半月後に死ぬと告げられたので、今まで苦しんだ分残りの人生は幸せになります!

八代奏多

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61. 余命2日①

 朝は色々あったけど何とか乗り越えて、瘴気のお陰で大量に積みあがっていた女官の仕事も夕方までには終わらせることが出来て。
 ようやく落ち着いて迎えた夕食の時間。

 私の目の前に広がっていたのは、目を背けたくなるような光景だった。
 疲れ切った様子で夕食をとる人もいれば、目に濃いクマを作りながらも気合を入れて立ち上がる人もいる。

 こんな状態の人達がいる中、疲れなんて感じていない私が入るなんて……なんだか申し訳ない。
 でも、夕食はここでしか摂ることができないのよね……。

 そんな風に悩んでいる時だった。

「レティシア嬢、夕食はこれからか?」

 ジグルド殿下が声をかけてきた。

「ええ、これからですわ」
「そうか。それなら、俺と一緒に来てほしい」
「分かりましたわ」

 殿下も明らかに疲れ切った様子だったけど、殿下から誘ってくださっているのだから、申し訳ないと思うことは無かった。

 今回は殿下の隣に並ぶ形で、王族用の食堂へと向かう私。
 状況が状況だから仕方ないのだけど、ずっと瘴気について話しながらの移動になってしまった。

「……というわけで、王宮の中に瘴気が入らない状況はなんとか維持できているから安心して欲しい」
「分かりましたわ。でも、皆さんの限界が近いように感じましたわ」
「最初は瘴気が濃かったからな。今はある程度薄くなっているから、1週間は持ち堪えられる」

 そんなことを話しながら食堂に入る私達。
 既に料理は並べられていたから、先に座った殿下の向かい側に私も座った。

「ただ、王宮の内側に残っている瘴気がなかなか払えないんだ。だから、レティシアの手を借りたい」
「それくらいのことなら、大丈夫ですわ」
「ありがとう」

 そんな話をしながら、食事を始める私達。
 決して他人事ひとごとではないから、私も真剣に意見を出したりしていた。

 もしも相手がお父様だったら、一蹴されていたのかもしれないけど……考えが足りないような意見でも殿下は聞き入れてくれて、参考にしてくれていた。
 ほとんど殿下が考えていたようなものでも感謝されたから、少し嬉しかった。

 そして夕食を終える頃には、こんな話になっていた。

「移動しながら魔術を使うのは試してみよう。これなら魔力を温存できるかもしれない」
「馬を酷使することにはなってしまいますけど、大丈夫でしょうか?」
「それくらい大丈夫だ。何も走り通させるわけではないし、そこはしっかりと考える」

 瘴気が迫ってくるのはゆっくりだけど、払う時はあっという間に離れていく。
 だから、数人で王宮の周囲を移動しながら払えば、人数が少なくても瘴気を払い続けられると考えたのだけど……上手く行くかはまだ分からない。

「とりあえず、今は中に残ってる瘴気を消す方が先だな。案内するから、着いてきて」
「ええ」

 頷いて、殿下の後を追う私。
 2分ほど歩いて辿り着いたのは、なんと玉座の間だった。

「この角に瘴気が溜まってしまっているんだ」
「どうしてこんなところに……」
「ここは外から光が入ってこないから、それが原因だと思う」
「そういうことですのね」

 返事をしながら、光の魔力を瘴気に当てていく。
 すると、緑色の光を放ちながら瘴気が消えていった。

「すごい……」

 感動した様子で呟く殿下。
 
 この後は王宮の外側に出て、さっき話したことを試そうとしたのだけど……。

「報告します! 突然、瘴気が一気に遠ざかりました」
「まさか、一気に襲ってくる兆候か……」

 殿下は良くない想像をしているみたいだけど、頭の中に響いた声は違った。

(瘴気も怯えるのね。消されたから逃げてるのよ)
(そうだと良いのだけど……)

「レティシア、手を貸してくれてありがとう。こっちは俺がなんとかするから、戻ってもらって構わない」
「分かりましたわ。では、失礼します」

 頭を下げて、玉座の間を後にする私。

 それからは不安を押し殺して、いつも通り湯浴みをしてからベッドに入った。
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