悪役令嬢に嵌められてしまったので、破滅に追い込んで平穏に過ごそうと思います!

八代奏多

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7. 鬼先生の予感

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 翌日、すっかり元気になった私の元に王宮からパーティーの招待状が届いた。
 アーシャ様の言葉から何かしらのパーティーに誘われるとは思っていたけれど、まさか王宮のパーティーだったなんて……。

「お嬢様、もうすぐ旦那様と奥様がお戻りになられますので、相談してみてはいかがですか?」
「そうするわ……」

 そうは言ってみたけれど、私がしてしまった約束がどうにかなるとは思えない。
 侯爵家と公爵家の権力の差以前に、貴族同士の約束を反故にすることは出来ないから。

 とりあえず、この先の方針を考える事にした私は側に控える侍女さんにある事を頼んだ。

「気分転換にお菓子を持ってきてくれないかしら?」
「かしこまりました」

 ーー割とどうでもいい事を。

   ☆ ☆ ☆

「お帰りなさい! お父様、お母様!」
「「お帰りなさいませ!!」」

 使用人さん達と共に玄関に出てお父様とお母様を出迎えると、

「だだいま。レシア、怪我はもう大丈夫なの?」
「うん……心配かけてごめんなさい」
「あなたが無事ならいいのよ。でも、大怪我するくらいなら反撃してよかったのよ?」
「……え?」

 侯爵令嬢でしかない私が公爵令嬢に反撃なんてしたら、不敬罪になりかねない。そう考えていた私は疑問を浮かべた。

「事情を公爵様に話せば納得してくれるでしょう? 怪我をさせなければいいだけの話よ」
「練習させてないからレシアには厳しいと思うぞ?」

 そう口を挟んでくるお父様。確かに私には怪我させずに反撃なんて無理です。

「それもそうね。レシアと体格が同じくらいの侍女に練習相手になってもらいましょう」
「うん、それがいい。次のパーティーまでには最低限の護身術くらいは出来た方がいいだろう。もっと前から教えておけばよかった……すまなかった」

 何故だか分からないけれど、私は護身術をやらされる羽目になってしまった。

 そもそも護身術を学ばなかったのはお父様が数年前に「可愛いレシアに体術なんて学ばせて怪我でもしたらどうするんだ!」なんて言って過保護っぷりを発揮したからなのだけど……。

 ……。

 あの会話から1時間が経つ今、私は普段着ている物よりも簡素なドレスに着替させられて騎士さん達が日々の訓練に使っている場所に来ている。

 ちなみに、毎日騎士さん達が汗を流しているこの場所は全く臭くない。お父様とお兄様がよく使うから、失礼の無いように綺麗にしているそう。
 お母様も剣術の練習でたまに使っているらしい。よく襲われたりしたから、腕が落ちない程度に練習しているのだと少し前にお母様が言っていた。

「準備はいいですか?」
「はい」
「旦那様が奥様と同じくらいには強くなるようにとおっしゃられていましたので、厳し目にいきますよ」

 先生役の侍女さんのその言葉を聞いた私は嫌な予感しかしなかった。
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