転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

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古代神殿都市「エストラルド」

包囲されし都市。

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「下を見よ!!・・このエストラルドは包囲されているのに気づかぬのか?」

嬉しそうに笑うケイレブの言葉に、一同が驚く。

クレードが、慌てて城砦から下を見下ろした。

「・・・父上!!どうして?・・何故ここにいる・・。」

「クロニクル」の砲撃や、シェーンブルグの兵、カルドリアの兵がこちらを見上げて攻撃の準備を整えていた。

エストラルドの城門まで登って来ている兵の姿も沢山あった。

ジェイデンや、メイデルも、下の湿原の様子に驚き顔を顰めていた。

「何故だ・・。ジェーンブルグは中立なはず。我が父は・・ここまで愚かなのか?」

ジェイデンも理解が出来ないという表情で下を唖然をとした顔で見下ろした。

「当然のことだろう。
古代神殿都市が神話の通り蘇ったとすれば、今の王公国が揺らぐハズだ。
しかも、グロームスコーピオンの首領がこの都市に入っていると言えば・・。
3国の英断も息子である君達なら、どう判断するかは分かるだろう?」

ニヤリと不敵な笑みを浮かべたケイレブに私は寒気を覚えた。

「さあ、私が攻撃を開始しろと言えば、あいつらはこちらに砲撃を加える算段になっている。
魔科学の兵器を防衛する手段はあっても、兵も武器も数に勝るこちらの勝ちは考えずとも分かるだろう?」

そんな言葉と共に、マグダリア、カルドリア、シェーンブルグの兵がスタスタと武器を構え、神殿近くの広場へと押し寄せて来た。

各国の王子の姿に兵達は息を飲んだが、私たちへの銃撃を開始したのだった。

リンダやエミール、シフォンは魔術で兵を蹴散らして行く。

私はロッドを強く握りしめ、思いを巡らした。

近くには、ボロボロに倒れたクリスの姿があった。

私は悔しさに、唇を噛みしめた時だった。

隣にいたアリストラドがボソリと呟いた。

「セレーナ、ここにすでに入って来た兵は我々で何とか出来る・・。
但し、魔科学兵器での砲撃や攻撃に耐えうるかと言えば難しいのだ。」

私は、深く理解していたのでその言葉にグッと目を眇めた。

「そうですね・・。ここまでケイレブに用意周到に練られた計画が準備されていたなんて思いませんでした・・。」

「しかし、君が神具の覚醒をした事で、この都市は神巫女の帰還ですでに眠りから目覚めている。神殿へと急げ!!
神殿の奥にある君の瞳と同じアレキサンドライトを起動させてこの都市を元にいた空へ・・浮上させるのだ!!
この世界をどうするかは全てを知った上で・・君が決めるのだ。」

「神殿?神殿にこの都市の動力源が・・。」

「そうだ。神殿の時の広間・・。そこに、あの紋章がある。急げ!!ランドル・・。早くセレーナをそこへ。」

「・・分かった!!セレーナ、さっきアヴァが言っていた。神殿に神話の真実が分かると!急ごう。」

「アヴァが?分かったわ。私たちは、神話の真実を知るためにもここへ来たのよね。
・・すぐに神殿へ行きましょう!」

私は、ランドルと共に神殿へと走り出した。

それを見届けたアリストラドは、邪魔をしようと動くケイレブへと構えた。

ケイレブは、驚いた表情でアリストラドを見下ろす。

「お前は、まだ自分を保っているのか?」

「ああ、まだ・・。負ける訳にはいかぬからな・・。」

ケイレブへと、疾風を打ち込むアリストラドの額には汗が滲んでいた。

ひらりと交わしながら、雷撃を打ち込んだケイレブはニヤリと笑った。

「・・・我慢強いが、果たしてそれが、どこまで持つかだ!」


後ろでは、兵士に向き合う3王公子が睨みと威圧を重ねていた。

「クレード様、何故グロームスコーピオンと・・。祖国を裏切るのですか?」

王立騎士団の団長、カルロスがクレードに厳しい視線を向けていた。

「祖国を裏切るつもりはない!!
ケイレブに何を言われたか分からぬが私はエストラルドは、わが国に危害を加える事はしないのだ!!
何故、そんな話になるんだ・・。
ケイレブこそが裏切者なのに!」

カルロスは驚きの表情で、クレードを見つめた。

「王子・・。私は王の命令でこの都市へとやって来ました・・。
私には真実は分かりませぬし、王しかこの攻撃を止められません。」

「・・・そうだな。お前は王令しか聞けぬであろう。でも、私は今ここを離れる訳にはいかぬ。
セレーナと、ランドル・・。魔術師団の団員達を守るためにここに来たのだ。
すまぬ、カルロス!!父に私の言葉を伝えてくれ・・。攻撃を少しだけ待ってくれと!!」

クレードの真剣な表情に、カルロスは表情を崩した。

「クレード様・・しかし・・。」

「カルロス・・。あそこにクリスがいる・・。
あいつを頼んでもいいか?
ケイレブに殺されたのだ・・。」

カルロスは、つい数か月前までの部下クリス=アルベルディアの惨い亡骸を見て驚愕した。

後ろについていた、騎士団の団員も息を飲んでその亡骸の元へと足を運んだ。

「分かりました。・・・貴方がここにいる事を、そしてエストラルドは我が国に害をなすことがないと・・私から王へ、その旨を伝えて参ります!」

「ありがとう・・カルロス!!」

クレードは、幼い頃から剣術の師として尊敬してきたカルロスを見つめ嬉しそうにほほ笑んだ。

「クレード様・・。カルドリアは、将来貴方が背負っていく国です。
王には必ず伝えます!!どうか、無事でお戻り下さい!!」

「ああ、必ず戻る。クリスを頼んだ!」

クリスの亡骸をそっと抱きかかえたカルロスは苦しそうに決意の表情を浮かべ下にいる王の元へと急ぎ戻って行った。

クレードは、兵からの攻撃を受ける魔術師団員の元へと駆け抜けた。

その頃、アリストラドとケイレブは総長同士の激しい戦闘が続いていた。

ランドルと、セレーナが大神殿「ミスタリア」の中へと辿り着いた事を
確認し、「ミスタリア」の入り口を光の最高峰の防御魔術で封じたのだった。

「チッ・・。またやっかいな技を。」

腕を押さえたケイレブは、アリストラドを見た。

「神殿の中へは入らせぬ・・。セレーナは知るべきなのだ、あいつと、お前の正体を・・。」


「ほーう、そうか・・。それが狙いだったのか。
お前は、今はこの世界の崩壊を願っていなかったのだな。
全てに裏切られ、失って来たお前はこの世界を憎んでいただろう?
再び、アレキサンドライトが復活し、スコーピオンが彼女を狙いここへの
侵攻と世界の破壊を祈らせると踏んでいたぞ・・。あいつが。」

「確かに、セレーナに会うまではそう思っていた。だけど、思い出したのだ。
セレーネの思いを・・。
破壊も統一も望んでいなかった彼女はただ、安らかに自分らしく、生きる場所さえあればいいと言っていた。今はこの世界の行く末は神巫女であるセレーナが決めればいい。その決定に私は従う!」


「そうか・・。
さて、どうなるかな?アヴァのように怒りに飲み込まれる為には誰が死ねば彼女は壊れるか・・だ。」

ケイレブは、ゾクリとするような笑みを讃えた。
ハッとしたアリストラドは・・震える瞳でケイレブを見つめた。

「お前・・まさか・・。」

「私が、死んでも・・お前がいる。そして、お前が死んでも私がいる。」

体が冷たく凍えるような寒気をアリストラドは覚えていた。

その困惑の表情をケイレブは嬉しそうに青い瞳で捉えていた。

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