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春風と共に
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「 これからここで生活していけるのかな。」
私、神永 香(カミナガ カオリ)は、同級生が続々と校門をくぐり抜け進んでいく姿を、ただ眺めていた。
同じ中学だった友達は誰一人いない。
誰か知ってる人がいないか少しの期待を胸に、最後の一人まで待つことにしていたが、流れゆく人を眺めているだけで心が折れそうだ。
しかも人見知りの私は、数十人に一人くらいに話しかけてくれる優しい子に、挨拶もできなかった。
友達もできないだろうし先生とも上手くやれる気がしない。高校青春できる気がしない。もうだめだ。ああもう、不安しかない。
人の流れが止まり、私は校門の前に一人立ち深いため息をついた。
これから毎日通るこの校門が、今の私には分厚く巨大な壁にしか思えない。時間が経つにつれ、どんどんその壁が厚くなり私を進ませなかった。
キーンコーンカーンコーン
予鈴がなり覚悟を決め校門の先へ踏み込む。春風が私の背中を押してくれる。よし行ける、そう思った瞬間私よりも大きな影が目の前を遮った。
「 これでクラス確認して早く来いよ。」
突然紙を渡してきたスーツを着た男の人。まっすぐ私を見るその飲み込まれそうなほど澄んだ瞳、少し低く深い声、くしゃっとした笑顔のその人はすぐ走り去った。
渡された紙をみるとマーカー線が3本。私の名前とそのクラスと担任に赤のマーカーがひいてある。
な、なんで??初対面の人なのに気づいて引いてくれたのかな。
1年1組…。咲島先生…
ただ不安だらけだった頭に驚きと疑問が入り交じる。
男の人の後を追うように私も走り、たどり着いたその先は1年1組の教室前。さっきの男の人が呼吸を整えていた。
「あの、さ…咲島…先生ですか?さっきは紙ありがとうございます。えっと、その、このマーカーってなんですか?わ、私、先生達に目つけられてるんですか??」
あの…とひと声掛け、目が合ってからというものの、あの澄んだ瞳に引き込まれているせいか言葉が上手く出てこない。言葉がつまる度、ん?と少し首をかしげながら私の目の前に近づく先生に不覚にもドキドキした。
これが世にいう一目惚れかと思いながらも話を続けると、
「あぁ、さっきの!あの紙間違えて教員用渡しちゃったからお前のはこっちね。マーカーは、まぁ、気にすんな。
目をつけるどころか、先生達全員お前のこと優等生だろうって言ってたから安心しろって。いや、そんなことより早く教室入れよ!」
彼はまたくしゃっと笑いながら私に言いつつ紙を取り替えた。
もちろんそっちにはマーカーなんか引いてなかった。
言われるがまま教室に入る。予鈴がなってから少し時間が経っていたから、クラスのみんなが全員不思議そうな顔でいっせいに私を見つめた。
あぁ、もう最悪だ。このクラスでやって行ける気がしない、第一印象が遅刻ってなんだよ、私の馬鹿。鬱な気持ちを抑え席に座るとすぐに咲島先生がはいり、みんなの視線はそこに向いた。
「1年1組の担任になった咲島 一夜(サキジマ イチヤ)です。先生になって初めて担任をもつから、1年間お互い宜しく。」
さっきのクシャッとした笑顔はどこに消えたのか?先生は笑顔のえの字も見せない真顔で淡々と言い、入学式の説明をした。
私、神永 香(カミナガ カオリ)は、同級生が続々と校門をくぐり抜け進んでいく姿を、ただ眺めていた。
同じ中学だった友達は誰一人いない。
誰か知ってる人がいないか少しの期待を胸に、最後の一人まで待つことにしていたが、流れゆく人を眺めているだけで心が折れそうだ。
しかも人見知りの私は、数十人に一人くらいに話しかけてくれる優しい子に、挨拶もできなかった。
友達もできないだろうし先生とも上手くやれる気がしない。高校青春できる気がしない。もうだめだ。ああもう、不安しかない。
人の流れが止まり、私は校門の前に一人立ち深いため息をついた。
これから毎日通るこの校門が、今の私には分厚く巨大な壁にしか思えない。時間が経つにつれ、どんどんその壁が厚くなり私を進ませなかった。
キーンコーンカーンコーン
予鈴がなり覚悟を決め校門の先へ踏み込む。春風が私の背中を押してくれる。よし行ける、そう思った瞬間私よりも大きな影が目の前を遮った。
「 これでクラス確認して早く来いよ。」
突然紙を渡してきたスーツを着た男の人。まっすぐ私を見るその飲み込まれそうなほど澄んだ瞳、少し低く深い声、くしゃっとした笑顔のその人はすぐ走り去った。
渡された紙をみるとマーカー線が3本。私の名前とそのクラスと担任に赤のマーカーがひいてある。
な、なんで??初対面の人なのに気づいて引いてくれたのかな。
1年1組…。咲島先生…
ただ不安だらけだった頭に驚きと疑問が入り交じる。
男の人の後を追うように私も走り、たどり着いたその先は1年1組の教室前。さっきの男の人が呼吸を整えていた。
「あの、さ…咲島…先生ですか?さっきは紙ありがとうございます。えっと、その、このマーカーってなんですか?わ、私、先生達に目つけられてるんですか??」
あの…とひと声掛け、目が合ってからというものの、あの澄んだ瞳に引き込まれているせいか言葉が上手く出てこない。言葉がつまる度、ん?と少し首をかしげながら私の目の前に近づく先生に不覚にもドキドキした。
これが世にいう一目惚れかと思いながらも話を続けると、
「あぁ、さっきの!あの紙間違えて教員用渡しちゃったからお前のはこっちね。マーカーは、まぁ、気にすんな。
目をつけるどころか、先生達全員お前のこと優等生だろうって言ってたから安心しろって。いや、そんなことより早く教室入れよ!」
彼はまたくしゃっと笑いながら私に言いつつ紙を取り替えた。
もちろんそっちにはマーカーなんか引いてなかった。
言われるがまま教室に入る。予鈴がなってから少し時間が経っていたから、クラスのみんなが全員不思議そうな顔でいっせいに私を見つめた。
あぁ、もう最悪だ。このクラスでやって行ける気がしない、第一印象が遅刻ってなんだよ、私の馬鹿。鬱な気持ちを抑え席に座るとすぐに咲島先生がはいり、みんなの視線はそこに向いた。
「1年1組の担任になった咲島 一夜(サキジマ イチヤ)です。先生になって初めて担任をもつから、1年間お互い宜しく。」
さっきのクシャッとした笑顔はどこに消えたのか?先生は笑顔のえの字も見せない真顔で淡々と言い、入学式の説明をした。
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