転生したらストーカーも転生したようなので、魔術師団に入ります。

館花陽月

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古代神殿都市「エストラルド」

目覚める「ティルダン」。

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遥か遠くに見えなくなったアリストラドの姿を確認したケイレブは、忌々し気にランドルとセレーナ達を睨み付けた。

「アリストラド・・。あいつ。
あいつの魔力であれば、ランドルとは互角か・・それ以上だったのに!!
殺し合いになって勝った男を私が殺す・・こちらの算段に狂いはないがな!」

悔し気にこちらに向かって唇を噛む。

「お前とアリストラドは・・覚悟が違うのではないか?
同じ者の魂が宿っていても、元々のアリストラドの心は強い。
狂った者に今世も乗っ取られ、突き動かされる程、愚かではないのだ!!」

ランドルは、紅い瞳を見開きケイレブに雷撃と、竜巻を合わせた合体魔法を放つ。

それを不愉快そうに、防御の技で受けたケイレブはつまらなさそうにランドルを見上げた。

意識を失ったままのセレーナに、アスコットとリンダは懸命に回復魔法をかけ続けていた。

「セレーナ、大丈夫??もう傷は治癒出来たと思うんだけど・・。
なんで目を覚まさないんだろう・・。」

「そうですね。魔力もかなり感じるのに・・。
彼女の心に何か起こっているのでしょうか?」

リンダはずり落ちる眼鏡を押さえながら、セレーナを心配そうに見つめていた。

暗雲の立ち込めていた空が、一気にその形を変えて黒い雲が消滅する。

ハッとするような澄み渡る青空が頭上にどんどん広がって行く。

「何・・?」

ケイレブが驚いて空を見上げた。

その時、エストラルドのもう遥か下に見える湖一体が白い光で輝き出した。

蒼い湖は、湖面が全て真っ白に色味を変えてそこの方から光輝いている。

ゴゴゴゴゴ・・・・!!!

エストラルドの地面も大きな揺れが走り出した。


先ほど、アリストラドが沈んだ湖の方から緑と赤、青の光がエストラルドに向かった一筋の光が差したのだった。


セレーナの横に置いてある「アロンダイク」は、黄金色の光を輝かせてその場で輝き出す。

「ああっ。アロンダイクが光出した・・。
急にどうなってるんだ!?」

「あっ・・団長!!セレーナが・・!!
セレーナ大丈夫!!?しっかりして。」

体を起こそうとすると、するりと体が浮き上がる。

先ほどまで閉じられていた瞼がゆっくりと開かれる。

目を覚ましたセレーナは、緑の瞳は青、赤、様々な宝石を合わせたような。

まさにアレクサンドライトの輝きを放ちながら、アロンダイクを握りしめて立ち上がる。

栗色の長い髪はふわりと広がって、魔術師団のスカートを閃かせ全身から強い光に包まれて宙へと浮いた状態で起き上がったのだった。

「団長!!私は・・もう大丈夫です。
それよりも・・。
ティルダンと、が目覚めます!!」

湖面から刺した、光に連れられ2人の人間がエストラルド上空へと激しい水飛沫と共に現れた。

1人は目を閉じた状態のアリストラドが宙に体から光を放ちながら仰向けの姿勢で浮いていた。

もう1人は・・・。


「なんで・・!!そんな!?セレーネ・・君は生きていたのか?こんな嬉しいことって!!」

さっきまでの表情とは別人のように、蒼い瞳を嬉しそうに輝かせたケイレブはセレーネの姿を確認して、驚いていた。

茶色の毛先はクルリと巻き上がり、薄いモスグリーンのドレスを身に纏った女性。

時が止まったような変わらぬ美貌のセレーネ=アルベルディアが現れたのだった。

ティルダンを胸に抱えて、心中した彼女が、美しい大きな緑色の瞳を煌かせ立っていた。


「久しぶりね、ケイレブ・・・。
・・・私は、二度と会いたくなかったわ。」

美しい瞳で全く笑ってない表情で一瞥を向けた。

その言葉に、衝撃を受けた表情のケイレブは、セレーネを一瞬・・悲しそうに見つめた。

「セレーナ、このティルダンを!!
鍵鉾、アロンダイクと合わせ神具「アロンダイト」であの悪しき者の魂を浄化し、この世から消し去って・・!!
アヴァからの・・全ての忌々しい者の悪しき転生を終わらせるのよ!!」

「・・はい!!分かりました。」

夢のような世界で先ほどまで、会話をしていたセレーネからの言葉に、私は全てを理解していた。

ティルダンに包まれるように赤石に包まれ、湖の底で眠るセレーネを起こしたのは彼女の愛したアリストラドの魂だったのかもしれない。

力強い瞳で、セレーネを見つめ、ティルダンをしっかりと受け取る。

アロンダイクと、テイルダンが一体化していく。

黄金色の光に包まれながら長い斧の剣先が両刃に備わった鍵鉾へと形を変え始める・・・。

「何故だ・・。どうしてアヴァも、セレーネも・・お前も。私を拒み続けるのだ。
誰よりも、お前を愛し、必要とし・・・守りたいと思うのに!!!」

「まだ分からぬのか・・・!!」

ランドルは、飽きれた表情でケイレブを見る。

私は、分からず屋の元上司を睨み付けて最後の説教を繰り出した。

「ケイレブ様!守り方も、愛し方も常に一方通行なままでは駄目ですよ。
相手の幸せを、一緒に喜び・・お互いを存在や気持ちを敬う存在でなければ思い合う関係性など出来ないと思います!!
邪魔だと、他の者を消し去って2人の世界に閉じ込めるのは愛ではありません。」

「じゃあ、この気持ちの正体は何だと言うんだ。
君に会うために死に、また生まれ。君を手に入れるために手を汚して生き続けてきた・・。
この人生の意味は何だとっ・・!!」


「何百年も独りよがりな気持ちを押し付けられて、こちらもいい迷惑です!!
今まで独りよがりで傷つけて亡くなった者達を思うと貴方への感情など胸の痛みと悲しみしか感じない。
私は貴方が・・大嫌いです!!」

私は、漲る力を赤と青い石が両刃へと嵌め込まれて完全体として輝いている「アロンダイト」に託し、ケイレブへと渾身の力を込めて放つ。

呆然とした表情で・・私をただ見上げるケイレブに大きな光の閃光が向かっていく・・・。

「そんな・・アヴァ姫は・・。セレーネは・・。だって運命の女性だった・・はず・・。」

「運命の女性は、出会って時間をかけて育んだ先に分かるのです・・。
どうか、いつか貴方にそんな出会いが待っている事を願います。
・・・私たち以外の魂との出会いを!!!」

「・・・さようなら、ケイレブ。・・の愛は偽物。
私は、紛い物を掴む気などさらさら無いの。」

最後はセレーネが、悲しそうにケイレブと見つめ合ったのだった・・。

大きな光に飲まれていくケイレブの絶望したような青い瞳。

それが、苦しそうに揺れ・・何かを呟いた。

私は、最後の瞬間、彼の頬に伝う涙を見た気がしたのだった。


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