転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

文字の大きさ
59 / 75
古代神殿都市「エストラルド」

決死のクリス。

しおりを挟む
ガシャン・・・!!!

黒いロッド目がけたクリスは、ケイレブの持っていたロッドを掴んだまま地面へと崩れた。

ケイレブは、蒼い瞳を見開き・・怒りを露わにした。

ランドルも、クリスを助けにケイレブの元へと走る。

そこに、ランドルが率いてた第1師団が現れ攻撃が始まった。

「なにっ・・お前達まで・・!!
何故ケイレブなどに操られているのだっ。」

攻撃を重ねる昔の部下達を苦しそうな瞳で見る。

そこへアリストラドが、加勢に入り身動きを取れないように氷結魔法で封じていく。

魔術師団の仲間達にも次々と、第4、第5師団の攻撃が降り注ぐ。

倒しても、開かぬ瞳で何度も起き上がり、攻撃を続けて来る師団員に対してはその動きを封ずる魔法で凌ぐ事しか出来ない。

私も、クリスへと一歩及ばず、魔術師団に雷の攻撃を受け阻まれる。

「クリス・・・!!戻って、ケイレブは危ないの!!」

ロッドを握りしめ、ケイレブを見上げたクリスは、ケイレブの方を見つめて苦しそうな声音で吐き捨てた。

「姉さん、力の差は分かってるよ!!
でも、僕はいつかこの人と戦う為に魔術師団に入ったんだ。
知らない車椅子の男が父を訪ねて来たあの日・・・姉さんはこいつらに殺されたんだ!」

クリスが緑の瞳を強め、ケイレブの蒼を威嚇する。

その言葉を聞いたケイレブは嘲るような笑みを浮かべてクリスを見下ろした。

「ふははは。なんだ・・お前。あの現場を黙って見ていたのか・・?
・・・助けられぬとは、情けない腑抜けの弟よ!!」

風火炎舞調ふうかえんぶ!!!」

「笑止!!」

片手で、その技を投げるように宙へ放る。

空中で飛散したその技は砕け散りキラキラと輝いた。

「・・・死ね。」

クリスの頭を目がけて、ケイレブが手を翳し身構えた。

「・・・クリス!!お願い、逃げてーーー!!!」

私は金切声を上げながら、敵の攻撃を撃退した。

私と同じ、緑の瞳は目いっぱい開かれ胸に「アロンダイク」のロッドをぎゅうっと強く握りしめた。

ケイレブの手先から閃光のような光がクリス目がけて広がる。

駆けつけようと敵と戦いながら駆ける皆が、驚きに目を見張った。

・・・・ドウォオオオン・・・!!!!

大きな爆発と共にクリスが宙へと吹っ飛ぶ。

私は、目を見開きスローモーションのようにクリスの残像を口を開けたまま呆然と見つめていた。

黒いマントが破れ、私と同じ薄い茶色の髪が舞う。

ドサリと・・少し重い音を立て、地上へ落ちた。

シュウウウ・・。と煙の立ち上る地面にカラン・・と、「アロンダイク」のロッドが地面へと転がった。

ボロボロのマントが瞳に映った。

「クリス・・。クリス・・・・。」

地面に横たわるクリスへと私はふらふら歩き、気づくとポロポロと涙が零れていた。

「クリス!!おいクリス・・・!!
おいっ!なんでこんな事に・・。」

いつも側にいたクレードが、急いでクリスへと駆け寄った。
その瞳には・・涙を湛えていた。

私は、真っ黒になった体を抱き寄せる。


馬鹿だ・・!!
なんで、あんな無茶をするの!?

ケイレブは魔力が桁違いに強い相手なのに・・。

「馬鹿ね・・。
負けるに決まってるじゃない。だって魔術師団の総長だよ?
入ったばかりの新米のクリスじゃ・・勝てない・・でしょう・・。」

頭を支え、自分に向くように体を抱き上げると薄く瞳が開き、緑の色が小刻みに揺れて私の緑を映し出した。

「・・姉さん。でも・・、僕はそれでも戦いたかった・・。
貴方を助けられなかった自分をずっと、悔いてきたんだ・・・。
あの時、姉さんを助けられずただ見ていた自分を許せなくてこうして、あいつと向き合い、負けたとしても。・・・やっと僕は自分が許せ・・る・・。」

「そんな・・。クリス・・。
私はいいの・・に。死んじゃ駄目よ!!!」

ポロポロ止まらぬ涙が溢れ、クリスの顔が見えなくなる。

握られた手はズルリと私の手から落ちそのまま、力なく地面へと落ちた・・。

クリスの緑の瞳は静かに閉じられた。

皆、戦闘が止まりこちらを驚愕の表情で見つめていた。

理解が出来ない・・。

昨日まで微笑んでいたクリスが動かなくなったことに・・。

「・・・炭素結合癒ロンズデーライト!!!」

私の手からポウッと光が灯り、クリスの体を照らす・・。

全身に広がる前にすぐにその灯が消えた。

「なんで・・?発動してよ・・。炭素結合癒!!ロンズデーライト・・炭素結合癒ロンズデーライト!!」

私は、何度も目を瞑ったクリスに向けて手を翳し呪文を唱える。

けれど、すぐにその光は萎んでは消え去ってしまう。

「・・・セレーナ。もう、止めろ。」

ランドルが、私の腕を掴んで制止しようとする。

「どうして!?・・なんでクリスが死ななきゃならないの?嫌よ!なんで殺したの?」

私はケイレブを睨み付けて、立ち上がる。

リンダやアスコット、アリストラドも私の側へ近づいて来る。

ケイレブは、うっとおしそうに見下ろす。

「そいつが、私に絡んで来たからどかしただけだろう?
・・セレーナ、お前を見殺しにした弟だろう。
こうやって死ねて・・。
そいつも本望だったんじゃないのか?」

その言葉に私は、怒りに目を見開いた。

「なんですって!!ケイレブ=アクスボルト。
貴方だけは許せない・・。善悪の区別もつかず、人を人とも思わぬ
化け物!!私は、貴方を絶対倒す。」

クリスと一緒に地面へと転がった「アロンダイク」を拾い上げ強く握りしめる。

鍵鉾のロッドはその瞬間にその姿を変形していく。

黒いロッドは、シルバーの光り輝くロッドへ。

そして鍵の持ち手のブレードに嵌められた球は、黒色から青色へと色味を変色させる。

「・・・神具の覚醒か。面白い、私を倒してみろ・・・。」

ケイレブは、私を見つめその青い瞳を嬉しそうに煌かせる。

「アロンダイク」の闇から解かれた魔術団員達は一同にその場へとドサリと倒れ。

この場所には、ケイレブの味方は誰もいない状態になっていたのに・・。

何故か彼は、余裕の笑みで私たちを見つめていた。


しおりを挟む
感想 4

あなたにおすすめの小説

出来損ない貴族の三男は、謎スキル【サブスク】で世界最強へと成り上がる〜今日も僕は、無能を演じながら能力を徴収する〜

シマセイ
ファンタジー
実力至上主義の貴族家に転生したものの、何の才能も持たない三男のルキウスは、「出来損ない」として優秀な兄たちから虐げられる日々を送っていた。 起死回生を願った五歳の「スキルの儀」で彼が授かったのは、【サブスクリプション】という誰も聞いたことのない謎のスキル。 その結果、彼の立場はさらに悪化。完全な「クズ」の烙印を押され、家族から存在しない者として扱われるようになってしまう。 絶望の淵で彼に寄り添うのは、心優しき専属メイドただ一人。 役立たずと蔑まれたこの謎のスキルが、やがて少年の運命を、そして世界を静かに揺るがしていくことを、まだ誰も知らない。

バーンズ伯爵家の内政改革 ~10歳で目覚めた長男、前世知識で領地を最適化します

namisan
ファンタジー
バーンズ伯爵家の長男マイルズは、完璧な容姿と神童と噂される知性を持っていた。だが彼には、誰にも言えない秘密があった。――前世が日本の「医師」だったという記憶だ。 マイルズが10歳となった「洗礼式」の日。 その儀式の最中、領地で謎の疫病が発生したとの凶報が届く。 「呪いだ」「悪霊の仕業だ」と混乱する大人たち。 しかしマイルズだけは、元医師の知識から即座に「病」の正体と、放置すれば領地を崩壊させる「災害」であることを看破していた。 「父上、お待ちください。それは呪いではありませぬ。……対処法がわかります」 公衆衛生の確立を皮切りに、マイルズは領地に潜む様々な「病巣」――非効率な農業、停滞する経済、旧態依然としたインフラ――に気づいていく。 前世の知識を総動員し、10歳の少年が領地を豊かに変えていく。 これは、一人の転生貴族が挑む、本格・異世界領地改革(内政)ファンタジー。

企業再生のプロ、倒産寸前の貧乏伯爵に転生する 

namisan
ファンタジー
数々の倒産寸前の企業を立て直してきた敏腕コンサルタントの男は、過労の末に命を落とし、異世界で目を覚ます。  転生先は、帝国北部の辺境にあるアインハルト伯爵家の若き当主、アレク。  しかし、そこは「帝国の重荷」と蔑まれる、借金まみれで領民が飢える極貧領地だった。  凍える屋敷、迫りくる借金取り、絶望する家臣たち。  詰みかけた状況の中で、アレクは独自のユニーク魔法【構造解析(アナライズ)】に目覚める。  それは、物体の構造のみならず、組織の欠陥や魔法術式の不備さえも見抜き、再構築(クラフト)するチート能力だった。  「問題ない。この程度の赤字、前世の案件に比べれば可愛いものだ」  前世の経営知識と規格外の魔法で、アレクは領地の大改革に乗り出す。  痩せた土地を改良し、特産品を生み出し、隣国の経済さえも掌握していくアレク。  そんな彼の手腕に惹かれ、集まってくるのは一癖も二癖もある高貴な美女たち。 これは、底辺から這い上がった若き伯爵が、最強の布陣で自領を帝国一の都市へと発展させ、栄華を極める物語。

剣ぺろ伝説〜悪役貴族に転生してしまったが別にどうでもいい〜

みっちゃん
ファンタジー
俺こと「天城剣介」は22歳の日に交通事故で死んでしまった。 …しかし目を覚ますと、俺は知らない女性に抱っこされていた! 「元気に育ってねぇクロウ」 (…クロウ…ってまさか!?) そうここは自分がやっていた恋愛RPGゲーム 「ラグナロク•オリジン」と言う学園と世界を舞台にした超大型シナリオゲームだ そんな世界に転生して真っ先に気がついたのは"クロウ"と言う名前、そう彼こそ主人公の攻略対象の女性を付け狙う、ゲーム史上最も嫌われている悪役貴族、それが 「クロウ•チューリア」だ ありとあらゆる人々のヘイトを貯める行動をして最後には全てに裏切られてザマァをされ、辺境に捨てられて惨めな日々を送る羽目になる、そう言う運命なのだが、彼は思う 運命を変えて仕舞えば物語は大きく変わる "バタフライ効果"と言う事を思い出し彼は誓う 「ザマァされた後にのんびりスローライフを送ろう!」と! その為に彼がまず行うのはこのゲーム唯一の「バグ技」…"剣ぺろ"だ 剣ぺろと言う「バグ技」は "剣を舐めるとステータスのどれかが1上がるバグ"だ この物語は 剣ぺろバグを使い優雅なスローライフを目指そうと奮闘する悪役貴族の物語 (自分は学園編のみ登場してそこからは全く登場しない、ならそれ以降はのんびりと暮らせば良いんだ!) しかしこれがフラグになる事を彼はまだ知らない

第5皇子に転生した俺は前世の医学と知識や魔法を使い世界を変える。

黒ハット
ファンタジー
 前世は予防医学の専門の医者が飛行機事故で結婚したばかりの妻と亡くなり異世界の帝国の皇帝の5番目の子供に転生する。子供の生存率50%という文明の遅れた世界に転生した主人公が前世の知識と魔法を使い乱世の世界を戦いながら前世の奥さんと巡り合い世界を変えて行く。  

異世界転生~チート魔法でスローライフ

玲央
ファンタジー
【あらすじ⠀】都会で産まれ育ち、学生時代を過ごし 社会人になって早20年。 43歳になった主人公。趣味はアニメや漫画、スポーツ等 多岐に渡る。 その中でも最近嵌ってるのは「ソロキャンプ」 大型連休を利用して、 穴場スポットへやってきた! テントを建て、BBQコンロに テーブル等用意して……。 近くの川まで散歩しに来たら、 何やら動物か?の気配が…… 木の影からこっそり覗くとそこには…… キラキラと光注ぐように発光した 「え!オオカミ!」 3メートルはありそうな巨大なオオカミが!! 急いでテントまで戻ってくると 「え!ここどこだ??」 都会の生活に疲れた主人公が、 異世界へ転生して 冒険者になって 魔物を倒したり、現代知識で商売したり…… 。 恋愛は多分ありません。 基本スローライフを目指してます(笑) ※挿絵有りますが、自作です。 無断転載はしてません。 イラストは、あくまで私のイメージです ※当初恋愛無しで進めようと書いていましたが 少し趣向を変えて、 若干ですが恋愛有りになります。 ※カクヨム、なろうでも公開しています

転生貴族の領地経営〜現代日本の知識で異世界を豊かにする

ファンタジー
ローラシア王国の北のエルラント辺境伯家には天才的な少年、リーゼンしかしその少年は現代日本から転生してきた転生者だった。 リーゼンが洗礼をしたさい、圧倒的な量の加護やスキルが与えられた。その力を見込んだ父の辺境伯は12歳のリーゼンを辺境伯家の領地の北を治める代官とした。 これはそんなリーゼンが異世界の領地を経営し、豊かにしていく物語である。

真祖竜に転生したけど、怠け者の世界最強種とか性に合わないんで、人間のふりして旅に出ます

難波一
ファンタジー
"『第18回ファンタジー小説大賞【奨励賞】受賞!』" ブラック企業勤めのサラリーマン、橘隆也(たちばな・りゅうや)、28歳。 社畜生活に疲れ果て、ある日ついに階段から足を滑らせてあっさりゲームオーバー…… ……と思いきや、目覚めたらなんと、伝説の存在・“真祖竜”として異世界に転生していた!? ところがその竜社会、価値観がヤバすぎた。 「努力は未熟の証、夢は竜の尊厳を損なう」 「強者たるもの怠惰であれ」がスローガンの“七大怠惰戒律”を掲げる、まさかのぐうたら最強種族! 「何それ意味わかんない。強く生まれたからこそ、努力してもっと強くなるのが楽しいんじゃん。」 かくして、生まれながらにして世界最強クラスのポテンシャルを持つ幼竜・アルドラクスは、 竜社会の常識をぶっちぎりで踏み倒し、独学で魔法と技術を学び、人間の姿へと変身。 「世界を見たい。自分の力がどこまで通じるか、試してみたい——」 人間のふりをして旅に出た彼は、貴族の令嬢や竜の少女、巨大な犬といった仲間たちと出会い、 やがて“魔王”と呼ばれる世界級の脅威や、世界の秘密に巻き込まれていくことになる。 ——これは、“怠惰が美徳”な最強種族に生まれてしまった元社畜が、 「自分らしく、全力で生きる」ことを選んだ物語。 世界を知り、仲間と出会い、規格外の強さで冒険と成長を繰り広げる、 最強幼竜の“成り上がり×異端×ほのぼの冒険ファンタジー”開幕! ※小説家になろう様にも掲載しています。

処理中です...