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90. ソーラスside 強行軍(1)
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今月の始めに行われた件の裁判から半月、私の元にキーファスからの手紙が送られてきた。
毎週交わしていふ手紙は一昨日返事を出したばかりだから、何か問題が起きたのだろう。
夕食中だったから断りを入れて目を通すと、予想していた内容が目に入った。
『クラウス王子が我が家の使用人に暴力を振るってきているから、なんとか連れ戻してくれないか?』
これを読んだ私は明日の早朝にアトランタ領へ向かう準備を指示した。
これは恥ずかしいことなのだが、ローザニアでは使用人は物のように扱われていることが多い。
王宮も例に漏れず、不手際をしてしまった使用人への暴力は日常茶飯事なのだ。
我が家は代々使用人との関係も大事にしているから、よく他の貴族から馬鹿にされたりしている。
こんな国で暮らしているからこそ、共に暮らしている使用人を傷付けられる怒りは知っているつもりだから、最悪の事態が想像出来てしまう。
というのも、3年前に取引のために呼んだ伯爵の前でフィーナ専属の侍女のアンナが転んでしまい、胸を蹴られて大怪我をした出来事があったからだ。
ちなみに、この時アンナが転んだのは交渉が上手くいかずに苛立っていた伯爵が帰り際、お茶を運んでいたアンナに足をかけたからだった。
当然、その伯爵とは関係を切った。不敬罪というお土産を渡した上で。
使用人への暴力が当たり前の国で暮らす私でさえかなりの怒りがあったのだ。キーファスの怒りはもっと大きいものだろう。
だから、厄介なことになる前に馬鹿を捕まえて謝罪をさせ、さらに馬鹿なことをしないように監視を付けようと思っている。
「王家に手紙を送るからペンの準備を頼む」
「畏まりました」
この後、王子がやらかしたことを伝えるための手紙を送りつけ、明日からの強行軍に備えるのだった。
そして翌日、日が登る前に出発して昼前にはアトランタ領に入った。
「旦那様、あと1時間ほどですね。相手は王子ですが、どうされるおつもりですか?」
「捕まえて連れ帰るだけだ。多少乱暴になっても構わん」
「それでは我々が不敬罪になってしまいますが……」
私の言葉に困惑しながら聞き返してくる護衛。
これはあまり知られていないが、ローザニアの軍事は我が家の魔法技術が全体的に関わっている。
「我が家が無かったら軍事力が下がるから簡単に罪に出来ないからな。陛下と王妃殿下には申し訳ないが、王国を捨てる覚悟も出来てはいる」
「王子殿下がこれではそのような考えになられるのも仕方ないですね……」
そんな感じで雑談をすること数十分、ようやくアトランタ邸に到着した。
「うちの馬鹿王子を引き取りに来たんだが……」
「それなら少し前に帰ったぞ」
「入れ違いになったのか。遅くなって済まない」
出迎えてくれたキーファスに頭を下げる私。
最短ルートで来たはずなのだが、まさか入れ違いになるとは思わなかった。
「とりあえず上がってくれ。大事な話がある」
そう言われ、護衛10人とお邪魔することになった。
毎週交わしていふ手紙は一昨日返事を出したばかりだから、何か問題が起きたのだろう。
夕食中だったから断りを入れて目を通すと、予想していた内容が目に入った。
『クラウス王子が我が家の使用人に暴力を振るってきているから、なんとか連れ戻してくれないか?』
これを読んだ私は明日の早朝にアトランタ領へ向かう準備を指示した。
これは恥ずかしいことなのだが、ローザニアでは使用人は物のように扱われていることが多い。
王宮も例に漏れず、不手際をしてしまった使用人への暴力は日常茶飯事なのだ。
我が家は代々使用人との関係も大事にしているから、よく他の貴族から馬鹿にされたりしている。
こんな国で暮らしているからこそ、共に暮らしている使用人を傷付けられる怒りは知っているつもりだから、最悪の事態が想像出来てしまう。
というのも、3年前に取引のために呼んだ伯爵の前でフィーナ専属の侍女のアンナが転んでしまい、胸を蹴られて大怪我をした出来事があったからだ。
ちなみに、この時アンナが転んだのは交渉が上手くいかずに苛立っていた伯爵が帰り際、お茶を運んでいたアンナに足をかけたからだった。
当然、その伯爵とは関係を切った。不敬罪というお土産を渡した上で。
使用人への暴力が当たり前の国で暮らす私でさえかなりの怒りがあったのだ。キーファスの怒りはもっと大きいものだろう。
だから、厄介なことになる前に馬鹿を捕まえて謝罪をさせ、さらに馬鹿なことをしないように監視を付けようと思っている。
「王家に手紙を送るからペンの準備を頼む」
「畏まりました」
この後、王子がやらかしたことを伝えるための手紙を送りつけ、明日からの強行軍に備えるのだった。
そして翌日、日が登る前に出発して昼前にはアトランタ領に入った。
「旦那様、あと1時間ほどですね。相手は王子ですが、どうされるおつもりですか?」
「捕まえて連れ帰るだけだ。多少乱暴になっても構わん」
「それでは我々が不敬罪になってしまいますが……」
私の言葉に困惑しながら聞き返してくる護衛。
これはあまり知られていないが、ローザニアの軍事は我が家の魔法技術が全体的に関わっている。
「我が家が無かったら軍事力が下がるから簡単に罪に出来ないからな。陛下と王妃殿下には申し訳ないが、王国を捨てる覚悟も出来てはいる」
「王子殿下がこれではそのような考えになられるのも仕方ないですね……」
そんな感じで雑談をすること数十分、ようやくアトランタ邸に到着した。
「うちの馬鹿王子を引き取りに来たんだが……」
「それなら少し前に帰ったぞ」
「入れ違いになったのか。遅くなって済まない」
出迎えてくれたキーファスに頭を下げる私。
最短ルートで来たはずなのだが、まさか入れ違いになるとは思わなかった。
「とりあえず上がってくれ。大事な話がある」
そう言われ、護衛10人とお邪魔することになった。
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