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魔人と魔女の一騎打ち
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身を屈めて痛みを我慢するため、自分を抱きしめる。何度か魔女の力を使ったことがあるが、巨大な魔力を使えば使うほど身を裂かれる痛みがやってくる。
薬も副作用が全ての原因だと思っていたが、身に余る力を使った代償でもあったのだ。
「大丈夫か?」
ヒューゴから声を掛けられる。しかし、これは心配では無い。まだ戦えるかという意味で尋ねているのだ。
私が戦えなければ、魔女の始祖は倒せないのだから。
「はぁ……はぁ……うん、まだいける……!」
痛みがやっと落ち着き、次に備える。
敵の数は三割減といったところだ。
あと一発撃てば、おそらくこちらが優位になるだろう。
「愚かな。私が授けた力を勝手に使う重罪人め」
先ほどまで姿を隠していたガハリエが空へ現れる。
「余裕が無くなって出てきたか。降伏するのなら苦しまずに最高神の元へと送ってやろう」
ヒューゴの煽りにただ一瞥する。
「下等な生物が、私を誰だと心得る。誰が数百年平和な世を作ったと思っている! 国を乗っ取り信仰を広めたのは私だ! 敵対する国々に魔女を送り、荒らし、災厄で領地を奪ってやった! だが貴様らは疎ましく思った私を殺すために異端審問を作り出したのだ! 恥を知れ! この私こそ至高なる存在であるぞ!」
ガハリエの顔は憎悪にさらに醜くなる。
「ならなんで魔女を増やすの? どうしてクリスやヒューゴ司祭の領地で魔女を暴走させたの?」
己の行いが全ての原因だ。何か理由があってか尋ねるが、私の問いなどくだらないと一蹴する。
「貴様らは暇つぶしに鳥や鹿を狩らないのか? どうしてこの世に闘技場なんぞある? 貴様らも好きであろう。私も好きだ。魔女に絶望を与えた時の顔が。そしてそれに巻き込まれて運命を曲げられた者を見るのもな!」
ヒューゴの怒りのオーラを感じる。すると乗り物を捨ててヒューゴはその身でガハリエへと挑む。
強烈な蹴りがガハリエへ向かったが、難なく腕で止められていた。
「貴様のような邪悪は死ぬべきだ! 善悪を知らぬ子供でもあるまいし! 邪悪は滅せられろ!」
「ふふ、なるほどな。お前の体を通して分かるぞ。貴様も領地ごと焼き払われたが、それに対する憎悪はない」
ヒューゴの動きが急に鈍った。
「それよりも救ってくれた聖女への劣情の方が勝ったか? 良かったではないか、私はさしずめキューピットの矢ということか!」
ガハリエの体が加速する。これまでは魔法でばかり戦っていた男が、体術だけでヒューゴを圧倒する。ヒューゴの体に何度も拳がぶつかる。
空から落ちかけたヒューゴの髪を掴み、ガハリエの腕がヒューゴの腹を貫いた。
「ぐぅ……かはっ……」
「まだ殺しはしない。貴様の前でまだ聖女が汚れる姿を見せていないからな。あの女も私が一言命じれば娼婦のように喜んで股を広げる。特等席で見させてやるぞ、はははは!」
愉快げに嗤う。助けたいが、細かな力のコントールができないため、ヒューゴだけ当てないということができない。
黙って見ているしか無い状況だが、瀕死のヒューゴが私をちらりと見た。
「かはっ……はぁ……はぁ……哀れなものだ……」
「なに?」
吐血をしながらもヒューゴは変わらぬ覇気を出す。
それどころか、以前よりもさらに圧倒的な迫力を感じた。
「数百年も生きて楽しみが自分より下をいたぶって愉しむのみ。表には出ずに裏でこそこそとネズミのように駆け回る姿は滑稽という他ない」
「ふんっ、くだらない挑発を。この腕を動かせば無駄口も……!? 動かぬ……だと?」
ガハリエが力一杯腕を引っこ抜こうとしているが、全く動かない。
焦りが広がるガハリエに対し、ヒューゴの腕が振り上がった。
「馬鹿め! 私のシールドを拳で砕くなど……ガッ!」
ガラスが割れるような音を立て、続けざまにガハリエの顔にヒューゴの拳がぶつかる。
拳には気付かぬうちにサックがはまっている。
「聖遺物だ。電流を体に流し、何倍もの力を引き出せる一級品だ。あの男から奪っておいて正解だった。こうやって馬鹿みたいに近づいてくるのだからな!」
「ま、待て! 顔は――!」
ヒューゴは制止の言葉を無視した。容赦なくシールドが剥がれたガハリエの顔に何度も拳をぶつけた。
骨をくだくような音が響き、ガハリエは落ちていく。だが不死のガハリエにはダメージが入っても、倒すことは出来ない。
だけど引き剥がされた今なら私の出番だ。
魔力を急いで集中させ、ガハリエとの決着をつける。
「また……!?」
突然にもガハリエの体が消える。また瞬間移動をしたのだ。
私の力は有限なので無駄打ちはできない。
「どこ……」
見当たらない。焦りが押し寄せてくるが、いったん深呼吸をする。
これまでの調査から、一度で長距離は移動できないことはわかっている。また一度飛んでからは数秒から数分の間隔が必要ということも。
どこに消えたのか注意深く観察する。
私の側にヒューゴも降りてきた。
きつそうな顔でお腹に神聖術で回復をしていた。だが周りにも警戒もしている。
「ちょこまかと逃げる。あの卑怯者のことだ。どこか近くにいるはずだ。警戒を怠るな!」
足下に落ちている鋼の剣を拾う。
「はい! こちらは見ま――」
ヒューゴがちょうど私へ背中を見せたとき、その背中にうまくひっついていた男の姿があった。
――ガハリエ!?
対応が遅れた。
「一手こちらが早かったな!」
思っていない場所に現れたことでこちらが力を放つ前に、ガハリエに触られた。
ハッと気付く、体が無重力のように浮いていた。
「え!? これって……上空!?」
私は上空に放り投げられたのだ。ちょうど真下に私がさっきいた場所が見える。まさか私を墜落死させるつもりなのか。
しかいすぐに見えない地面に体をぶつけた。
「痛い……けど、これって地面?」
「そうだ。ここなら邪魔も入るまい」
嫌な予感がしたので、すぐさま転がってその場を離れると、私が居たところが燃え上がった。
「ちっ、勘が良いな」
舌打ちをするガハリエ。
もうすでに顔が修復しているがどんどん顔が醜くなっていた。
「貴様さえ殺せば私を脅かすものたちも諦めるだろう。だがそれだけでは私の気も済まない。貴様をいたぶり、お前を希望とする者達の心を折ってやろう」
どす黒いオーラを纏う姿はまさに魔王そのものだ。私達の周りに炎の柱を囲わせて逃げられないようにする。
その熱はこの場に居るだけで体力を奪っていくほどだった。
「逃げたければ逃げるがいい。私は寛大だ。その身を灼かれるもよし、それか私になぶり殺されるのもな!」
ガハリエが瞬間移動を使って距離を詰めた。腕を振り上げて私が反応する前に顔目がけて拳を振るった。しかし私は剣で相手の拳を受け流し、逆に隙だらけの胴体を斬りつけた。
「……なに?」
一瞬で回復されたが、それでも舐めていた相手から一撃を食らったことに苛立っていた。
「まぐれの一撃でいい気になるな!」
怒りに任せたガハリエの攻撃は単調で大振りばかりだ。
同じように何度も攻撃を受け流して、その度に体を剣で裂いた。
「くそっ、足が――はっ!?」
ようやく相手の足に当たり、好機と思い溜めていた魔法を放つ。
魔法がガハリエの足に当たった。
「ぬお! ぎ、貴様! よくも、よくも!」
ガハリエは情けない声を出しながら、私の魔法を転がって躱そうとした。
だが避けきれずに当たったのだ。
まるで先ほどの私と立場が逆転したかのようだった。
「もしかして知りませんでした? わたくし、最強の男と死闘を何度も繰り広げましたの。この程度の死線なんて数えたことありませんわ。わたくしを倒したければ黒獅子を連れてくることよ!」
平地かつ一対一、そして武器もある状態ならヒューゴにだって負けない。
相手はまんまと私の有利な場所を選んだのだ。
「貴方は私が……倒す!」
袋から最後の薬品を取り出して、呷る。
体の内部から熱を発していく。どんどん熱が上がるごとにガハリエの顔が恐怖で歪みだした。
薬も副作用が全ての原因だと思っていたが、身に余る力を使った代償でもあったのだ。
「大丈夫か?」
ヒューゴから声を掛けられる。しかし、これは心配では無い。まだ戦えるかという意味で尋ねているのだ。
私が戦えなければ、魔女の始祖は倒せないのだから。
「はぁ……はぁ……うん、まだいける……!」
痛みがやっと落ち着き、次に備える。
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ガハリエの顔は憎悪にさらに醜くなる。
「ならなんで魔女を増やすの? どうしてクリスやヒューゴ司祭の領地で魔女を暴走させたの?」
己の行いが全ての原因だ。何か理由があってか尋ねるが、私の問いなどくだらないと一蹴する。
「貴様らは暇つぶしに鳥や鹿を狩らないのか? どうしてこの世に闘技場なんぞある? 貴様らも好きであろう。私も好きだ。魔女に絶望を与えた時の顔が。そしてそれに巻き込まれて運命を曲げられた者を見るのもな!」
ヒューゴの怒りのオーラを感じる。すると乗り物を捨ててヒューゴはその身でガハリエへと挑む。
強烈な蹴りがガハリエへ向かったが、難なく腕で止められていた。
「貴様のような邪悪は死ぬべきだ! 善悪を知らぬ子供でもあるまいし! 邪悪は滅せられろ!」
「ふふ、なるほどな。お前の体を通して分かるぞ。貴様も領地ごと焼き払われたが、それに対する憎悪はない」
ヒューゴの動きが急に鈍った。
「それよりも救ってくれた聖女への劣情の方が勝ったか? 良かったではないか、私はさしずめキューピットの矢ということか!」
ガハリエの体が加速する。これまでは魔法でばかり戦っていた男が、体術だけでヒューゴを圧倒する。ヒューゴの体に何度も拳がぶつかる。
空から落ちかけたヒューゴの髪を掴み、ガハリエの腕がヒューゴの腹を貫いた。
「ぐぅ……かはっ……」
「まだ殺しはしない。貴様の前でまだ聖女が汚れる姿を見せていないからな。あの女も私が一言命じれば娼婦のように喜んで股を広げる。特等席で見させてやるぞ、はははは!」
愉快げに嗤う。助けたいが、細かな力のコントールができないため、ヒューゴだけ当てないということができない。
黙って見ているしか無い状況だが、瀕死のヒューゴが私をちらりと見た。
「かはっ……はぁ……はぁ……哀れなものだ……」
「なに?」
吐血をしながらもヒューゴは変わらぬ覇気を出す。
それどころか、以前よりもさらに圧倒的な迫力を感じた。
「数百年も生きて楽しみが自分より下をいたぶって愉しむのみ。表には出ずに裏でこそこそとネズミのように駆け回る姿は滑稽という他ない」
「ふんっ、くだらない挑発を。この腕を動かせば無駄口も……!? 動かぬ……だと?」
ガハリエが力一杯腕を引っこ抜こうとしているが、全く動かない。
焦りが広がるガハリエに対し、ヒューゴの腕が振り上がった。
「馬鹿め! 私のシールドを拳で砕くなど……ガッ!」
ガラスが割れるような音を立て、続けざまにガハリエの顔にヒューゴの拳がぶつかる。
拳には気付かぬうちにサックがはまっている。
「聖遺物だ。電流を体に流し、何倍もの力を引き出せる一級品だ。あの男から奪っておいて正解だった。こうやって馬鹿みたいに近づいてくるのだからな!」
「ま、待て! 顔は――!」
ヒューゴは制止の言葉を無視した。容赦なくシールドが剥がれたガハリエの顔に何度も拳をぶつけた。
骨をくだくような音が響き、ガハリエは落ちていく。だが不死のガハリエにはダメージが入っても、倒すことは出来ない。
だけど引き剥がされた今なら私の出番だ。
魔力を急いで集中させ、ガハリエとの決着をつける。
「また……!?」
突然にもガハリエの体が消える。また瞬間移動をしたのだ。
私の力は有限なので無駄打ちはできない。
「どこ……」
見当たらない。焦りが押し寄せてくるが、いったん深呼吸をする。
これまでの調査から、一度で長距離は移動できないことはわかっている。また一度飛んでからは数秒から数分の間隔が必要ということも。
どこに消えたのか注意深く観察する。
私の側にヒューゴも降りてきた。
きつそうな顔でお腹に神聖術で回復をしていた。だが周りにも警戒もしている。
「ちょこまかと逃げる。あの卑怯者のことだ。どこか近くにいるはずだ。警戒を怠るな!」
足下に落ちている鋼の剣を拾う。
「はい! こちらは見ま――」
ヒューゴがちょうど私へ背中を見せたとき、その背中にうまくひっついていた男の姿があった。
――ガハリエ!?
対応が遅れた。
「一手こちらが早かったな!」
思っていない場所に現れたことでこちらが力を放つ前に、ガハリエに触られた。
ハッと気付く、体が無重力のように浮いていた。
「え!? これって……上空!?」
私は上空に放り投げられたのだ。ちょうど真下に私がさっきいた場所が見える。まさか私を墜落死させるつもりなのか。
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嫌な予感がしたので、すぐさま転がってその場を離れると、私が居たところが燃え上がった。
「ちっ、勘が良いな」
舌打ちをするガハリエ。
もうすでに顔が修復しているがどんどん顔が醜くなっていた。
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どす黒いオーラを纏う姿はまさに魔王そのものだ。私達の周りに炎の柱を囲わせて逃げられないようにする。
その熱はこの場に居るだけで体力を奪っていくほどだった。
「逃げたければ逃げるがいい。私は寛大だ。その身を灼かれるもよし、それか私になぶり殺されるのもな!」
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「……なに?」
一瞬で回復されたが、それでも舐めていた相手から一撃を食らったことに苛立っていた。
「まぐれの一撃でいい気になるな!」
怒りに任せたガハリエの攻撃は単調で大振りばかりだ。
同じように何度も攻撃を受け流して、その度に体を剣で裂いた。
「くそっ、足が――はっ!?」
ようやく相手の足に当たり、好機と思い溜めていた魔法を放つ。
魔法がガハリエの足に当たった。
「ぬお! ぎ、貴様! よくも、よくも!」
ガハリエは情けない声を出しながら、私の魔法を転がって躱そうとした。
だが避けきれずに当たったのだ。
まるで先ほどの私と立場が逆転したかのようだった。
「もしかして知りませんでした? わたくし、最強の男と死闘を何度も繰り広げましたの。この程度の死線なんて数えたことありませんわ。わたくしを倒したければ黒獅子を連れてくることよ!」
平地かつ一対一、そして武器もある状態ならヒューゴにだって負けない。
相手はまんまと私の有利な場所を選んだのだ。
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