悪役令嬢に嵌められてしまったので、破滅に追い込んで平穏に過ごそうと思います!

八代奏多

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3. お茶会という名の尋問

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 中庭に出た私は芝生の上に座って明日のことを考えていた。
 アーシャ様のところに行く以上、対策を立てないわけにはいかないから。

 そのまましばらく考えたけれど、思いつかなくて空を仰ぎ見た。
 その時だった。

「どうしたの? 深刻そうな顔して」
「お姉さま……実はーー」

 私の隣に腰を下ろしたお姉さまに手紙の事を話すと、真剣な表情になった。

「それはまずいわね……。ドレスを汚されるくらいならいいけど、不敬罪にでもされたら大変よね」
「そうよね……」
「受け身になるしかないわね。でも、レシアが傷つくのは嫌よ」
「私の犠牲で済むのなら耐えるわ」

 もちろん痛いのは嫌だけど、誰にも迷惑がかからないなら耐える方を選ぶ。

「無事に帰って来なさいね!」
「努力します……」

 私は曖昧な答えしか言えなかった。

「一応お母様に相談してみるわ。レターセットの用意をお願い」
「かしこまりました」

 お姉さまが侍女さんにそう伝え、立ち上がった。

「レシア、今日はゆっくり休んで明日に備えるのよ」
「うん……分かったわ」

 お姉さまが庭を後にしてからしばらく庭に残った。

   ☆ ☆ ☆

 翌日、社交用のドレスに身を包んだ私は馬車に乗り込んでアーシャ様のいるレノクス邸に向かっていた。

「お嬢様、到着いたしました。どうかお気をつけて」

 馬車が止まり、扉を開けてくれた御者さんがそう声をかけてくれ。

「ええ、ありがとう」

 私が昨日お姉さまに話した事は使用人を含めた家族全員に知れ渡っている。
 皆に心配させていると思うと胸が痛くなるけれど、ここまできて引き返すわけにはいかない。

「レシア様、お待ちしておりました。お嬢様がお待ちの部屋までご案内いたします」

 私は頷いて女性の使用人さんの後を追った。


「こちらのお部屋です。私はこれで失礼します」
「案内ありがとう」

 使用人さんの姿が廊下の向こうに消えるのを待ってから、私はドアをノックした。

「アーシャ様、レシアです。入ってもよろしいでしょうか?」
「早く入りなさい!」

 怒鳴り声が聞こえてきたので、マナーに気をつけながら急いで部屋に入った。

 まず目に飛び込んできたのは嫌な感じのする笑みを浮かべたアーシャ様。そして取り巻きと思わしき令嬢2人。

 この雰囲気、寒気がしてきたわ……。

「貴女、自分が何をしたか分かっていて?」
「いえ、分かりません」

 何も悪い事はしていないのだから、正直に答えた。ここで非を認めてしまうと、それが証拠になって法で罰せられてしまうかもしれないから。

「王宮パーティーでわたくしのエル様と楽しそうに話しておいて惚けるつもり⁉︎」

 意味の分からない言葉が聞こえた直後、乾いた音が響いた。
 遅れて左頬がじわりと傷んだ。
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