ある日、人気俳優の弟になりました。2

雪 いつき

文字の大きさ
37 / 39

余談

しおりを挟む

 余談。

 映画の中でしか見た事のないスイートルーム。あまりにもドラマチックな夜景を前に、優斗ゆうとは身を怯ませた。

 ベッドルームのドアを開けると、広がったのはキラキラとした夜景で。その前に置かれた、キングサイズのベッド。

 ……が、とても自然に似合う直柾なおまさ
 ……と、同じく芸能人のようなオーラの隆晴りゅうせい

 自分だけ、世界が違い過ぎるのでは。
 いや、ずっと前から知っていた。
 知っていたけれど……。


「優くん。おいで?」
「っ……」
「優斗」
「っ……!」

 無理です!! と叫びたかった。
 覚悟は決めた。決めて、いた。
 豪華なバスルームでシャワーを浴びている間にも、しっかりと覚悟を決めて出てきた。だが。
 ますます格好良さと大人の色気が増した二人を前に、優斗は一歩後ずさる。

「大丈夫。怖くないよ」
「っ、ぇ、ぅ……ぁ……」
「可愛いな」
「っ……!!」

 ベッドから降り、優しく優斗の手を取る直柾と、逃がさないとばかりに腰を抱く隆晴。

 逃げられない。……いや、逃げる気はない。ないけれど……。


 あれよあれよと連れて行かれ、広いベッドの中央に寝かされる。

 バスローブを作った人は、もう少し胸元が見えない設計にして欲しかった。色気が大変な事になっている二人を見上げ、的外れな八つ当たりをした。
 ……二人のスタイルが良すぎるせい。うん。知っていた。


 右と左、あまりにも顔が良い二人に迫られ、優斗は慌てて体を起こした。そして正座をして、自分の膝を見据える。

「あの、俺っ、………………こういうの、初めてなので……お手柔らかにお願いします……」

 心臓への負荷の意味でも。
 心の中でお願いをして、ギュッと膝の上で拳を握った。

 返答のない二人を、おず……と上目遣いに伺う、と。


 ごめんね、優しく出来ないかも。直柾はそう言って、優斗の唇を塞いだ。
 隆晴は耳に噛み付き、馬鹿、煽るな……と熱い吐息と共に囁いて。


 お願いをした筈が、これは“煽る”と言うらしい。……と気付いたのを最後に、もう考え事など出来なくなってしまったのだった。







‐‐‐END‐‐‐







 お読みいただきありがとうございました!
 時間が掛かってしまいましたが、無事完結まで書く事が出来ました。
 少しでもお楽しみいただけていたら大変嬉しく思います。
 本当にありがとうございました!

しおりを挟む
感想 3

あなたにおすすめの小説

モテる兄貴を持つと……(三人称改訂版)

夏目碧央
BL
 兄、海斗(かいと)と同じ高校に入学した城崎岳斗(きのさきやまと)は、兄がモテるがゆえに様々な苦難に遭う。だが、カッコよくて優しい兄を実は自慢に思っている。兄は弟が大好きで、少々過保護気味。  ある日、岳斗は両親の血液型と自分の血液型がおかしい事に気づく。海斗は「覚えてないのか?」と驚いた様子。岳斗は何を忘れているのか?一体どんな秘密が?

ある日、人気俳優の弟になりました。

雪 いつき
BL
母の再婚を期に、立花優斗は人気若手俳優、橘直柾の弟になった。顔良し性格良し真面目で穏やかで王子様のような人。そんな評判だったはずが……。 「俺の命は、君のものだよ」 初顔合わせの日、兄になる人はそう言って綺麗に笑った。とんでもない人が兄になってしまった……と思ったら、何故か大学の先輩も優斗を可愛いと言い出して……? 平凡に生きたい19歳大学生と、24歳人気若手俳優、21歳文武両道大学生の三角関係のお話。

平凡な男子高校生が、素敵な、ある意味必然的な運命をつかむお話。

しゅ
BL
平凡な男子高校生が、非凡な男子高校生にベタベタで甘々に可愛がられて、ただただ幸せになる話です。 基本主人公目線で進行しますが、1部友人達の目線になることがあります。 一部ファンタジー。基本ありきたりな話です。 それでも宜しければどうぞ。

学院のモブ役だったはずの青年溺愛物語

紅林
BL
『桜田門学院高等学校』 日本中の超金持ちの子息子女が通うこの学校は東京都内に位置する幼少中高大院までの一貫校だ。しかし学校の規模に見合わず生徒数は一学年300人程の少人数の学院で、他とは少し違う校風の学院でもある。 そんな学院でモブとして役割を果たすはずだった青年の物語

からかわれていると思ってたら本気だった?!

雨宮里玖
BL
御曹司カリスマ冷静沈着クール美形高校生×貧乏で平凡な高校生 《あらすじ》 ヒカルに告白をされ、まさか俺なんかを好きになるはずないだろと疑いながらも付き合うことにした。 ある日、「あいつ真に受けてやんの」「身の程知らずだな」とヒカルが友人と話しているところを聞いてしまい、やっぱりからかわれていただけだったと知り、ショックを受ける弦。騙された怒りをヒカルにぶつけて、ヒカルに別れを告げる——。 葛葉ヒカル(18)高校三年生。財閥次男。完璧。カリスマ。 弦(18)高校三年生。父子家庭。貧乏。 葛葉一真(20)財閥長男。爽やかイケメン。

見ぃつけた。

茉莉花 香乃
BL
小学生の時、意地悪されて転校した。高校一年生の途中までは穏やかな生活だったのに、全寮制の学校に転入しなければならなくなった。そこで、出会ったのは… 他サイトにも公開しています

刺されて始まる恋もある

神山おが屑
BL
ストーカーに困るイケメン大学生城田雪人に恋人のフリを頼まれた大学生黒川月兎、そんな雪人とデートの振りして食事に行っていたらストーカーに刺されて病院送り罪悪感からか毎日お見舞いに来る雪人、罪悪感からか毎日大学でも心配してくる雪人、罪悪感からかやたら世話をしてくる雪人、まるで本当の恋人のような距離感に戸惑う月兎そんなふたりの刺されて始まる恋の話。

平凡な僕が優しい彼氏と別れる方法

あと
BL
「よし!別れよう!」 元遊び人の現爽やか風受けには激重執着男×ちょっとネガティブな鈍感天然アホの子 昔チャラかった癖に手を出してくれない攻めに憤った受けが、もしかしたら他に好きな人がいる!?と思い込み、別れようとする……?みたいな話です。 攻めの女性関係匂わせや攻めフェラがあり、苦手な人はブラウザバックで。    ……これはメンヘラなのではないか?という説もあります。 pixivでも投稿しています。 攻め:九條隼人 受け:田辺光希 友人:石川優希 ひよったら消します。 誤字脱字はサイレント修正します。 また、内容もサイレント修正する時もあります。 定期的にタグ整理します。ご了承ください。 批判・中傷コメントはお控えください。 見つけ次第削除いたします。

処理中です...