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14話 ミカの頭はおかしい
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土間にかまど、膝丈ほどの小上がりの先に六畳の畳の部屋が広がる。古き日本家屋といった部屋。
天井には部屋全体を照らせるだけの明かりを放つ電球が一つ。コンセントや電気の元はどこからなんて野暮な問いはあまりに無粋である。
明かりが欲しけりゃ灯り、水が飲みたきゃ湧き出るのが神の国の習わしである。
大の大人が三人も集まれば肩身の狭さを感じる部屋で、不機嫌に眉を寄せて胡坐に頬杖で畳の上に座るのはカラスである。
「カーッ、納得がいかないよ…」
「ミカさんは話しが聞きたいと言うから俺が招いたんだ」
「ボクだって場をわきまえるよ。あんな林に一人置いてく事には賛成はしないさ…でも、今言いたいのはそういう話じゃないんだよ」
カラスの放つ不機嫌オーラの理由が分からず、首を捻る壱。その上からミカの声が降ってくる。
「おっとっと…お二人とも私のことで、およよ…争わないでください、。わわっ…」
「納得がいかないというかどう考えてもおかしいだろ!」
カーッと立ち上がりミカを指差すカラス。その指先は天井近くを指している。
10枚ほどの座布団を重ねた上で、必死にバランスを取るミカが居た。
「なにがおかしいんだカラスよ?初めて女性を家に招いたのだから、丁重に扱いくつろいで貰ってなにが悪いというんだ!?」
「ボクの使ってた座布団まで取り上げて、なんでこんなバランス耐久ゲームみたいなことしてんだよっ!」
「かかっ…カラスさん、怒らないでください。おととと…わ、私としてはこの状態は、それはそれで愉快!」
グラグラ揺れる座布団の上で、右へ左へ体重を動かしつつ器用に座るミカ。
「インナーマッスルが鍛えれらて、横っ腹とか超痛いです!わわわわわっ!」
「楽しんでもらえてるなら、俺も嬉しいなぁ~」
「この空間はバカしか居ないのカーッ!?」
―――カラスのお怒りに触れて分配された座布団に座り、三人は改めて向き合った。それでもミカには五段ほど与えられて、見上げる形にはなっていた。
「まぁ、いいけどさ…。それで壱に聞きたいことって何なんだよ?」
「あ、はい。聞きたい事があるのは山々なのですが…」
「なんだ、またいつものもったいぶりカーッ?」
「そんないつものなんて…照れる」
「褒めてないよ!」
「話を聞くにしても…ンッ…ンッ…」
ミカは言葉を切り、手を口元に当ててワザとらしく咳をする。
「喉のすべりが悪いと聞く事も聞けないというか…」
「なにを聞く側の癖に飲み物を催促してんだクソがぁぁっ!」
ちらちら横目で要求を促すミカに「確かに話すなら飲み物ほしいよね!」とそそくさ仕度に向かう壱。
「お前…どんだけずうずうしいんだよ…?」
「…実は、こうやって高い位置に座っているとまるで自分が偉くなったように感じてしまいまして…。それならいっそ調子に乗ろうと思いまして、私は今調子に乗ってます!」
「どんな宣言だよ!」
「ところで壱さんがノコノコって呼ばれてましたけど、どういう理由なのですか?それが聞きたくて私は襲われるかもという恐怖と戦って来たのですよ」
「え、急に本題!?」
ミカのハンドルの切り方の斬新さに戸惑うカラス。それゆえにポロリとこぼれた。
「か…神隠しの子の子供…」
「神隠しの子…の子どもですか?神隠しの……のこ、のこ?」
頭のおかしさに反比例してるのか、それともグルグル回るからこそおかしいのか…。ミカの脳みそはいつもいつでも冴え渡っていた。
「あら、ノコノコですねぇ」
天井には部屋全体を照らせるだけの明かりを放つ電球が一つ。コンセントや電気の元はどこからなんて野暮な問いはあまりに無粋である。
明かりが欲しけりゃ灯り、水が飲みたきゃ湧き出るのが神の国の習わしである。
大の大人が三人も集まれば肩身の狭さを感じる部屋で、不機嫌に眉を寄せて胡坐に頬杖で畳の上に座るのはカラスである。
「カーッ、納得がいかないよ…」
「ミカさんは話しが聞きたいと言うから俺が招いたんだ」
「ボクだって場をわきまえるよ。あんな林に一人置いてく事には賛成はしないさ…でも、今言いたいのはそういう話じゃないんだよ」
カラスの放つ不機嫌オーラの理由が分からず、首を捻る壱。その上からミカの声が降ってくる。
「おっとっと…お二人とも私のことで、およよ…争わないでください、。わわっ…」
「納得がいかないというかどう考えてもおかしいだろ!」
カーッと立ち上がりミカを指差すカラス。その指先は天井近くを指している。
10枚ほどの座布団を重ねた上で、必死にバランスを取るミカが居た。
「なにがおかしいんだカラスよ?初めて女性を家に招いたのだから、丁重に扱いくつろいで貰ってなにが悪いというんだ!?」
「ボクの使ってた座布団まで取り上げて、なんでこんなバランス耐久ゲームみたいなことしてんだよっ!」
「かかっ…カラスさん、怒らないでください。おととと…わ、私としてはこの状態は、それはそれで愉快!」
グラグラ揺れる座布団の上で、右へ左へ体重を動かしつつ器用に座るミカ。
「インナーマッスルが鍛えれらて、横っ腹とか超痛いです!わわわわわっ!」
「楽しんでもらえてるなら、俺も嬉しいなぁ~」
「この空間はバカしか居ないのカーッ!?」
―――カラスのお怒りに触れて分配された座布団に座り、三人は改めて向き合った。それでもミカには五段ほど与えられて、見上げる形にはなっていた。
「まぁ、いいけどさ…。それで壱に聞きたいことって何なんだよ?」
「あ、はい。聞きたい事があるのは山々なのですが…」
「なんだ、またいつものもったいぶりカーッ?」
「そんないつものなんて…照れる」
「褒めてないよ!」
「話を聞くにしても…ンッ…ンッ…」
ミカは言葉を切り、手を口元に当ててワザとらしく咳をする。
「喉のすべりが悪いと聞く事も聞けないというか…」
「なにを聞く側の癖に飲み物を催促してんだクソがぁぁっ!」
ちらちら横目で要求を促すミカに「確かに話すなら飲み物ほしいよね!」とそそくさ仕度に向かう壱。
「お前…どんだけずうずうしいんだよ…?」
「…実は、こうやって高い位置に座っているとまるで自分が偉くなったように感じてしまいまして…。それならいっそ調子に乗ろうと思いまして、私は今調子に乗ってます!」
「どんな宣言だよ!」
「ところで壱さんがノコノコって呼ばれてましたけど、どういう理由なのですか?それが聞きたくて私は襲われるかもという恐怖と戦って来たのですよ」
「え、急に本題!?」
ミカのハンドルの切り方の斬新さに戸惑うカラス。それゆえにポロリとこぼれた。
「か…神隠しの子の子供…」
「神隠しの子…の子どもですか?神隠しの……のこ、のこ?」
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「あら、ノコノコですねぇ」
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