死神の神子と魔弾の機工士

ナカジマ

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第4章

第166話 次の扉へ

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 青白い人型の集団との戦闘は終息が見え始めている。減少に対して増援が追い付かなくなり、少しずつ数を減らしている。
 解決方法がこれで合っていたのか清志せいじとアイナには分からない。ただ力技でも突破出来そうな現状を鑑みればこれで良いのだろうと敵を減らし続ける。
 特に今回はアイナとの相性が抜群に良かったのもあり、苦戦と言う程の苦労はしていない。

「ほらほら! どんどん来なさい!」

 アイナは二丁拳銃からサブマシンガンの二丁持ちに切り替えて、大量の魔力弾をばら撒いている。
 瞬間的に大量の魔力弾を吐き出す銃口から、紫色の魔力光が迸る。銃口が光を発する度に、次々と青白い人型は消滅していく。
 物量で勝負して来る相手には、同じく物量で対抗出来るのがアイナの強みである。

 兵器に限定されるという欠点はあるものの、大量の魔力をもって銃火器を扱う事が出来る。
 魂と接続している工房では常に魔力炉が稼働し、銃弾や兵器を生成し続ける事が出来る。
 今回は魔力弾で良いので、弾丸を生成する必要はない。

「流石だな、こういう時はアイナの独壇場だな」

 清志は大鎌を振るい的確に数を減らしていくが、どうしても殲滅速度はアイナより遅い。
 どちらかと言えば近接型である清志と、遠距離に強いアイナとの差が出る戦場だった。
 全力を出せばもっとペースは上がるのだが、この先の展開が分からない状況で力を出し切るのは不味い。

 後先を考えたペースで戦うと、どうしてもこうなってしまう。ただこの2人はこれで良いのだ。
 適材適所、向き不向きと得手不得手がそれぞれ違うからこそ。全く同じ能力である必要は無い。
 足りない部分をお互いに補い合うからこそ、パートナーとして組む意味がある。

「さあペースを上げるわよ!」

 アイナの両脇の空間から、ガトリング砲の砲身が出現する。駆動音が少しずつ大きくなっていき、砲身が回転を始める。
 回転速度がピークに到達すると、サブマシンガンを上回る速度で魔力弾が発射されていく。
 清志の居る方向を避ける形でアイナは薙ぎ払っていく。暫くすると、扇状に何も居ない空間が出来上がる。
 完全にアイナと清志の殲滅速度が増援を大きく上回った瞬間だった。

「よし! この調子ね!」

「これで終わりだと良いんだけどね」

 2人は再び広場の中央で再び背中合わせになる。周囲を見る限りでは、もう100は居ないだろう。
 50よりは多いかという残った人型達に向けて、最後のスパートを掛ける2人。清志が広範囲にダメージを与える竜巻を魔術で発生させる。
 アイナが先程と同様にガトリングを掃射して追い打ちをかけて行く。長い戦いも終わりが近付き、残る人型はもう数体のみ。
 アイナはいつもの二丁拳銃に持ち替えて、的確に撃ち抜いて行く。清志が瞬時に距離を詰めて大鎌を振るう。
 最後の1体にアイナの魔力弾が突き刺さり、青白い人型は消えていく。

「終わった……のか?」

「多分、そうじゃないかしら?」

 暫く2人は周囲を警戒していたが、どうやら追加は現れそうにない。そして閉ざされていた扉が開く。
 入り口の反対側も開いており、更に地下へと進む階段が見えている。まだこの遺跡には続きがあるらしい。
 階段の壁に設置された松明に火が灯っていく。先に進めと遺跡が示しているようだった。

「ここはやっぱり修練場、なのか?」

「その説が一番濃いかもね。こんな仕掛けがあったぐらいだし」

 遺跡の入り口にあった絵、そしてこの対多数の戦闘を意図したと思われる広場。
 一流の戦士を育成する為の修練場か、それとも大昔の成人の儀式か何かだったのか。
 2人は恐らくその類であるのだろうと、凡そのあたりをつける。まだ神に捧げる戦いの儀という可能性も残されてはいる。
 ただそう言った何かであるのは間違いないだろう。少なくとも宝物が収められた遺跡や、過去の偉人の遺体が安置されている墓では無さそうだ。
 墓場だとしたらあまりにも殺意が高過ぎる。宝物殿にしても、これをセキュリティと呼ぶのは厳しい。

「で、次は何だと思う?」

 アイナは清志と歩みを進めながら問いかける。大量のトラップに、周囲を囲まれた状態で始まる乱戦。続いて課せられる試練は何かと。

「……個人の戦闘力を試すとか、一撃の重さを図るとか?」

「どっちもあり得そう……」

 現代人の知識がどれほど通用するか分からないが、修練という観点で見れば清志の予想はおかしくない。
 ここまでは参加者が協力出来る状況が続いた。しかしそれがずっと続く可能性はそう高くない。どこかで個の実力を試す試練がありそうだ。

「周囲を壊さないように戦うの、凄く大変なのよねぇ」

「だよなぁ……ここ、海の底だし」

 2人はこの遺跡内で考え無しに全力を出せない。今はまだ余裕を持って戦えているが、この先がどうなるか分からない。
 ある意味縛りプレイに近い戦闘を余儀なくされている。それに清志は黄泉津大神よもつおおかみを、アイナはヘンリーのサポートが受けられない。
 2人が全力を出さないと突破出来ない様な、難易度の高過ぎる試練は流石に無いと2人は思っている。
 清志達の様なSランク魔術師しかクリア出来ない試練など、突破出来る者があまりに限定され過ぎるからだ。
 そんな2人の予想が当たっているのかどうか、それは進んでみないと分からない。
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