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20話 とにかく手を清めたい!(迫真)
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身悶えていた壱もミカから距離を置くことで正気に戻り、なんとかカラスの面接が始まる。
「で…、お前はどうやってココに、神の国にやって来たんだい?」
「私もそれを知りたいのです」
「なにぃ?」
「確かに私は神の国があると確信し、その上での準備をおこない【三本足の神社】に向かいました。しかし、気付いたらお二人と出会った林の中に居たのです」
「そんな馬鹿なことはありえないんだよ…、だって人間がそんな簡単に…」
さすがのミカもこのタイミングで嘘や誤魔化しをするとは思えず、事実ベースで考えるとあまりに荒唐無稽でカラスは「うん、うん」と頭を捻った。ミカとしてもカラスならもしかして自分の疑問の答えを持っているのでは?と考えていたのだろう。露骨に落胆こそしていないが、口に手を添えて眉をひそませる。
「あ、あのさ…」
見かねたのか、土間の隅っこで立っていた壱が声を上げた。
「なんでしょうか、壱さん?そんな遠方では声が良く聞こえないので、お近くにどうぞ」
「そ、それはちょっと…」
手招きするミカをぶんぶん両手を千切れそうなほど振って拒否する。
「そんなことより、ミカさんは三本足の神社でなんかしてたりしなかったの?その…変なこととか?」
「変なこと…ですか?はて…、壱さんは何を変と定義しているのかはわかりませんが、私としては特別なことをした記憶はありませんけど…もしかしてエッチなことでしょうか?…男の子ですねぇ」
「違うっ!エッチなことなんてそんな下卑た思想は俺は断じて持ち合わせていない。ま、ましてや女性にそのようなことを尋ねるなんて愚かな真似は…」
「聞かれたら赤裸々に白状してもよかったのにですか?」
「えっ!その言葉は本当かっ!?」
「すいません、嘘です」
「なに馬鹿なこと言い合ってんだいっ!お前らは!?」
考え事をしてる最中に飛び交う無駄なやり取りに堪らずカラスは怒り、翼をバサバサと羽ばたかせる。
「おい、カラス!羽ばたくな羽が舞って部屋が汚れるじゃないか!」
「ボクの羽が汚い訳ないんだよ!それより女っ!本当に神社で変なことはしてないのか!行動を思い出してみろ!」
「うーん、どうでしょうか?」
ミカは目を閉じ腕を組むと、羽交い絞めにしてカラスをなだめる壱との喧騒をBGMにポツリポツリと自分の行動を言語化していく。
「まず…神社に着いて最初に鳥居があったので抱きつきました」
「…なんでなんだよ?」
「ミカさん。もう充分、おかしな行動してね?」
「え?鳥居ってまずは抱き心地を試しますよね?そうしないと神社を感じられないじゃないですか…」
「お前の感覚は一生わからないと思うから、次の行動を言って欲しいんだよ」
「ええっと…次は手水舎を探しました。神社に来た以上、手や口を清めるのはあまりに常識的でいたって普通の感覚ですからね」
ふふんと鼻を鳴らして減点分を取り返そうと息巻くミカにカラスは呆れ顔という返信を送る。
「ん?でも待つんだよ。あそこに手水舎なんてないだろ?そもそも人が来るなんて設定されてない神域だ。鳥居と社の簡素な造りだったはずだよ」
「カラスさんに10ポイント」
「なんのポイントだよ?むかつくなぁ…」
「その時の私はあまりに汚れきった手を清めたくて清めたくて、気がおかしくなっていました…」
「なんでそこまでなるんだよ!」
「…抱きついた鳥居に虫とか鳥の糞とかいっぱいついてたんですよ」
「自業自得じゃないカーッ!!」
遠くを見つめるミカは当時の記憶を思い出したのか、その横顔には哀愁が漂っていた。
「で…、お前はどうやってココに、神の国にやって来たんだい?」
「私もそれを知りたいのです」
「なにぃ?」
「確かに私は神の国があると確信し、その上での準備をおこない【三本足の神社】に向かいました。しかし、気付いたらお二人と出会った林の中に居たのです」
「そんな馬鹿なことはありえないんだよ…、だって人間がそんな簡単に…」
さすがのミカもこのタイミングで嘘や誤魔化しをするとは思えず、事実ベースで考えるとあまりに荒唐無稽でカラスは「うん、うん」と頭を捻った。ミカとしてもカラスならもしかして自分の疑問の答えを持っているのでは?と考えていたのだろう。露骨に落胆こそしていないが、口に手を添えて眉をひそませる。
「あ、あのさ…」
見かねたのか、土間の隅っこで立っていた壱が声を上げた。
「なんでしょうか、壱さん?そんな遠方では声が良く聞こえないので、お近くにどうぞ」
「そ、それはちょっと…」
手招きするミカをぶんぶん両手を千切れそうなほど振って拒否する。
「そんなことより、ミカさんは三本足の神社でなんかしてたりしなかったの?その…変なこととか?」
「変なこと…ですか?はて…、壱さんは何を変と定義しているのかはわかりませんが、私としては特別なことをした記憶はありませんけど…もしかしてエッチなことでしょうか?…男の子ですねぇ」
「違うっ!エッチなことなんてそんな下卑た思想は俺は断じて持ち合わせていない。ま、ましてや女性にそのようなことを尋ねるなんて愚かな真似は…」
「聞かれたら赤裸々に白状してもよかったのにですか?」
「えっ!その言葉は本当かっ!?」
「すいません、嘘です」
「なに馬鹿なこと言い合ってんだいっ!お前らは!?」
考え事をしてる最中に飛び交う無駄なやり取りに堪らずカラスは怒り、翼をバサバサと羽ばたかせる。
「おい、カラス!羽ばたくな羽が舞って部屋が汚れるじゃないか!」
「ボクの羽が汚い訳ないんだよ!それより女っ!本当に神社で変なことはしてないのか!行動を思い出してみろ!」
「うーん、どうでしょうか?」
ミカは目を閉じ腕を組むと、羽交い絞めにしてカラスをなだめる壱との喧騒をBGMにポツリポツリと自分の行動を言語化していく。
「まず…神社に着いて最初に鳥居があったので抱きつきました」
「…なんでなんだよ?」
「ミカさん。もう充分、おかしな行動してね?」
「え?鳥居ってまずは抱き心地を試しますよね?そうしないと神社を感じられないじゃないですか…」
「お前の感覚は一生わからないと思うから、次の行動を言って欲しいんだよ」
「ええっと…次は手水舎を探しました。神社に来た以上、手や口を清めるのはあまりに常識的でいたって普通の感覚ですからね」
ふふんと鼻を鳴らして減点分を取り返そうと息巻くミカにカラスは呆れ顔という返信を送る。
「ん?でも待つんだよ。あそこに手水舎なんてないだろ?そもそも人が来るなんて設定されてない神域だ。鳥居と社の簡素な造りだったはずだよ」
「カラスさんに10ポイント」
「なんのポイントだよ?むかつくなぁ…」
「その時の私はあまりに汚れきった手を清めたくて清めたくて、気がおかしくなっていました…」
「なんでそこまでなるんだよ!」
「…抱きついた鳥居に虫とか鳥の糞とかいっぱいついてたんですよ」
「自業自得じゃないカーッ!!」
遠くを見つめるミカは当時の記憶を思い出したのか、その横顔には哀愁が漂っていた。
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