3 / 9
【3】夢の邂逅
しおりを挟む
殿下と馬車の中で何を話したのか、覚えていない。
殿下はお優しいから、きっと私を色々と気遣ってくれたのだろう。
困ったような微笑みと、髪を撫でてくれた柔らかな手の感触だけおぼろげに覚えている。
公爵邸の自室に帰り着いた私は、はしたないとは思いながらも、制服のままベッドに倒れこんだ。
「わたくしは……殿下に捨てられてしまうのね」
ぽつり、独りごちた言葉が、しんと静まり返った部屋に吸い込まれていった。
まざまざと見せつけられた終末の光景が、急速に現実味をおびて私の心を蝕んでいく。
どうして、とか。なぜ、とか。
訊きたいことも言いたいこともたくさんあった。
答えてくれる誰かがいるなら、どうして私があんな終わりを迎えなければならなかったのか、理由を教えて欲しかった。
考えなくてはならないことは山程あるのに。
泥のようにまとわりつく疲労感が、私の思考を奪っていく。
恋をしたいわけではなかった。
愛が欲しいわけでもなかった。
ただ、そう。
この家に生まれたその瞬間から、運命づけられてしまっただけ。
第1王子であるあの方と婚姻を結び、王家との繋がりをより強固に。
それが私に与えられた役割だったから、私はそれを果たそうとしただけだ。
「それが、いけないことだとでも言うの?」
殿下に誇り高き死を望まれるほど。
シャーロットに怨嗟の言葉を吐かれるほど。
私が間違ったことをしたとでも言うのだろうか。
この時代、政略結婚は日常である。
恋愛結婚の夫婦の方が珍しい。
だから
“家のためにこの方のお嫁さんになる“
という私の、幼き日の決意も覚悟も、決して間違ったことではないはずなのに。
シャーロットが殿下に恋をしたから?
殿下がシャーロットを愛したから?
だから私は邪魔者だと。
ふたりの恋路を邪魔する悪役令嬢だとでも言うのだろうか。
「そんなの、おかしいわ」
「そうだね、おかしいね」
びくり、と。体が震えた。
自分ではない誰かの声。
跳ねるように飛び起きた私は、そこが自分の部屋ではないことに驚愕する。
「キミが不幸になる必要なんかないのに」
私はベッドの上に座っていた。
ふわふわでひらひらの、天蓋つきの白いベッド。
そのベッドの脇に頬杖をついて、桃色の長髪を揺らしながら男性が微笑っている。
ふわふわとした巻き毛は、きっと触れたら柔らかいのだろうな、と関係のないことをなんとなく思う。
そしてその彼の向こう側は。
まるで夜空の星々の中にぷかりと浮かびあがってしまったような、まどろみの中で見る瞼の裏の闇のような。
不思議な色をした空間が広がっていた。
ベッドごと放り出された不思議な場所で、唯一現実味のある男性が優しく首を傾ける。
「大丈夫だよ、エレノア。現実のキミはちゃんと眠っているから」
「あなたは……誰?」
「誰、か。そうだね、しいていうなら、キミの心が求めた存在、かな」
「わたくしが……?」
「そう。望んだろう?
“答えてくれる誰かが欲しい“と。
キミが終末を迎えた理由を」
どこか辛そうに、哀れむように。
男性は小さく、かわいそうに、と呟く。
会ったことのない、見かけたこともない人なのに、なぜだろう。
その慈しむような声は、私の心にどこか懐かしく、沁み渡って響いた。
「かわいそうなエレノア。
なにひとつ悪いことなどしていないのに。
聖女に目をつけられたせいで不幸になった」
「聖女……。やっぱりシャーロットは、聖教会の伝承にある聖女なのね?」
「そうだよ。彼女は聖女だ。
1000年に1度産まれるという、建国の女神、マーテルの力を宿した特別な子。
今はまだ力は発現していないけど、それももうまもなく。時間の問題だ」
「それは前回の人生を思い出したキミも、知っているだろう?」
重ねて問いかけられて、私は自信なさげに頷いた。
確かに断片的に思い出した前世(と言っていいのだろうか?)の記憶で、彼女が聖女として覚醒する場面があったと記憶にある。
そしてそれはきっとすぐ近くの未来。
「でもね、エレノア。
聖女は確かに女神マーテルの力を受け継いでいるけれど、それが聖なる力だとは限らないんだよ」
「え?」
建国の女神、マーテル様。
何千年も前。荒れ果てていた大地を甦らせ、アレクシス聖王国を創ったと言われる神様。
現在の国教“女神の盾“教でも、最高位の神様である。
「でも聖典に書いてあるわ。
“聖女は女神マーテルの神聖なる力を宿し、その白き力で、この国を救うだろう“と」
「白きちから、ねぇ」
くす、と意地悪く笑った彼は、なんでも見通してしまいそうなその金色の瞳で、私をそっと見つめた。
「キミが視た彼女の力は、本当に白き力だったかい?」
「……いいえ」
色だけで言えば、確かに思い返せば違った。
シャーロットの力は白くなんかなくてーーこの男性の髪の色と同じ。
桃色だった。
「エレノア、確かに彼女は聖女だ。
でも、聖女だから正しいわけじゃないし、女神だから神聖なわけでもない」
「……その言葉、ノアには絶対聞かせられないわね」
神聖なる建国の女神マーテル。
敬虔な信徒らしく、その教えを信じて疑わないノアに聞かれたら、怒り狂いそうな発言だと思った。
「少なくとも、聖女は国を救わないよ」
キミも視ただろう?と問いかけられて、私は少し考えた後、神妙に頷いた。
そうだ。聖女は国を救わない。
それどころか、私の視た終末の光景が本当に現実のものであるのなら。
国は、あっけなく滅び去るのだから。
「エレノア、これだけは言っておくよ」
彼はほんの少しだけ身を乗り出して、とても大事なことを告げた。
「国が滅びたトリガーは、キミが断頭台に乗ったことだ」
「わ、わたくしが?」
「そう。キミが死んだから国は滅びた。
正確に言えば、滅ぼされた」
誰に、とは。訊けなかった。
思いのほか辛そうな彼の顔が、悔しさを滲ませるその声が、疑問を投げかけることを許さなかった。
「そして、キミが死ぬきっかけになったのは」
「……シャーロットが、殿下と恋に落ちたから」
「そう。あの聖女が、キミからアルベルトを奪ったから」
忌々しげに、彼は吐き捨てる。
「奪うだけで終わらせればよかった。
それだけならあんなことにならなかった。
あろうことか、あの女はキミの死を望んだ」
「なぜ、わたくしが死ななければならなかったのかしら」
死を望まれるようなことを、前回の私がしたとは思えなかった。
前回の記憶はほとんど曖昧で、強烈に焼きついているのは終末の記憶だけ。
だから、前回の人生で、私とシャーロットがどのような関係を築いてきたのかはわからない。
「さあ。それは流石にぼくにもわからないけど」
朗々と語ってきた彼にも、わからないことがあるのだな、と。
ある意味感心している私を見て、ふう、とため息を吐く。
「人間の心は、知れば知るほどわからなくなるものだからね」
哲学的なことを言い、彼は優しく私の手に触れた。
「エレノア。ぼくはキミを死なせたくない」
キミも死にたくはないだろう?と問いかけられて、私は半ば反射的に頷いた。
断頭台の刃が下される、あの刹那。
思い出すだけでも身の毛がよだつ。
「死にたくなんか、ないわ」
「なら、これからキミがやるべきことはひとつだけだ」
そうして名前も知らない、夢の中の男は、まるで私の心の奥底にあったおぞましいものを引っ張り出すように、なんの感情もなく告げた。
「キミが、聖女を断罪するんだ、エレノア」
殿下はお優しいから、きっと私を色々と気遣ってくれたのだろう。
困ったような微笑みと、髪を撫でてくれた柔らかな手の感触だけおぼろげに覚えている。
公爵邸の自室に帰り着いた私は、はしたないとは思いながらも、制服のままベッドに倒れこんだ。
「わたくしは……殿下に捨てられてしまうのね」
ぽつり、独りごちた言葉が、しんと静まり返った部屋に吸い込まれていった。
まざまざと見せつけられた終末の光景が、急速に現実味をおびて私の心を蝕んでいく。
どうして、とか。なぜ、とか。
訊きたいことも言いたいこともたくさんあった。
答えてくれる誰かがいるなら、どうして私があんな終わりを迎えなければならなかったのか、理由を教えて欲しかった。
考えなくてはならないことは山程あるのに。
泥のようにまとわりつく疲労感が、私の思考を奪っていく。
恋をしたいわけではなかった。
愛が欲しいわけでもなかった。
ただ、そう。
この家に生まれたその瞬間から、運命づけられてしまっただけ。
第1王子であるあの方と婚姻を結び、王家との繋がりをより強固に。
それが私に与えられた役割だったから、私はそれを果たそうとしただけだ。
「それが、いけないことだとでも言うの?」
殿下に誇り高き死を望まれるほど。
シャーロットに怨嗟の言葉を吐かれるほど。
私が間違ったことをしたとでも言うのだろうか。
この時代、政略結婚は日常である。
恋愛結婚の夫婦の方が珍しい。
だから
“家のためにこの方のお嫁さんになる“
という私の、幼き日の決意も覚悟も、決して間違ったことではないはずなのに。
シャーロットが殿下に恋をしたから?
殿下がシャーロットを愛したから?
だから私は邪魔者だと。
ふたりの恋路を邪魔する悪役令嬢だとでも言うのだろうか。
「そんなの、おかしいわ」
「そうだね、おかしいね」
びくり、と。体が震えた。
自分ではない誰かの声。
跳ねるように飛び起きた私は、そこが自分の部屋ではないことに驚愕する。
「キミが不幸になる必要なんかないのに」
私はベッドの上に座っていた。
ふわふわでひらひらの、天蓋つきの白いベッド。
そのベッドの脇に頬杖をついて、桃色の長髪を揺らしながら男性が微笑っている。
ふわふわとした巻き毛は、きっと触れたら柔らかいのだろうな、と関係のないことをなんとなく思う。
そしてその彼の向こう側は。
まるで夜空の星々の中にぷかりと浮かびあがってしまったような、まどろみの中で見る瞼の裏の闇のような。
不思議な色をした空間が広がっていた。
ベッドごと放り出された不思議な場所で、唯一現実味のある男性が優しく首を傾ける。
「大丈夫だよ、エレノア。現実のキミはちゃんと眠っているから」
「あなたは……誰?」
「誰、か。そうだね、しいていうなら、キミの心が求めた存在、かな」
「わたくしが……?」
「そう。望んだろう?
“答えてくれる誰かが欲しい“と。
キミが終末を迎えた理由を」
どこか辛そうに、哀れむように。
男性は小さく、かわいそうに、と呟く。
会ったことのない、見かけたこともない人なのに、なぜだろう。
その慈しむような声は、私の心にどこか懐かしく、沁み渡って響いた。
「かわいそうなエレノア。
なにひとつ悪いことなどしていないのに。
聖女に目をつけられたせいで不幸になった」
「聖女……。やっぱりシャーロットは、聖教会の伝承にある聖女なのね?」
「そうだよ。彼女は聖女だ。
1000年に1度産まれるという、建国の女神、マーテルの力を宿した特別な子。
今はまだ力は発現していないけど、それももうまもなく。時間の問題だ」
「それは前回の人生を思い出したキミも、知っているだろう?」
重ねて問いかけられて、私は自信なさげに頷いた。
確かに断片的に思い出した前世(と言っていいのだろうか?)の記憶で、彼女が聖女として覚醒する場面があったと記憶にある。
そしてそれはきっとすぐ近くの未来。
「でもね、エレノア。
聖女は確かに女神マーテルの力を受け継いでいるけれど、それが聖なる力だとは限らないんだよ」
「え?」
建国の女神、マーテル様。
何千年も前。荒れ果てていた大地を甦らせ、アレクシス聖王国を創ったと言われる神様。
現在の国教“女神の盾“教でも、最高位の神様である。
「でも聖典に書いてあるわ。
“聖女は女神マーテルの神聖なる力を宿し、その白き力で、この国を救うだろう“と」
「白きちから、ねぇ」
くす、と意地悪く笑った彼は、なんでも見通してしまいそうなその金色の瞳で、私をそっと見つめた。
「キミが視た彼女の力は、本当に白き力だったかい?」
「……いいえ」
色だけで言えば、確かに思い返せば違った。
シャーロットの力は白くなんかなくてーーこの男性の髪の色と同じ。
桃色だった。
「エレノア、確かに彼女は聖女だ。
でも、聖女だから正しいわけじゃないし、女神だから神聖なわけでもない」
「……その言葉、ノアには絶対聞かせられないわね」
神聖なる建国の女神マーテル。
敬虔な信徒らしく、その教えを信じて疑わないノアに聞かれたら、怒り狂いそうな発言だと思った。
「少なくとも、聖女は国を救わないよ」
キミも視ただろう?と問いかけられて、私は少し考えた後、神妙に頷いた。
そうだ。聖女は国を救わない。
それどころか、私の視た終末の光景が本当に現実のものであるのなら。
国は、あっけなく滅び去るのだから。
「エレノア、これだけは言っておくよ」
彼はほんの少しだけ身を乗り出して、とても大事なことを告げた。
「国が滅びたトリガーは、キミが断頭台に乗ったことだ」
「わ、わたくしが?」
「そう。キミが死んだから国は滅びた。
正確に言えば、滅ぼされた」
誰に、とは。訊けなかった。
思いのほか辛そうな彼の顔が、悔しさを滲ませるその声が、疑問を投げかけることを許さなかった。
「そして、キミが死ぬきっかけになったのは」
「……シャーロットが、殿下と恋に落ちたから」
「そう。あの聖女が、キミからアルベルトを奪ったから」
忌々しげに、彼は吐き捨てる。
「奪うだけで終わらせればよかった。
それだけならあんなことにならなかった。
あろうことか、あの女はキミの死を望んだ」
「なぜ、わたくしが死ななければならなかったのかしら」
死を望まれるようなことを、前回の私がしたとは思えなかった。
前回の記憶はほとんど曖昧で、強烈に焼きついているのは終末の記憶だけ。
だから、前回の人生で、私とシャーロットがどのような関係を築いてきたのかはわからない。
「さあ。それは流石にぼくにもわからないけど」
朗々と語ってきた彼にも、わからないことがあるのだな、と。
ある意味感心している私を見て、ふう、とため息を吐く。
「人間の心は、知れば知るほどわからなくなるものだからね」
哲学的なことを言い、彼は優しく私の手に触れた。
「エレノア。ぼくはキミを死なせたくない」
キミも死にたくはないだろう?と問いかけられて、私は半ば反射的に頷いた。
断頭台の刃が下される、あの刹那。
思い出すだけでも身の毛がよだつ。
「死にたくなんか、ないわ」
「なら、これからキミがやるべきことはひとつだけだ」
そうして名前も知らない、夢の中の男は、まるで私の心の奥底にあったおぞましいものを引っ張り出すように、なんの感情もなく告げた。
「キミが、聖女を断罪するんだ、エレノア」
0
あなたにおすすめの小説
捨てられた悪役はきっと幸せになる
ariya
恋愛
ヴィヴィア・ゴーヴァン公爵夫人は少女小説に登場する悪役だった。
強欲で傲慢で嫌われ者、夫に捨てられて惨めな最期を迎えた悪役。
その悪役に転生していたことに気づいたヴィヴィアは、夫がヒロインと結ばれたら潔く退場することを考えていた。
それまでお世話になった為、貴族夫人としての仕事の一部だけでもがんばろう。
「ヴィヴィア、あなたを愛してます」
ヒロインに惹かれつつあるはずの夫・クリスは愛をヴィヴィアに捧げると言ってきて。
そもそもクリスがヴィヴィアを娶ったのは、王位継承を狙っている疑惑から逃れる為の契約結婚だったはずでは?
愛などなかったと思っていた夫婦生活に変化が訪れる。
※この作品は、人によっては元鞘話にみえて地雷の方がいるかもしれません。また、ヒーローがヤンデレ寄りですので苦手な方はご注意ください。
※表紙はAIです。
存在感のない聖女が姿を消した後 [完]
風龍佳乃
恋愛
聖女であるディアターナは
永く仕えた国を捨てた。
何故って?
それは新たに現れた聖女が
ヒロインだったから。
ディアターナは
いつの日からか新聖女と比べられ
人々の心が離れていった事を悟った。
もう私の役目は終わったわ…
神託を受けたディアターナは
手紙を残して消えた。
残された国は天災に見舞われ
てしまった。
しかし聖女は戻る事はなかった。
ディアターナは西帝国にて
初代聖女のコリーアンナに出会い
運命を切り開いて
自分自身の幸せをみつけるのだった。
捨てられ侯爵令嬢ですが、逃亡先で息子と幸せに過ごしていますので、邪魔しないでください。
蒼月柚希
恋愛
公爵様の呪いは解かれました。
これで、貴方も私も自由です。
……だから、もういいですよね?
私も、自由にして……。
5年後。
私は、ある事情から生まれ育った祖国を離れ、
親切な冒険者パーティーと、その地を治める辺境伯様のご家族に守られながら、
今日も幸せに子育てをしています。
だから貴方も勝手に、お幸せになってくださいね。
私のことは忘れて……。
これは、お互いの思いがこじれ、離れ離れになってしまった一組の夫婦の物語。
はたして、夫婦は無事に、離婚を回避することができるのか?
【完結】政略婚約された令嬢ですが、記録と魔法で頑張って、現世と違って人生好転させます
なみゆき
ファンタジー
典子、アラフィフ独身女性。 結婚も恋愛も経験せず、気づけば父の介護と職場の理不尽に追われる日々。 兄姉からは、都合よく扱われ、父からは暴言を浴びせられ、職場では責任を押しつけられる。 人生のほとんどを“搾取される側”として生きてきた。
過労で倒れた彼女が目を覚ますと、そこは異世界。 7歳の伯爵令嬢セレナとして転生していた。 前世の記憶を持つ彼女は、今度こそ“誰かの犠牲”ではなく、“誰かの支え”として生きることを決意する。
魔法と貴族社会が息づくこの世界で、セレナは前世の知識を活かし、友人達と交流を深める。
そこに割り込む怪しい聖女ー語彙力もなく、ワンパターンの行動なのに攻略対象ぽい人たちは次々と籠絡されていく。
これはシナリオなのかバグなのか?
その原因を突き止めるため、全ての証拠を記録し始めた。
【☆応援やブクマありがとうございます☆大変励みになりますm(_ _)m】
王家を追放された落ちこぼれ聖女は、小さな村で鍛冶屋の妻候補になります
cotonoha garden
恋愛
「聖女失格です。王家にも国にも、あなたはもう必要ありません」——そう告げられた日、リーネは王女でいることさえ許されなくなりました。
聖女としても王女としても半人前。婚約者の王太子には冷たく切り捨てられ、居場所を失った彼女がたどり着いたのは、森と鉄の匂いが混ざる辺境の小さな村。
そこで出会ったのは、無骨で無口なくせに、さりげなく怪我の手当てをしてくれる鍛冶屋ユリウス。
村の事情から「書類上の仮妻」として迎えられたリーネは、鍛冶場の雑用や村人の看病をこなしながら、少しずつ「誰かに必要とされる感覚」を取り戻していきます。
かつては「落ちこぼれ聖女」とさげすまれた力が、今度は村の子どもたちの笑顔を守るために使われる。
そんな新しい日々の中で、ぶっきらぼうな鍛冶屋の優しさや、村人たちのさりげない気遣いが、冷え切っていたリーネの心をゆっくりと溶かしていきます。
やがて、国難を前に王都から使者が訪れ、「再び聖女として戻ってこい」と告げられたとき——
リーネが選ぶのは、きらびやかな王宮か、それとも鉄音の響く小さな家か。
理不尽な追放と婚約破棄から始まる物語は、
「大切にされなかった記憶」を持つ読者に寄り添いながら、
自分で選び取った居場所と、静かであたたかな愛へとたどり着く物語です。
辺境に追放されたガリガリ令嬢ですが、助けた男が第三王子だったので人生逆転しました。~実家は危機ですが、助ける義理もありません~
香木陽灯
恋愛
「そんなに気に食わないなら、お前がこの家を出ていけ!」
実の父と義妹に虐げられ、着の身着のままで辺境のボロ家に追放された伯爵令嬢カタリーナ。食べるものもなく、泥水のようなスープですすり、ガリガリに痩せ細った彼女が庭で拾ったのは、金色の瞳を持つ美しい男・ギルだった。
「……見知らぬ人間を招き入れるなんて、馬鹿なのか?」
「一人で食べるのは味気ないわ。手当てのお礼に一緒に食べてくれると嬉しいんだけど」
二人の奇妙な共同生活が始まる。ギルが獲ってくる肉を食べ、共に笑い、カタリーナは本来の瑞々しい美しさを取り戻していく。しかしカタリーナは知らなかった。彼が王位継承争いから身を隠していた最強の第三王子であることを――。
※ふんわり設定です。
※他サイトにも掲載中です。
出来損ないの私がお姉様の婚約者だった王子の呪いを解いてみた結果→
AK
恋愛
「ねえミディア。王子様と結婚してみたくはないかしら?」
ある日、意地の悪い笑顔を浮かべながらお姉様は言った。
お姉様は地味な私と違って公爵家の優秀な長女として、次期国王の最有力候補であった第一王子様と婚約を結んでいた。
しかしその王子様はある日突然不治の病に倒れ、それ以降彼に触れた人は石化して死んでしまう呪いに身を侵されてしまう。
そんは王子様を押し付けるように婚約させられた私だけど、私は光の魔力を有して生まれた聖女だったので、彼のことを救うことができるかもしれないと思った。
お姉様は厄介者と化した王子を押し付けたいだけかもしれないけれど、残念ながらお姉様の思い通りの展開にはさせない。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる