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第一章

3.間違いを認めさせようとしない

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この本は…
なにか投げてはいけない気がした…
その本を抱えながら、後退りをする…

こんな時に、かわいい女の子の魔法使いなんかが助けに来てくれないかな…

世の中そんなに都合が良いことなんて……

バシュッ!!
豚人間がまさに俺に掴み掛かろうとした瞬間、豚人間の肩に炎の玉が当たっていた。

「ファイアーストーン」
女の子の声がする。

さらに火の玉が豚人間に向かって飛んでくる。
バシュッ!バシュッ!
当たりはしないが、豚人間は後ろへ下がる。

ブオオ!「…とりあえず…」

ん?
豚人間、日本語喋った?やっぱりマスクしてる日本人か?

豚人間は森の奥へ消えていった。

なんだ?この火の玉は…

「大丈夫?」
火の玉が発生した方向を見ると黒髪で小柄、服装は魔法陣がところどころに描いてある緑色のローブを着ていた。

芽照めいか!なんだぁ、驚いた!なに?これ?…あ!モニタリングか!」
それは、妹の芽照(めい)だった。
妹が出てきたんなら素人ドッキリを観察する番組なのだろう。

「あなた…だれ?」

妹からの思いもよらぬ反応。まだカメラは回っているのだろうか?

緑のローブの芽照めいは俺のことがわからないみたいなことを言う。

「は?なに言ってるんだ?」
俺は芽照に近づいた…が様子がおかしい。

なにかブツブツ言ってる…
「ファイアーストーン!」
手を前に伸ばし、こちらに向けた掌から火の玉が、俺の方に飛んでくる!
「ああっ!」咄嗟に頭を隠すと火の玉は後ろに
バシュッ!

何かに当たる音がする。音の方を見ると蛇が黒焦げになっていた。

「あなた、危なかったね。あの蛇、噛まれたら即死であなたを狙っていたよ。」

芽照…?
「芽照、なにを言ってるんだ?」

妹が俺に言う。

「私はエメラルダス。魔法使いだよ。あなたはいったいなにしてたの?」

エメラルダス?
「芽照…じゃないんですか?」

他人かも…と思うと敬語になる

「誰と勘違いしてたの?」
芽照エメラルダスが話しかけてきた。

俺が答えに困っていると、エメラルダスは「あっ!」と声をあげた。

「その本、読んでおくとよい…よ。」

エメラルダスは俺が持っていた「人を動かす」を見て言った。

「えっと、エメラルダスさん…妹ではないのかな…俺の妹そっくりで…ってここはどこですか?」




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