めてよ!!貴方まで・・。
それに貴方死んだはずなのに・・何故っ。」

苦しそうに、責め立てられているリンダは眼鏡の奥の瞳を潤ませて仲間を見回した。

これが私の仲間だった?

優しく、詰所で魔術の鍛錬を重ね、いつも優しく微笑み励ます仲間・・。

私の居場所だった・・あの温かい家のような場所はこんな息苦しく、私を責め立て罵る者たちだった?

自分の中にある劣等感は、いつも自分と共にあった物だった。

セレーナや、第3師団の仲間の強さがいつも羨ましかった。

だけど、私は私だと・・・団長に励まされた事があった。

仲間達は、いつも私を応援し、一緒に研磨を続けて来たのだ。

自分のペースで、私しか使えぬ技を大切に磨く。

少しづつ、強くなって来た。

それでも、私の魔力を信じて導いてくれる師と、信じてくれた仲間がいた。

「・・・悪夢ナイトメアね。成程・・・。
自分の中にある、恐れや不安・・。劣等感に飲まれたら、本当の私の魔法なんて・・強さなんて得られないわよ!!
こんな世界、私の今まで居た場所じゃないわ!!
消えて!」

リンダ=ラクシャータは、メガネの奥の茶色の瞳をカッと見開いた。

胸の奥が熱くなる・・。

白い闇が、真っ黒な世界に変わり足元すら見えない暗闇が広がってもリンダは怖くなかった。

「・・・・闇を切り裂け!光空切闇コウクウセツアン!!!」

ぱあああぁぁあぁああ!!!

「え?私・・今、・・光の使役が使えた・・!?」

初めて、胸に光の使役が宿った瞬間だったのだ。

「心が成長すると魔法も成長する・・。
リンダは可能性の塊だよ!君は何にでもなれる。」

以前、アスコットが言った言葉が胸を過った。

瞳から涙を流し、目を瞑った。

闇の中で眩い光が放たれた。

一面に広がる白は美しく光り輝き・・元いた湿原へと戻ったのだった。


トン。

足が原っぱに着く。

周りを見回すと、アリストラドがシフォンや私の側で、圧倒的な力を見せ放った魔法で次々に敵を凍らせ身動きを封じていた。

エミールも目を見開き目の前の敵へと技を構えていた。

シフォンが、嬉しそうに笑って抱き着いて来た。

「これが・・・神具の力・・?嫌な気持ちを引き出す・・。悪夢だった。」

ポソリと呟いた私に、アリストラドが笑う。

「そうだ!負の感情を増幅させ、闇へと落とす・・。
魔術師団員達は操られているようだがな。
しかし、それすらも己の弱さに負けた・・者達であると言うことだ!!」

美しい紅い瞳は、敵を睨み付け目の前の敵を呆気なく吹っ飛ばす。

エミールも苦しそうな表情で、敵へと技を仕掛けていた。

リンダは、ぎゅっと強く手を握り・・自らの中に3つめの温かい光を感じて顔を上げた。


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