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世界は終わってしまった。
彼が……涼佑がいなくなった世界で、どうやって生きていけばいいか分からなかった。
「涼佑……」
あれから一ヶ月。
捜査は打ち切られ、施設の人には涼佑はもう戻って来ないのだと言われた。つらいだろうけれど諦めてこれからの人生を涼佑の分まで生きなさい、と。
これからの人生なんて、涼佑のいない世界では存在しないというのに。
崖の上には、花が飾られていた。涼佑の好きだった淡い桃色の花が。
“暖人に似合うから”と言って大事に育てていたのと同じ花。
俺には似合わないと言ったら、春の陽のように暖かだから、と言って。そんな台詞が似合ってしまう涼佑に、俺はいつも何も返せずに熱くなる顔を俯けてしまった。
そんな俺を、涼佑は決まって「可愛い」と言うのだ。
たった数ヶ月年下の俺を、涼佑はいつも守ってくれた。
涼佑がいないと駄目だった。
だから。
「涼佑、遅くなってごめん。寂しかったよね」
涼佑も、俺がいないと駄目だから。
「大丈夫だよ。すぐに、会えるよ」
だって俺も、涼佑も、一緒にいないと生きていけないんだから……。
冷たい海風に背を押されるように、一歩踏み出す。
怖くはない。この先に、涼佑がいるから。
また、会えるから……。
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