23 / 64
23
しおりを挟む
その日も巨大生物が襲ってくるものの、食料にしか見えなく適当に捌き、焼肉を楽しんでいた。都市ベルゼブブには近づいているものの、あと数日はかかりそうだなと俺は思った。
正直、進んでる時間よりも捌いて食べてる時間の方が長い。特に急ぎの目的もあるわけではないので、あまり急ぐ必要もないため、ダラダラとするのも悪くはなかった。
「おーい!おーい!」
舗装されている道路の方から、巨大な走行車両のようなものから降りてきた男性がこちらに手をふりながら走ってきていた。
「あんたらここで何やってるんだ?」
「あんたは?」
「ああ、私は旅人で都市ベルゼブブへ向かってるバーべというものだ。あんたらがここで何してるのか気になってな」
「捌いて食べてるだけだが・・・」
「魔核をとるだけじゃなく?」
「気になるのなら、あなたも食べてみたら? おいしいわよ」
ナミがバーべにサイキックで浮かせて、焼いた肉を渡した。たじろいながらも焼いた骨付き肉を受け取り、口に含むと、目をかっと見開いて一心不乱に食した。相当腹が減っていたのだろうと俺は思い、新たに肉を焼いてナミのサイキックで焼いた肉を浮かせて渡して、満腹にさせた。
「うまっ・・・かった! ありがとう!」
「ああ、よかったな」
肉は正直、食べきれない量で移動するたびにそのあたりに穴を掘り、処理していた。放置しておくと腐臭がするのとさらに巨大生物が時間差でやってくることがあった。
「ところで知りたいのだけど、いいかしら?」
「うまいものくれた恩がある、なんでも聞いてくれ」
「どうして、この巨大生物たちはあの道路付近には近寄らないのかしら?」
確かに、俺も気になっていたがナビに聞いても不明としか返ってこなかった。実際にこの魔界はわからないことが多い。
「さぁ? 私にもわからん。ところでどうしてこんな所で狩りをしてるんだ?」
「俺たちは都市ベルゼブブを目指しているのだが、この巨大生物に襲われてな、倒しながら進んでいるんだが、食料がつきかけてこいつらを食えないかなと試しに食べてみたら、問題なかったから食べながら進んでいる」
「まさか、徒歩で・・・?」
「そうよ」
「そうだ」
バーべは目をぱちくりさせた。そして、それがどんな無謀なことかを教えてくれた。野営した場合、夜に狙われるリスク、一体だけならまだしも数体連携して襲ってくる巨大生物が跋扈していること、狩り続けたとしても魔核が増えていき荷物になり、動きが遅くなってリスクが日に日に増えていく事などを説かれた。
だが、俺とナミならこの程度の巨大生物なら特に苦も無く倒せるのと夜だろうと二十四時間戦い続けることも可能だ。ナビによる自動戦闘モードもあるし、エネルギーとなる巨大生物もあるので、無限に活動可能だ。ナミは寝たりするだろうが、危険が迫ったとしても条件反射サイキックでどうにかしてしまうだろう。特に敵意や殺意を察知するだろう。何も問題はない。
「美味しい物も食べさせてもらったし、都市まで私の車で送っていこう」
話の後半を聞いてなかった。
「あら、ありがとう!やったわね、レンツ」
「あ、ああ」
俺たちは荷物をまとめてバーべの車に乗り込んだ。外から見ると巨大走行車両に見えたが、中は大分くつろぎやすい空間になっていた。
「まあ、そのあたりに適当に座っていてくれ、数時間もしない内に都市には着くから」
解析完了。巨大生物からこの走行車両は感知しにくい造りになっています。巨大生物からしてみると小石のように見えるため、食料として見なされていないと推測されます。
なるほど、そういうことだったのかとわかり、車内を見渡す。内部にいれば外に漏れ出さないような仕組みになっているため、外から見ても解析ができなかったわけだ。
そういえば、バーべのことをあまり気にしてなかったが何族なんだろうか?
「なぁ、バーべは何族なんだ?」
バーべは運転しながら、説明してくれた。聞いてほしかったのか、都市につくまでしゃべり続けた。
「牛鬼族だ、この見事なうねりがある角でわからなかったか? まあ、確かに他と比べて色白だが魔力量はそこそこあるつもりだったんだがな、二人には負けるがな! そういえば、二人は何族なんだ? 角無しか? 角無しでその強さってなると、魔人族か? 魔人族といえば普段は見えない角を持ってて戦いの時に角が具現化するって聞いた事があるから、そういうことかぁ」
なんだか、勝手に納得し、話を続けていた。魔人族か、角がない種族もどこかにいるという情報はなかなか興味深い。
「それで私はいろんな都市を回って旅をしているところなんだが、嫁探しの旅でもあったりするんだ。強い雌を探しているんだが、なかなか同じ種族で見つからなくて未だに旅をしているわけなんだよ。この前いった都市だと色魔都市アスモデウス、あれはやばかったな・・・あそこは長く留まる場所じゃねぇと思ったよ」
色魔都市アスモデウスか、最近までいたが留まるにも自分たちの性に合わなかったことを思い出した。
「お、都市が見えてきた」
正面に大きな壁が見え、ここからだとどのくらいの距離があるのかいまいち図り切れない高さの壁だった。
「あの壁は周りの巨大生物から守るためにあって、あの中に入れば安心して過ごす事が出来るわけよ。岩山を繰り抜いて造られた都市ベルゼブブ。ベルゼブブ卿一族の所有地の一つだな、そのまま名前になってるのも一番の稼ぎ場所らしい」
窓から見えるのは壁、ナミが上空に俺を飛ばした時の見た感じだと相当大きい都市だった事を思い出す。
正直、進んでる時間よりも捌いて食べてる時間の方が長い。特に急ぎの目的もあるわけではないので、あまり急ぐ必要もないため、ダラダラとするのも悪くはなかった。
「おーい!おーい!」
舗装されている道路の方から、巨大な走行車両のようなものから降りてきた男性がこちらに手をふりながら走ってきていた。
「あんたらここで何やってるんだ?」
「あんたは?」
「ああ、私は旅人で都市ベルゼブブへ向かってるバーべというものだ。あんたらがここで何してるのか気になってな」
「捌いて食べてるだけだが・・・」
「魔核をとるだけじゃなく?」
「気になるのなら、あなたも食べてみたら? おいしいわよ」
ナミがバーべにサイキックで浮かせて、焼いた肉を渡した。たじろいながらも焼いた骨付き肉を受け取り、口に含むと、目をかっと見開いて一心不乱に食した。相当腹が減っていたのだろうと俺は思い、新たに肉を焼いてナミのサイキックで焼いた肉を浮かせて渡して、満腹にさせた。
「うまっ・・・かった! ありがとう!」
「ああ、よかったな」
肉は正直、食べきれない量で移動するたびにそのあたりに穴を掘り、処理していた。放置しておくと腐臭がするのとさらに巨大生物が時間差でやってくることがあった。
「ところで知りたいのだけど、いいかしら?」
「うまいものくれた恩がある、なんでも聞いてくれ」
「どうして、この巨大生物たちはあの道路付近には近寄らないのかしら?」
確かに、俺も気になっていたがナビに聞いても不明としか返ってこなかった。実際にこの魔界はわからないことが多い。
「さぁ? 私にもわからん。ところでどうしてこんな所で狩りをしてるんだ?」
「俺たちは都市ベルゼブブを目指しているのだが、この巨大生物に襲われてな、倒しながら進んでいるんだが、食料がつきかけてこいつらを食えないかなと試しに食べてみたら、問題なかったから食べながら進んでいる」
「まさか、徒歩で・・・?」
「そうよ」
「そうだ」
バーべは目をぱちくりさせた。そして、それがどんな無謀なことかを教えてくれた。野営した場合、夜に狙われるリスク、一体だけならまだしも数体連携して襲ってくる巨大生物が跋扈していること、狩り続けたとしても魔核が増えていき荷物になり、動きが遅くなってリスクが日に日に増えていく事などを説かれた。
だが、俺とナミならこの程度の巨大生物なら特に苦も無く倒せるのと夜だろうと二十四時間戦い続けることも可能だ。ナビによる自動戦闘モードもあるし、エネルギーとなる巨大生物もあるので、無限に活動可能だ。ナミは寝たりするだろうが、危険が迫ったとしても条件反射サイキックでどうにかしてしまうだろう。特に敵意や殺意を察知するだろう。何も問題はない。
「美味しい物も食べさせてもらったし、都市まで私の車で送っていこう」
話の後半を聞いてなかった。
「あら、ありがとう!やったわね、レンツ」
「あ、ああ」
俺たちは荷物をまとめてバーべの車に乗り込んだ。外から見ると巨大走行車両に見えたが、中は大分くつろぎやすい空間になっていた。
「まあ、そのあたりに適当に座っていてくれ、数時間もしない内に都市には着くから」
解析完了。巨大生物からこの走行車両は感知しにくい造りになっています。巨大生物からしてみると小石のように見えるため、食料として見なされていないと推測されます。
なるほど、そういうことだったのかとわかり、車内を見渡す。内部にいれば外に漏れ出さないような仕組みになっているため、外から見ても解析ができなかったわけだ。
そういえば、バーべのことをあまり気にしてなかったが何族なんだろうか?
「なぁ、バーべは何族なんだ?」
バーべは運転しながら、説明してくれた。聞いてほしかったのか、都市につくまでしゃべり続けた。
「牛鬼族だ、この見事なうねりがある角でわからなかったか? まあ、確かに他と比べて色白だが魔力量はそこそこあるつもりだったんだがな、二人には負けるがな! そういえば、二人は何族なんだ? 角無しか? 角無しでその強さってなると、魔人族か? 魔人族といえば普段は見えない角を持ってて戦いの時に角が具現化するって聞いた事があるから、そういうことかぁ」
なんだか、勝手に納得し、話を続けていた。魔人族か、角がない種族もどこかにいるという情報はなかなか興味深い。
「それで私はいろんな都市を回って旅をしているところなんだが、嫁探しの旅でもあったりするんだ。強い雌を探しているんだが、なかなか同じ種族で見つからなくて未だに旅をしているわけなんだよ。この前いった都市だと色魔都市アスモデウス、あれはやばかったな・・・あそこは長く留まる場所じゃねぇと思ったよ」
色魔都市アスモデウスか、最近までいたが留まるにも自分たちの性に合わなかったことを思い出した。
「お、都市が見えてきた」
正面に大きな壁が見え、ここからだとどのくらいの距離があるのかいまいち図り切れない高さの壁だった。
「あの壁は周りの巨大生物から守るためにあって、あの中に入れば安心して過ごす事が出来るわけよ。岩山を繰り抜いて造られた都市ベルゼブブ。ベルゼブブ卿一族の所有地の一つだな、そのまま名前になってるのも一番の稼ぎ場所らしい」
窓から見えるのは壁、ナミが上空に俺を飛ばした時の見た感じだと相当大きい都市だった事を思い出す。
0
あなたにおすすめの小説
「キヅイセ。」 ~気づいたら異世界にいた。おまけに目の前にはATMがあった。異世界転移、通算一万人目の冒険者~
あめの みかな
ファンタジー
秋月レンジ。高校2年生。
彼は気づいたら異世界にいた。
その世界は、彼が元いた世界とのゲート開通から100周年を迎え、彼は通算一万人目の冒険者だった。
科学ではなく魔法が発達した、もうひとつの地球を舞台に、秋月レンジとふたりの巫女ステラ・リヴァイアサンとピノア・カーバンクルの冒険が今始まる。
無属性魔法使いの下剋上~現代日本の知識を持つ魔導書と契約したら、俺だけが使える「科学魔法」で学園の英雄に成り上がりました~
黒崎隼人
ファンタジー
「お前は今日から、俺の主(マスター)だ」――魔力を持たない“無能”と蔑まれる落ちこぼれ貴族、ユキナリ。彼が手にした一冊の古びた魔導書。そこに宿っていたのは、異世界日本の知識を持つ生意気な魂、カイだった!
「俺の知識とお前の魔力があれば、最強だって夢じゃない」
主従契約から始まる、二人の秘密の特訓。科学的知識で魔法の常識を覆し、落ちこぼれが天才たちに成り上がる! 無自覚に甘い主従関係と、胸がすくような下剋上劇が今、幕を開ける!
キャンピングカーで走ってるだけで異世界が平和になるそうです~万物生成系チートスキルを添えて~
サメのおでこ
ファンタジー
手違いだったのだ。もしくは事故。
ヒトと魔族が今日もドンパチやっている世界。行方不明の勇者を捜す使命を帯びて……訂正、押しつけられて召喚された俺は、スキル≪物質変換≫の使い手だ。
木を鉄に、紙を鋼に、雪をオムライスに――あらゆる物質を望むがままに変換してのけるこのスキルは、しかし何故か召喚師から「役立たずのド三流」と罵られる。その挙げ句、人界の果てへと魔法で追放される有り様。
そんな俺は、≪物質変換≫でもって生き延びるための武器を生み出そうとして――キャンピングカーを創ってしまう。
もう一度言う。
手違いだったのだ。もしくは事故。
出来てしまったキャンピングカーで、渋々出発する俺。だが、実はこの平和なクルマには俺自身も知らない途方もない力が隠されていた!
そんな俺とキャンピングカーに、ある願いを託す人々が現れて――
※本作は他サイトでも掲載しています
アイテムボックスの最も冴えた使い方~チュートリアル1億回で最強になったが、実力隠してアイテムボックス内でスローライフしつつ駄竜とたわむれる~
うみ
ファンタジー
「アイテムボックス発動 収納 自分自身!」
これしかないと思った!
自宅で休んでいたら突然異世界に拉致され、邪蒼竜と名乗る強大なドラゴンを前にして絶対絶命のピンチに陥っていたのだから。
奴に言われるがままステータスと叫んだら、アイテムボックスというスキルを持っていることが分かった。
得た能力を使って何とかピンチを逃れようとし、思いついたアイデアを咄嗟に実行に移したんだ。
直後、俺の体はアイテムボックスの中に入り、難を逃れることができた。
このまま戻っても捻りつぶされるだけだ。
そこで、アイテムボックスの中は時間が流れないことを利用し、チュートリアルバトルを繰り返すこと1億回。ついにレベルがカンストする。
アイテムボックスの外に出た俺はドラゴンの角を折り、危機を脱する。
助けた竜の巫女と共に彼女の村へ向かうことになった俺だったが――。
『辺境伯一家の領地繁栄記』スキル育成記~最強双子、成長中~
鈴白理人
ファンタジー
ラザナキア王国の国民は【スキルツリー】という女神の加護を持つ。
そんな国の北に住むアクアオッジ辺境伯一家も例外ではなく、父は【掴みスキル】母は【育成スキル】の持ち主。
母のスキルのせいか、一家の子供たちは生まれたころから、派生スキルがポコポコ枝分かれし、スキルレベルもぐんぐん上がっていった。
双子で生まれた末っ子、兄のウィルフレッドの【精霊スキル】、妹のメリルの【魔法スキル】も例外なくレベルアップし、十五歳となった今、学園入学の秒読み段階を迎えていた──
前作→『辺境伯一家の領地繁栄記』序章:【動物スキル?】を持った辺境伯長男の場合
40歳のおじさん 旅行に行ったら異世界でした どうやら私はスキル習得が早いようです
カムイイムカ(神威異夢華)
ファンタジー
部長に傷つけられ続けた私
とうとうキレてしまいました
なんで旅行ということで大型連休を取ったのですが
飛行機に乗って寝て起きたら異世界でした……
スキルが簡単に得られるようなので頑張っていきます
スーパーの店長・結城偉介 〜異世界でスーパーの売れ残りを在庫処分〜
かの
ファンタジー
世界一周旅行を夢見てコツコツ貯金してきたスーパーの店長、結城偉介32歳。
スーパーのバックヤードで、うたた寝をしていた偉介は、何故か異世界に転移してしまう。
偉介が転移したのは、スーパーでバイトするハル君こと、青柳ハル26歳が書いたファンタジー小説の世界の中。
スーパーの過剰商品(売れ残り)を捌きながら、微妙にズレた世界線で、偉介の異世界一周旅行が始まる!
冒険者じゃない! 勇者じゃない! 俺は商人だーーー! だからハル君、お願い! 俺を戦わせないでください!
家ごと異世界転移〜異世界来ちゃったけど快適に暮らします〜
奥野細道
ファンタジー
都内の2LDKマンションで暮らす30代独身の会社員、田中健太はある夜突然家ごと広大な森と異世界の空が広がるファンタジー世界へと転移してしまう。
パニックに陥りながらも、彼は自身の平凡なマンションが異世界においてとんでもないチート能力を発揮することを発見する。冷蔵庫は地球上のあらゆる食材を無限に生成し、最高の鮮度を保つ「無限の食料庫」となり、リビングのテレビは異世界の情報をリアルタイムで受信・翻訳する「異世界情報端末」として機能。さらに、お風呂の湯はどんな傷も癒す「万能治癒の湯」となり、ベランダは瞬時に植物を成長させる「魔力活性化菜園」に。
健太はこれらの能力を駆使して、食料や情報を確保し、異世界の人たちを助けながら安全な拠点を築いていく。
ユーザ登録のメリット
- 毎日¥0対象作品が毎日1話無料!
- お気に入り登録で最新話を見逃さない!
- しおり機能で小説の続きが読みやすい!
1~3分で完了!
無料でユーザ登録する
すでにユーザの方はログイン
閉じる