半月後に死ぬと告げられたので、今まで苦しんだ分残りの人生は幸せになります!

八代奏多

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62. 余命2日②

「おやすみ」
「うん、おやすみ」

 ベッドに入ってから、フレアの言葉に返す私。
 すぐに目を閉じて眠りにつこうとしたのだけど……。

「寝れないわ……」

 眠気が全く襲ってこなくて、寝れる気配が全く無かった。

「怖いの?」
「そうかも……」

 フレアが守ってくれていて、いざとなれば幻想空間もある。だから心配する必要が無いことは分かっているのだけど……お兄様とお姉様のことが心配で仕方なかった。

「レティのお兄さんとお姉さんも、瘴気を防ぐ手立てはあるみたいだから、大丈夫よ」
「そうだといいけど……」
「今はちゃんと寝て、いざという時に備えるべきよ。もしかして、無理矢理寝させた方がいいかしら?」

 満面の笑みで言わないで欲しいわ……。
 少し……いや、かなり恐怖を感じてしまった。

「大丈夫よ」

 それだけ口にして、目を閉じる。
 すると今度は、あっという間に意識が遠のいていって……。


 ……。
 …………。


「おはよう」

 目を開けた瞬間、そんな声がかけられた。

「おはよう」

 朝陽が眩しくて、細目になりながら返事をする。
 起き上がって窓の外を見てみると、昨日はすぐ近くまで迫っていた瘴気が遠くに移ったのが分かった。

「こんなに遠くになったのね」
「少し消しただけでこんなに怯えるなんて、驚いたわ」
「そうね」

 そんなことを話しながら、朝の準備を始める。
 今日も女官の仕事があるから急がないといけないのだけど……。



 ……朝食のために向かったレストランには列ができていて、待っていたら仕事に間に合わないように思えた。

(朝は諦めないとダメそうね……)
(大丈夫?)
(多分大丈夫よ……)

 仕方ないから、諦めてそのまま仕事場に向かう私。
 部屋に入ると、いつもお食事会で使っている机の上にパンが積み上がっているのが目に入った。

「クロエさん、これって……」
「差し入れですわ。沢山あるので、お好きなだけどうぞ」
「ありがとうございます」

 お礼を言いながら、1つ手に取ってみる。
 大きさは2口くらいで食べれそうなのだけど、量が量。ちょうどいいくらい食べても、まだ沢山積み上がっていた。

 でも、皆さん朝食を済ませられなかったみたいで、仕事が始まる前には数個残るだけになっていた。

「今日も頑張りましょう、と言いたいところなのですが……今日は お休みになりました」
「どういうことですの?」
「さっきこんな知らせが届きましたの」

 差し出される1枚の紙。みんなで覗いてみると、そこには事務職を休みにするということが書かれていた。
 必要に応じて戦う必要もあるみたいで、仕事場で待機するようにとも。

 きっと陛下は、王宮の防衛には騎士団以外の力も必要だと考えたのね。

「いつ戦いになるか分かりませんし、今はしっかり休んで万全を期しましょう」
「「はい」」

 そんなわけで、私達は軽く雑談をしながらゆっくり休むことになった。


   ◇  ◇  ◇


 同じ頃、ルードリッヒ侯爵邸ではちょっとした騒ぎが起きていた。

「何故これほど濃くなっているのだ……!?」

 朝を過ぎても明るくならないことを不審に思い、外を見るなり声を上げる侯爵。
 結界のお陰で屋敷の周囲に霧が立ち込めることは起きていないが、外に出るのは困難だと一目で分かってしまった。

「お父様、結界は大丈夫ですの?」
「ああ。セシル達のお陰で、放置しても半月は持ち堪えられそうだ」
「そうですのね。良かったですわ」

 幸いにも、小麦粉の貯蓄は半年分残っており、乾燥させた果物もある。そして栄養が詰まった豆も10ヶ月分残っている。
 だが、この豆は家畜用という問題があった。
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