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11. 決めました

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「助けを呼んでも無駄だぞ? この部屋は音が漏れないようになっているからな」

 このまま見ず知らずの男に自由にされるのは嫌だから、怖いけど戦うことにした。
 何もしないよりもマシだと思うから。

 縄も解けたことだし、雷の魔法で気絶させよう……。

 私が魔力を練り始めると、いきなり足を掴まれた。
 恐怖で背筋に冷たいものを感じた。

「何をするつもり?」
「なにって、楽しいことさ」

 騎士さんが私の両足を掴んで引っ張った瞬間、私は手を向けて雷の魔法を放った。

「ぎゃぁっ!」

 魔法が直撃した騎士さんはそんな声を上げ、痙攣しながら床に崩れた。

 い、今のうちにっ……

 私はドアを開けて逃げようとしたけれど、鍵がかかっているようでドアは少しも動かなかった。

 どうしよう……

 悩んでいるうちに、騎士さんが起き上がろうとしていた。

 迷ってる暇はないわ!

 そう考え、魔法でドアを突き破って駆け出した。
 お父様から「監禁されたときは壁を壊してでも逃げなさい」と言われていたから問題ないよね。

 でも……

「ひぁっ⁉︎」

 足を後ろに引っ張られた私は勢いよく転んで、何かにぶつかってしまった。

「レシア⁉︎」

 エルワード様の驚いた声が聞こえたと思ったら、抱きしめられていた。
 これは私が転ばないようにしてくれてるだけのはずなのに、ドキドキしてきた。

 家族以外の男性に抱かれたことなんてないから仕方ないよね?

「ご、ごめんなさい!」
「それはいいんだけど……お前、何をしてる?」

 エルワード様が私の足を掴む騎士さんを睨み、ドスの効いた低い声でそう問いかけた。

「これは、アーシャ様に命令されたからで」
「今すぐその手を離せ」
「ひ、ひいっ」

 エルワード様の助けもあって、無事に窮地を抜け出すことが出来た。

 まさか騎士さんを使って乱暴されそうになるとは思っていなかったけど、なんとかなりそうで安心したわ。


「怪我はない?」
「ええ、大丈夫です」
「良かった。貴女の家族が探してたから、先に会場に戻ってていいよ」
「ありがとうございます!」

 騎士さん達はエルワード様がなんとかしてくれるそうなので、今度は誰にも捕まらないように急いで会場に戻った。

「レシア! 無事だったのね。何があったの?」
「公爵家の騎士さんに捕まってしまって……」

 今回はなんとかなったけど、毎週こんな目に遭っていたらそのうち取り返しのつかないことになってしまうと思う。
 だから、元凶のアーシャ様をなんとかしないといけない。

 アーシャ様の悪事を掴んで社交界から追い出せば、今までの日常を取り戻せるよね……?
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