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21話 戴冠
次の日、カルナートの街の住人と、避難して生きた人達が王城の広場へと集められた。
控え室の窓から見た人々は誰も彼も、周りの人達と何か言葉を交わしている。これから何が発表されるのか予想しているのだろう。
そこには二種類の人間が見受けられた。片方は、小汚い格好をし疲れた様子の避難民。もう片方は、清潔な服を着ているが、そわそわとしているこの街に元から住んでいる住人達だ。
僕は、そんな彼らを控え室の窓から見ていた。
控え室で僕は、急遽あつらえられた礼服を身に纏い、髪をメイドさんにセットしてもらっていた。
教会にいた頃のパーティではこんな事されなかったんだけどな。あの頃はハイこれ着てねって感じで礼服を渡されただけだったし。
「アマタ様お時間です」
「はい」
案内された場所には既に、フォニアさんが待っていた。そこにはフォニアさんだけではなく、スベン公国の主だったものが集まり、開始の時を待っていた。
「お待たせしました」
僕が一番最後だったらしく謝った。
「いえ、私も今来たところです。では行きましょう」
まるでデートに来た時のような会話だが、これからする事は、そんな甘いものではない。これからするのは、多くの人間の人生を左右する事になる。重要な儀式なのだ。
フォニアさんが手で合図を出すと、外でラッパが鳴った。
「公女殿下フォニア・ダリル・スベン様の御成り!」
ラッパの音が鳴り、儀仗兵の声が響くと、ここまで聞こえてきていた人々のざわめきが止んだ。
カーテンが開かれ、外の光が廊下へと差し、眩しかった僕は目を細めた。
カーテンの先にあったのは大きなテラスだった。そこからは広場に居る人々が一望できる。
眼下、不安げな人々は、テラスから出てきた人を見て息を飲んだ。
現れたのは漆黒のドレスを纏い王冠を被ったフォニアさんだったからだ。
僕は、そのフォニアさんの右斜め後ろを歩き、反対側にガルロックさんが歩いている。
「皆、良く集まってくれました。今日私は、重大な発表をする為に皆を呼んだのです。それは、私の父にしてスベン公国公王ダリル・ガレイロス・スベンは、首都ハイレルゲンを脱出する際におった傷により、逝去されました。父は最期まで国民を愛し、そして心配して逝きました…」
フォニアさんの、声が広場に響く。
人々から、嘆きと絶望の吐息が漏れた。それをフォニアさんは冷静に見ていた。
「私は病床の父より後継を指名され、後を託されました。私は、ここに宣言いたします。父の後を継ぎ、私、フォニア・ダリル・スベンがスベン公国公王として即位し、この国を守る事を!そして私は、勝利するまで黒い喪服しか着ない事を!」
そこでフォニアさんは言葉を区切ると民衆を見回した。民衆達からの視線には驚愕と不安が込められていた。
黒い喪服しか着ないという事は、自身の女としての人生を捨てるという事を意味するらしい。つまり彼女は、勝利するまで女性としての幸せを捨て、スベン公国に全てを奉げると宣言したのだ。
それを受けていながらもフォニアさんは静かな口調で再び話し出した。
「不安に思う者も居るでしょう。小娘に何が出来ると思う者も居るでしょう。そう思うのも無理はありません。故に、この国から脱出したいものが居れば後で申し出なさい。今の私達に出来る最大限の援助をして送り出しましょう。ですが私は、ここに留まり戦います。幸い、我が国は、異世界の戦士、デアフレムデ様がいらっしゃって下さいました。皆も見たでしょう?あの巨大なアポリオン ギメランタイマイの死体を。あの化け物を討ったのがデアフレムデ様が召喚し、操るザムと呼ばれる鉄巨人です。しかもデアフレムデ殿の召喚するザムは複数召喚出来ます。御覧なさい!」
僕は、前に出る。緊張で自分の足がガクガクと小さく震えているのが分かる。ここで失敗したら全てが台無しだ。段取りどおり前に出るとザムを召喚する。
「2コール!GS-06Bザム!」
あらかじめ、開けていたテラスの左右に広場にザムが同時に召喚される。召喚設計図が、左右の空き地に現れ、二機のザムが顕現する。
突然現れたザムの威容に民衆は息をのんだ
「しかもこれらの鉄巨人はデアフレムデ様のご好意により、我らでも乗り、戦う事が出来るのです!」
その宣言に、民衆がざわつく。ザムの力はカルナートを襲ったアポリオンを迎撃していた兵士達から既に街の人々に伝わっている。
「もう我々は、アバドンから逃げ回るだけでの存在では無いのです!勇者様に頼るだけでなく、共に戦う事が出来るのです!自らの手で、街を破壊し、親を、恋人を、友を、我々の大切な人々を殺した憎きアポリオンを討つ事が出来るのです!」
その言葉に奮い立った民の一人が叫んだ。
「やってやる!アポリオンなんざに奪わせねぇ!」
それは伝染し、疲弊した心に火を炎を点す。奪われ続け、怯え続け、逃げ続けるしかなかった人々の心に希望と言う火が灯る。
「そうよ!もう逃げるのは嫌よ!」
「取り戻すんだ!俺達の国を!俺達の街を!俺達の家を!」
広場が熱狂に包まれる中、フォニアさんはスッと手を上げた。
その瞬間、その場に居た人間が一斉に口をつぐんだ。
「いいでしょう!スベン公国はこれより、アポリオンより我らの地を取り返すのです!皆のもの心なさい!これより我らは…これより我らは、アポリオンを駆逐し、故郷を奪還します!スベン公国に栄光あれ!」
「「「うぉおおおおおおおおおおおお!」」」
「新女王陛下万歳!スベン公国に栄光あれ!」
「「新女王陛下万歳!スベン公国に栄光あれ!」
「「「新女王陛下万歳!スベン公国に栄光あれ!」」
「「「「新女王陛下万歳!スベン公国に栄光あれ!」」」
「「「「「新女王陛下万歳!スベン公国に栄光あれ!」」」
民衆の声援を受けつつ、フォニアさんは、テラスを後にした。僕とガルロックさんは、その後に追従する。僕らがテラスから廊下に入ると、カーテンが閉められた。
カーテンが閉められると、フォニアさんは途端にへたり込んだ。すぐにリーリアさんが寄り添い体を支える。
「お疲れ様でした陛下…」
「こっ怖かった。私は、ちゃんとやれたでしょうか?」
先ほどまでの怖い程凛としていた様子からは打って変わり、そこには年相応の少女しか居なかった。
「大丈夫です。陛下。あの声をお聞き下さい。今まで諦め無気力だった民達が、あんなにも声を上げているのです。大成功です」
「ふぅ。私は、正しい事をしたのでしょうか?民を無為な戦いに引きずり込んだのでは無いのでしょうか?」
「僕にもっと力があれば、良かったんですが…」
僕に神霊機並みの力のあるロボを召喚出来るか、ザムが無人で使えれば良かったのだが。ザムを召喚出来てもそれを操るパイロットは召喚出来ない。どうしても生身のパイロットが必要なのだ。パイロットが居なければザムは動かない。戦えない。僕の能力の欠陥の一つといえるだろう。だからこそ、僕の力を十全に発揮して戦うには、仲間が、ザムに乗り戦う兵士が必要なのだ。
「そんな!そうではないのです」
慌てた様子で否定するフォニアさんの隣に居たガルロックさんが口を開いた。
「これで良いのです。陛下。勇者様の力だけで取り戻した地に何の意味がありましょう?デアフレムデ殿。我々は感謝しているのです。我々はアポリオンに無力でした。何とか防ぐ事が出来ても反撃する事は出来なかった。我々の無念は何処へ行けばよいのですか?我々は無念を晴らさねばいけないのです。それが自らの血を対価として差し出したとしても…。デアフレムデ殿に感謝を。我々に戦う機会を与えてくれた事を心から感謝いたします」
そう言うと彼は僕に向かって深々と頭を下げた。
国民に対する発表の後、会議が開催された。
城の会議室には、大きなテーブルがあり、ガルロックさんを含むいかにも武官と、言った人間と、いかにも文官と言った人が集まり、話し合っている。
一番の上座には王冠をかぶったフォニアさんが座り、その斜め後ろにはリーリアさんが立っている。僕は、フォニアさんの斜め前の席に座っていた。
フォニアさんは黒い喪服を着たまま参加している。
防衛会議と言ってもその内容に、明るいものは殆ど無い。問題ばかりが山積みだ。
だが、フォニアさんは方針を決定した。アバドンを駆逐し、失地を奪還すると。
その場に居た、文官達が、方針に沿って色々な計画を立てていく。食料の確保の方法や、今後諸外国との対応などの話になる。そんな難しい話は、答えられないので、黙っているしかない。
色々な事が決まっていき、そしてとうとう軍に関する話になった。
どの提案も、基本的には前に教えてもらった戦術の焼き直しだ。ただ、勇者の成長を待つという部分が、ザムの量産を待つに変わっただけだ。
「よろしいでしょうか?」
僕は意を決して手を上げた。
「何でしょうか?アマタ様何か意見でも?」
「はい。正直言わせていただきます。この様な守りに徹する戦術では、スベン公国を守る事は出来ません」
そういった瞬間会議場の空気が凍った。
この国のおいて僕は、うぬぼれで無く希望の光だといって良い。ザムは、軽々とアバドンの群れを屠る事が出来る力があり、何より、時間は掛かるが、資材ポイントのある限り召喚し数を増やせる。それに希望を見出していたはずだ。これで国が守れると。しかし、その希望の光を生み出す事の出来る僕からそれを否定された。空気の一つも凍るという物だろう。
「ゆえに僕は、作戦の変更…いや、軍の組織改革を提言させていただきます。敵はこちらが戦力を2増やしている間に敵は5も10も増やしてくるような奴らです。こんな相手に待ちの戦法は自殺行為です。であるならばどうするか?決まっています。こちらの戦力を増やしつつ、敵の戦力を削るしかありません」
「馬鹿な!そんな事は神霊機の無い我が国には不可能だ!」
名前の知らない若い武官と思われる人が反論した。
「出来なければ、この国は滅びます。敵の圧倒的な数によって。今この瞬間にもアポリオンは、無数に数を増やしています。ですが、こちらが増やせる戦力は一日二機。勝負になりません」
「ならどうしろと言うのだ!」
「当然、今出せる戦力で、相手の戦力を削ります。ザムが3機もあれば、アバドンの小集団相手なら余裕で勝つ事が出来ます。ですので、ザム3機を小隊とした遊撃部隊をつくり、孤立したアバドンの集団を各個撃破する。こうすればこちらの数を減らさずに相手を減らす事が出来ます」
「話にならん!なら、誰がその孤立したアバドンの集団とか言う都合の良い物を見つけてくるのだ!」
いかにも武官と言った壮年の男性がテーブルを叩きながら言った。
「そうだ。そんなの無理だ!奴らは人の気配に敏感だ。下手に近づけばすぐに気付かれるぞ」
他の参加者達からも無理だとか、不可能だとかの批判が上がる。ここまでは、セリアさんがした反応の通りだ。
「ちょっと値は張りますが偵察用にザムと面白いオプションが召喚出来るようになりました。それを使います」
「何だと!?どんな機体なのだ?強いのか?」
ロボットの評価が強いか弱いかだけなのは、少々脳筋すぎやしませんかね?
「偵察用は偵察用です。武器は一切持っておらず、攻撃能力は一切ありません」
そう言った時、会議に参加しているメンバーからため息が漏れた。
この人達が求めているのは、強さなのだ。神霊機のように敵を一掃する攻撃力が。これは一種の神霊機による弊害の一つだろう。神霊機至上主義とも言える思想。あのガウス大司教が重度に罹患しているであろう病気だ。神霊機でなければ、勇者でなければ、それがなんであれ大したものではないと言う考え。
僕のザムは量産できるが、神霊機には、攻撃力、防御力、機動力、どのスペックにおいても遠く及ばない。
だが、量産機は量産機ゆえの多様性と量産性を持っている。それは、神霊機の持つ力と比べても遜色ないモノだと僕は知っている。
「ですが、そのザムは良い目と良い耳を持ってます。それによりアバドンの知覚範囲の外から見つけ、その居場所を、遊撃隊へと知らせます。遊撃隊はその指示に従いつつ、アバドンを殲滅。そして、敵が集まってくる前に撤退。これを繰り返し、敵の数を削ります。これにより、アポリオンを間引き、大襲撃などを未然に防ぎます。そして、もう一つ。その戦法を効率よく行う為に、公国の防衛体制の抜本的改革が必要です。理由は、スベン公国軍の情報伝達の遅さです。敵が今何処に幾つ居て、何をしているのかが、何処に居たとしても分かれば、戦いのイニシアチブを取れます」
この世界で情報伝達の遅い。この世界での通信方法は中世と殆ど変わらない。狼煙や、旗、伝令、それに伝書鳩。デジタル機器があふれる世界で暮らしている僕達異世界人からするとあくびが出るほど通信速度が遅い。これではたとえザムが量産出来たとしても、とてもではないが、アバドンとの戦いに勝てるとは僕には思えなかった。
僕は、ザムを使ってこの世界で元の世界であった様な情報網と、それを使った高度な通信指揮能力を持った軍隊を作ろうとしている。
僕が生き延びる為に。中途半端でにわかな戦争知識を使って。
とは言え僕は、所詮はちょっと力を持ったガキでしかない事も分かっている。こんな事言い出したって誰もうんとは言わないだろう。
実際、僕を見ているお偉方の目が厳しい。
「ですが、皆様の中にも僕の様な青二才が言っても、皆さんは納得しない事でしょう。なので私にそれを証明する機会をください。実験小隊の設立の許可を頂きたいのです」
「実験小隊?」
「はい、私の今言った事を実践する部隊です。戦力としてザムを四機、そして偵察用のザムを一機。計5機のザムと、それらを運用する人員及び、資材ポイントを頂きたい。それで証明してみせます」
「その必要はありません」
僕の提案を、フォニアさんは、予想に反して即座に否定した。
何で!?
「フォニアさん!今の戦術のままではダメなんです!」
「最後まで聞いてください。今この瞬間から貴方をスベン公国軍の大将に任じます。そして我が軍を一から作り直しなさい」
「え?今何て?」
今なんていった大将?ハハハ。俺の耳なんか壊れた?
「必要なのでしょう?改革が。私達はもう一蓮托生です。それにザムを一番良く知っているのはアマタ様です。ならば、その効率的な運用方法もアマタ様が一番分かるはずです」
「でも、青二才の僕がいきなりそんな事をしても、他の人達が…」
「そんな事はありませぬ!」
言いかけた時、ガルロックさんが割って入った。
「既にデアフレムデ殿は、我らを救っていただきました。そのお力は既に示されている。我らがデアフレムデ殿に従うのに、いとう理由はありません。まぁこの国から逃げてった連中だったら言いそうだがな!」
ガルロックさんがそう言うと、会議室の中に笑いが起きた。
「ですが、僕が間違ったら…皆さんに迷惑が…」
「であれば、そうなる前に我らが助言し、時には苦言を存分に呈させていただきますのでご心配なく」
「と言う訳です。存分にやってください」
「ありがとうございます。それでは全力で当たらせていただきます。また、皆様の協力もよろしくお願いいたします」
僕は立ち上がると会議室に居る人達に頭を下げた。するとパチパチと会議に参加していた人達から拍手で迎えられた。
フォニアさんはそれを見て、満足そうに微笑んでいる。
「では、これにて会議は終了とします!各自の奮闘を期待します」
最後はフォニアさんによる宣言を持って会議は終了した。
控え室の窓から見た人々は誰も彼も、周りの人達と何か言葉を交わしている。これから何が発表されるのか予想しているのだろう。
そこには二種類の人間が見受けられた。片方は、小汚い格好をし疲れた様子の避難民。もう片方は、清潔な服を着ているが、そわそわとしているこの街に元から住んでいる住人達だ。
僕は、そんな彼らを控え室の窓から見ていた。
控え室で僕は、急遽あつらえられた礼服を身に纏い、髪をメイドさんにセットしてもらっていた。
教会にいた頃のパーティではこんな事されなかったんだけどな。あの頃はハイこれ着てねって感じで礼服を渡されただけだったし。
「アマタ様お時間です」
「はい」
案内された場所には既に、フォニアさんが待っていた。そこにはフォニアさんだけではなく、スベン公国の主だったものが集まり、開始の時を待っていた。
「お待たせしました」
僕が一番最後だったらしく謝った。
「いえ、私も今来たところです。では行きましょう」
まるでデートに来た時のような会話だが、これからする事は、そんな甘いものではない。これからするのは、多くの人間の人生を左右する事になる。重要な儀式なのだ。
フォニアさんが手で合図を出すと、外でラッパが鳴った。
「公女殿下フォニア・ダリル・スベン様の御成り!」
ラッパの音が鳴り、儀仗兵の声が響くと、ここまで聞こえてきていた人々のざわめきが止んだ。
カーテンが開かれ、外の光が廊下へと差し、眩しかった僕は目を細めた。
カーテンの先にあったのは大きなテラスだった。そこからは広場に居る人々が一望できる。
眼下、不安げな人々は、テラスから出てきた人を見て息を飲んだ。
現れたのは漆黒のドレスを纏い王冠を被ったフォニアさんだったからだ。
僕は、そのフォニアさんの右斜め後ろを歩き、反対側にガルロックさんが歩いている。
「皆、良く集まってくれました。今日私は、重大な発表をする為に皆を呼んだのです。それは、私の父にしてスベン公国公王ダリル・ガレイロス・スベンは、首都ハイレルゲンを脱出する際におった傷により、逝去されました。父は最期まで国民を愛し、そして心配して逝きました…」
フォニアさんの、声が広場に響く。
人々から、嘆きと絶望の吐息が漏れた。それをフォニアさんは冷静に見ていた。
「私は病床の父より後継を指名され、後を託されました。私は、ここに宣言いたします。父の後を継ぎ、私、フォニア・ダリル・スベンがスベン公国公王として即位し、この国を守る事を!そして私は、勝利するまで黒い喪服しか着ない事を!」
そこでフォニアさんは言葉を区切ると民衆を見回した。民衆達からの視線には驚愕と不安が込められていた。
黒い喪服しか着ないという事は、自身の女としての人生を捨てるという事を意味するらしい。つまり彼女は、勝利するまで女性としての幸せを捨て、スベン公国に全てを奉げると宣言したのだ。
それを受けていながらもフォニアさんは静かな口調で再び話し出した。
「不安に思う者も居るでしょう。小娘に何が出来ると思う者も居るでしょう。そう思うのも無理はありません。故に、この国から脱出したいものが居れば後で申し出なさい。今の私達に出来る最大限の援助をして送り出しましょう。ですが私は、ここに留まり戦います。幸い、我が国は、異世界の戦士、デアフレムデ様がいらっしゃって下さいました。皆も見たでしょう?あの巨大なアポリオン ギメランタイマイの死体を。あの化け物を討ったのがデアフレムデ様が召喚し、操るザムと呼ばれる鉄巨人です。しかもデアフレムデ殿の召喚するザムは複数召喚出来ます。御覧なさい!」
僕は、前に出る。緊張で自分の足がガクガクと小さく震えているのが分かる。ここで失敗したら全てが台無しだ。段取りどおり前に出るとザムを召喚する。
「2コール!GS-06Bザム!」
あらかじめ、開けていたテラスの左右に広場にザムが同時に召喚される。召喚設計図が、左右の空き地に現れ、二機のザムが顕現する。
突然現れたザムの威容に民衆は息をのんだ
「しかもこれらの鉄巨人はデアフレムデ様のご好意により、我らでも乗り、戦う事が出来るのです!」
その宣言に、民衆がざわつく。ザムの力はカルナートを襲ったアポリオンを迎撃していた兵士達から既に街の人々に伝わっている。
「もう我々は、アバドンから逃げ回るだけでの存在では無いのです!勇者様に頼るだけでなく、共に戦う事が出来るのです!自らの手で、街を破壊し、親を、恋人を、友を、我々の大切な人々を殺した憎きアポリオンを討つ事が出来るのです!」
その言葉に奮い立った民の一人が叫んだ。
「やってやる!アポリオンなんざに奪わせねぇ!」
それは伝染し、疲弊した心に火を炎を点す。奪われ続け、怯え続け、逃げ続けるしかなかった人々の心に希望と言う火が灯る。
「そうよ!もう逃げるのは嫌よ!」
「取り戻すんだ!俺達の国を!俺達の街を!俺達の家を!」
広場が熱狂に包まれる中、フォニアさんはスッと手を上げた。
その瞬間、その場に居た人間が一斉に口をつぐんだ。
「いいでしょう!スベン公国はこれより、アポリオンより我らの地を取り返すのです!皆のもの心なさい!これより我らは…これより我らは、アポリオンを駆逐し、故郷を奪還します!スベン公国に栄光あれ!」
「「「うぉおおおおおおおおおおおお!」」」
「新女王陛下万歳!スベン公国に栄光あれ!」
「「新女王陛下万歳!スベン公国に栄光あれ!」
「「「新女王陛下万歳!スベン公国に栄光あれ!」」
「「「「新女王陛下万歳!スベン公国に栄光あれ!」」」
「「「「「新女王陛下万歳!スベン公国に栄光あれ!」」」
民衆の声援を受けつつ、フォニアさんは、テラスを後にした。僕とガルロックさんは、その後に追従する。僕らがテラスから廊下に入ると、カーテンが閉められた。
カーテンが閉められると、フォニアさんは途端にへたり込んだ。すぐにリーリアさんが寄り添い体を支える。
「お疲れ様でした陛下…」
「こっ怖かった。私は、ちゃんとやれたでしょうか?」
先ほどまでの怖い程凛としていた様子からは打って変わり、そこには年相応の少女しか居なかった。
「大丈夫です。陛下。あの声をお聞き下さい。今まで諦め無気力だった民達が、あんなにも声を上げているのです。大成功です」
「ふぅ。私は、正しい事をしたのでしょうか?民を無為な戦いに引きずり込んだのでは無いのでしょうか?」
「僕にもっと力があれば、良かったんですが…」
僕に神霊機並みの力のあるロボを召喚出来るか、ザムが無人で使えれば良かったのだが。ザムを召喚出来てもそれを操るパイロットは召喚出来ない。どうしても生身のパイロットが必要なのだ。パイロットが居なければザムは動かない。戦えない。僕の能力の欠陥の一つといえるだろう。だからこそ、僕の力を十全に発揮して戦うには、仲間が、ザムに乗り戦う兵士が必要なのだ。
「そんな!そうではないのです」
慌てた様子で否定するフォニアさんの隣に居たガルロックさんが口を開いた。
「これで良いのです。陛下。勇者様の力だけで取り戻した地に何の意味がありましょう?デアフレムデ殿。我々は感謝しているのです。我々はアポリオンに無力でした。何とか防ぐ事が出来ても反撃する事は出来なかった。我々の無念は何処へ行けばよいのですか?我々は無念を晴らさねばいけないのです。それが自らの血を対価として差し出したとしても…。デアフレムデ殿に感謝を。我々に戦う機会を与えてくれた事を心から感謝いたします」
そう言うと彼は僕に向かって深々と頭を下げた。
国民に対する発表の後、会議が開催された。
城の会議室には、大きなテーブルがあり、ガルロックさんを含むいかにも武官と、言った人間と、いかにも文官と言った人が集まり、話し合っている。
一番の上座には王冠をかぶったフォニアさんが座り、その斜め後ろにはリーリアさんが立っている。僕は、フォニアさんの斜め前の席に座っていた。
フォニアさんは黒い喪服を着たまま参加している。
防衛会議と言ってもその内容に、明るいものは殆ど無い。問題ばかりが山積みだ。
だが、フォニアさんは方針を決定した。アバドンを駆逐し、失地を奪還すると。
その場に居た、文官達が、方針に沿って色々な計画を立てていく。食料の確保の方法や、今後諸外国との対応などの話になる。そんな難しい話は、答えられないので、黙っているしかない。
色々な事が決まっていき、そしてとうとう軍に関する話になった。
どの提案も、基本的には前に教えてもらった戦術の焼き直しだ。ただ、勇者の成長を待つという部分が、ザムの量産を待つに変わっただけだ。
「よろしいでしょうか?」
僕は意を決して手を上げた。
「何でしょうか?アマタ様何か意見でも?」
「はい。正直言わせていただきます。この様な守りに徹する戦術では、スベン公国を守る事は出来ません」
そういった瞬間会議場の空気が凍った。
この国のおいて僕は、うぬぼれで無く希望の光だといって良い。ザムは、軽々とアバドンの群れを屠る事が出来る力があり、何より、時間は掛かるが、資材ポイントのある限り召喚し数を増やせる。それに希望を見出していたはずだ。これで国が守れると。しかし、その希望の光を生み出す事の出来る僕からそれを否定された。空気の一つも凍るという物だろう。
「ゆえに僕は、作戦の変更…いや、軍の組織改革を提言させていただきます。敵はこちらが戦力を2増やしている間に敵は5も10も増やしてくるような奴らです。こんな相手に待ちの戦法は自殺行為です。であるならばどうするか?決まっています。こちらの戦力を増やしつつ、敵の戦力を削るしかありません」
「馬鹿な!そんな事は神霊機の無い我が国には不可能だ!」
名前の知らない若い武官と思われる人が反論した。
「出来なければ、この国は滅びます。敵の圧倒的な数によって。今この瞬間にもアポリオンは、無数に数を増やしています。ですが、こちらが増やせる戦力は一日二機。勝負になりません」
「ならどうしろと言うのだ!」
「当然、今出せる戦力で、相手の戦力を削ります。ザムが3機もあれば、アバドンの小集団相手なら余裕で勝つ事が出来ます。ですので、ザム3機を小隊とした遊撃部隊をつくり、孤立したアバドンの集団を各個撃破する。こうすればこちらの数を減らさずに相手を減らす事が出来ます」
「話にならん!なら、誰がその孤立したアバドンの集団とか言う都合の良い物を見つけてくるのだ!」
いかにも武官と言った壮年の男性がテーブルを叩きながら言った。
「そうだ。そんなの無理だ!奴らは人の気配に敏感だ。下手に近づけばすぐに気付かれるぞ」
他の参加者達からも無理だとか、不可能だとかの批判が上がる。ここまでは、セリアさんがした反応の通りだ。
「ちょっと値は張りますが偵察用にザムと面白いオプションが召喚出来るようになりました。それを使います」
「何だと!?どんな機体なのだ?強いのか?」
ロボットの評価が強いか弱いかだけなのは、少々脳筋すぎやしませんかね?
「偵察用は偵察用です。武器は一切持っておらず、攻撃能力は一切ありません」
そう言った時、会議に参加しているメンバーからため息が漏れた。
この人達が求めているのは、強さなのだ。神霊機のように敵を一掃する攻撃力が。これは一種の神霊機による弊害の一つだろう。神霊機至上主義とも言える思想。あのガウス大司教が重度に罹患しているであろう病気だ。神霊機でなければ、勇者でなければ、それがなんであれ大したものではないと言う考え。
僕のザムは量産できるが、神霊機には、攻撃力、防御力、機動力、どのスペックにおいても遠く及ばない。
だが、量産機は量産機ゆえの多様性と量産性を持っている。それは、神霊機の持つ力と比べても遜色ないモノだと僕は知っている。
「ですが、そのザムは良い目と良い耳を持ってます。それによりアバドンの知覚範囲の外から見つけ、その居場所を、遊撃隊へと知らせます。遊撃隊はその指示に従いつつ、アバドンを殲滅。そして、敵が集まってくる前に撤退。これを繰り返し、敵の数を削ります。これにより、アポリオンを間引き、大襲撃などを未然に防ぎます。そして、もう一つ。その戦法を効率よく行う為に、公国の防衛体制の抜本的改革が必要です。理由は、スベン公国軍の情報伝達の遅さです。敵が今何処に幾つ居て、何をしているのかが、何処に居たとしても分かれば、戦いのイニシアチブを取れます」
この世界で情報伝達の遅い。この世界での通信方法は中世と殆ど変わらない。狼煙や、旗、伝令、それに伝書鳩。デジタル機器があふれる世界で暮らしている僕達異世界人からするとあくびが出るほど通信速度が遅い。これではたとえザムが量産出来たとしても、とてもではないが、アバドンとの戦いに勝てるとは僕には思えなかった。
僕は、ザムを使ってこの世界で元の世界であった様な情報網と、それを使った高度な通信指揮能力を持った軍隊を作ろうとしている。
僕が生き延びる為に。中途半端でにわかな戦争知識を使って。
とは言え僕は、所詮はちょっと力を持ったガキでしかない事も分かっている。こんな事言い出したって誰もうんとは言わないだろう。
実際、僕を見ているお偉方の目が厳しい。
「ですが、皆様の中にも僕の様な青二才が言っても、皆さんは納得しない事でしょう。なので私にそれを証明する機会をください。実験小隊の設立の許可を頂きたいのです」
「実験小隊?」
「はい、私の今言った事を実践する部隊です。戦力としてザムを四機、そして偵察用のザムを一機。計5機のザムと、それらを運用する人員及び、資材ポイントを頂きたい。それで証明してみせます」
「その必要はありません」
僕の提案を、フォニアさんは、予想に反して即座に否定した。
何で!?
「フォニアさん!今の戦術のままではダメなんです!」
「最後まで聞いてください。今この瞬間から貴方をスベン公国軍の大将に任じます。そして我が軍を一から作り直しなさい」
「え?今何て?」
今なんていった大将?ハハハ。俺の耳なんか壊れた?
「必要なのでしょう?改革が。私達はもう一蓮托生です。それにザムを一番良く知っているのはアマタ様です。ならば、その効率的な運用方法もアマタ様が一番分かるはずです」
「でも、青二才の僕がいきなりそんな事をしても、他の人達が…」
「そんな事はありませぬ!」
言いかけた時、ガルロックさんが割って入った。
「既にデアフレムデ殿は、我らを救っていただきました。そのお力は既に示されている。我らがデアフレムデ殿に従うのに、いとう理由はありません。まぁこの国から逃げてった連中だったら言いそうだがな!」
ガルロックさんがそう言うと、会議室の中に笑いが起きた。
「ですが、僕が間違ったら…皆さんに迷惑が…」
「であれば、そうなる前に我らが助言し、時には苦言を存分に呈させていただきますのでご心配なく」
「と言う訳です。存分にやってください」
「ありがとうございます。それでは全力で当たらせていただきます。また、皆様の協力もよろしくお願いいたします」
僕は立ち上がると会議室に居る人達に頭を下げた。するとパチパチと会議に参加していた人達から拍手で迎えられた。
フォニアさんはそれを見て、満足そうに微笑んでいる。
「では、これにて会議は終了とします!各自の奮闘を期待します」
最後はフォニアさんによる宣言を持って会議は終了した。
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