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 ドラゴンであるウェルダンテステーシを使役するような俺たちは都市の人たちにとっては、理解できない存在だった。最低限の角すら頭についていない、だが魔力の放出量は高いため、露骨にどう接したらいいのかと考えさせる事になった。
 
 門の前で対応を確認させてくれと言われ、かれこれ一時間は経っていた。
 
 この都市を管理しているのは誰なのか?
 
「あの・・・」
 
 ウェルダンテステーシはぼーっとしている俺たちに話しかけようとしてきた。
 
「どうした?」
 
「多分、いつまで経っても入れないと思います」
 
「は? なんで?」
 
 ナミは退屈でキレていた。ぼーっとしているのは俺だけだったようだ。
 
「ここはミディアンデステーシが管理している都市なので・・・そのミディアンデステーシはまだあの都市にいるはずなので・・・」
 
「不在ってことか」
 
「はい、すみません」
 
「この場合、ウェルダンテステーシがどうにかできないのか?」
 
 俺はミディアンデステーシより上の役職にいるのがウェルダンテステーシだと思っていた。
 
「私は角を失いましたので、それができないかと・・・」
 
「「え」」
 
 ナミが一瞬呆けた後に、都市の方を見て怒りを滲みだしていた。力こそ正義という常識を思い出し、もしも力を示したら入れるのではないかと考えた。
 
「なぁ、ウェルダンテステーシ・・・俺らの力があると示せれば門は開くか?」
 
「そうですね・・・開くと思います」
 
 俺とナミの魔力は鬼人のそれなりの魔力を放出している。絡まれない程度の量であり、ドラゴンくらいの放出ではないので侮られている。そして角を失ったドラゴンを使役していたとしても、ここを管理しているミディアンデステーシより下なのであれば、相手にする道理はない。
 
「ナミ、ちょっと開けてくれって言ってくる」
 
「え、入れるようになるの?」
 
「多分思ってる通りなら・・・入れると思う」
 
 俺は改めて都市の門の方へ行き、門番の前で魔力の放出をウェルダンテステーシが角があったころ以上の魔力の放出をした。すると、門番は人は顔面蒼白になり、都市内に駆け込んでいった。
 
 すると偉そうな感じの人が走ってきて、頭を下げてきた。
 
「すみ、すみませんでした。どうぞお入りください」
 
 そう言われたので、都市の中に入りろうとして、ふとウェルダンテステーシが滞在というか休める場所はあるのかと疑問に思った。
 
「なぁ、あれが寝泊まり可能な場所ってある?」
 
「都市内ですと、ここを管理しているミディアンデステーシのお城くらいしか・・・ないですね」
 
「そこを勝手に使うと問題ある?」
 
「いえ、その・・・」
 
「ウェルダンテステーシ! ミディアンデステーシのお城ってお前が勝手に使っていたことあった?」
 
「以前はあるが・・・」
 
 なら問題ないんじゃないかと思った。
 
「じゃあ、今も使えばいいんじゃないか? どうせミディアンデステーシもすぐには戻ってこれないだろうし」
 
「ではそうさせてもらうか・・・お主たちはどうするのだ?」
 
「え、普通に宿泊所を探して泊るけど」
 
「どうせなら、お主らも城に泊ればいい。誰も文句は言えぬし、そっちの方が都市の住人も困らぬ」
 
「そうね、そうしましょう!」
 
 ナミの一言で、俺たちは城に滞在することになった。城には、ミディアンデステーシの配下のものがいたが、ウェルダンテステーシの角がなくなっているのと、俺たちの上下関係を知り、客人として対応してくれた。
 城の中は、ドラゴンでも行き来可能な広さがあり、都市だけあってかなり広かった。そのため、歩くのが面倒というのもありウェルダンテステーシの背中にのり、移動した。中には大浴場があり、ドラゴンも入れるほどの広さと深さもあって、俺たちは楽しむ事にした。
 
「ねぇ、ちょっと身動きとらないでくれる!」
 
 ドラゴンが少し身動きをとると、波しぶきが立ち、俺はずぶぬれになった。ナミはサイキックで防御フィールドを張り、頭からびしょ濡れにはなっていなかった。
 
「す、すまぬ」
 
 俺は湯舟にちょっとだけ漬かり、そうそうと大浴場を後にすることにした。もともとサイボーグなので湯舟に使ってもあまり何も感じないためだ。
 
「レンツ、もう出ちゃうの?」
 
「ああ、もう充分だしな」
 
「そう、じゃあまた後でね」
 
 ナミは気持ちよさそうに湯舟に漬かっていて、生身の身体だと違うのだろうなと思い。少しばかりうらやましいと思ったりした。

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