公爵令嬢ですが冤罪をかけられ虐げられてしまいました。お覚悟よろしいですね?

八代奏多

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3. 予想外の出来事

 翌朝、普段通りに学院に入った私を待っていたのは、いつもと変わらない様子のホームルームでした。
 けれども、正体の分からない胸騒ぎは続いています。

 その不安を表情に出さないように気を付けながら、一人一人に挨拶を返します。
 ルールではありませんが、この学院では家格が上の人物がホームルームに入ってきたら挨拶をするのがマナーになっています。

 もちろん強制ではないので、関係を築きたい人以外は声をかけてきません。
 それでも殆どの人が私に声をかけてくるということは、それだけ私の家との結び付きが欲しい方がいるということです。


「シルフィーナ様、ごきげんよう」

「ええ、ごきげんよう」

「シルフィーナ様、おはようございます」

「ええ、ごきげんよう」


 挨拶に性別は関係なく、殿方であっても声をかけてきます。
 目的が透けて見える方もいらっしゃいますが、気にしないで挨拶を返します。

 ちなみにですが、家格が同じ──例えば公爵家同士の場合は当主の役職で序列が決まります。
 私の場合、お父様の役職が宰相と国王陛下に次いで立場が高いので、私から挨拶をしに行く相手はただ一人しかいません。

 婚約を結んでいるウィリアム王太子殿下です。
 その彼も今は留学中なので、今の私が挨拶をしに行くことはありません。

 それなのに……。


「おい、なんで俺に挨拶をしに来ないんだ?」


 後ろから不機嫌そうな声がかけられました。
 昨日も聞いたエドガー様の声です。

 残念なことに彼とは同じクラスなので、ホームルームも同じ場所を使うことになっているのです。


「私の方が立場が上だからですわ」


 彼と話すのは時間の無駄でしょうから、理由だけを説明します。
 けれども、彼が大人しく引き下がることはありませんでした。


「王国の宝である聖女候補を虐めた罪人の方が立場が上だと? 笑わせるな。
 ああそうか、このクラスで最底辺の女にはルールというものが分からないようだな」

「一体、何をおっしゃっているのですか……? そもそも、私はリリアさんを虐めたりはしていませんわ」


 すぐに反論しましたが、エドガー様は私から離れて教壇の方に向かっていました。私の言葉に耳を傾けることすらしないようです。

 エドガー様が教壇に立つと、アベルさんも彼の隣に立って口を開きました。


「全員聞いて欲しい。ここにいるシルフィーナは貴重な癒しの力を持つリリア嬢を虐め、心に傷を負わせた。
 その証拠に、リリア嬢は学院に来ていない」

「罪人シルフィーナと関わりを続ける者は、リリア嬢の力の恩恵を得られなくなる。
 それが嫌な者は、罪人との関わりを止めるように」


 アベルさんの言葉に続けて、エドガー様がそう口にしました。
 よく通る声に、挨拶や雑談で賑わっていたこの場が静まり返ってしまいました。

 そして、私に視線が集まります。
 ある人は申し訳なさそうに頭を下げ、ある人は蔑むような目を向けてきました。



 流石にここまでされるとは思わなかったわ……。
 予想外の出来事でしたが、反論の言葉はすぐに浮かんできました。
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